ディ−ゼル・オイルで「フラッシング」
フラッシング・オイルを使わないの?
どうして「ディ−ゼルオイル」を使うかというと、これは気分的な問題なのかもしれませんが、実際には整備の現場でフラッシングオイルがそれほど頻繁に使用されるものではありません。
フラッシングの目的は言うまでもなく「洗浄」です。フラッシングの必要になる場面を考えた時、当然そこには「汚れ」がある訳ですが、そこにある汚れがどの程度の汚れなのかによって「フラッシングオイル」と「ディ−ゼルオイル」を使い分けるのがベタ−だと思います。
エンジン内部に発生する汚れはご存知の通り「カ−ボン、スラッジ、ワニス、ガム」等ですが、これを瞬時に溶解するには「石油系溶剤」を使用するしかありません。通常のフラッシングオイルはその使用方法を見れば明らかなように:
オイル交換前にフラッシングオイルを追加してエンジンを15分から20分間アイドリングさせ、オイルを全て抜き取った上、オイルエレメントを交換し、新油を入れる。
というのが一般的ですから、即効で洗浄する事が分かります。
つまりフラッシングオイルには溶剤が含まれていますので、バルブシ−ルやクランクシ−ルなどのラバ−パ−ツ、ガスケット類のシ−ラ−部分等に収縮や溶解の起こる危険を伴います。
オイルを抜き取ってから新油を入れる際にはほんの少しですがフラッシングオイルつまり溶剤が残留します。
これらの部分にはもともと経年変化を伴いますが、使い込んだエンジンにとっては堆積した汚れ(デポジット)を溶解する為にこれが隙間を塞いでいた場合には経年変化に加えてフラッシングをきっかけに更に油漏れなどの発生する確率は高くなります。ただ、考え様によっては深刻な汚れが落ちて、エンジンにとっては良い状態になる筈ですすが、デポジットが抜け気味のコンプレッションを上げている場合もありますし、「油が漏れて困ったこと」にもなるわけです・・・。そこで、ちょっとだけ「漏れ止め」の話。
オイル漏れ止め添加剤
この油漏れが単なるシ−ルやガスケット部分の僅かなクリアランスだけの場合ならば、私の経験では「バルボリン/パイロイルのリ−クストップ」がよく止まります。亀裂が発生している場合とかクリアランスが広すぎて止まらない事もありますが、その場合にはこれらのシ−ルやガスケットの不良部分を交換する事になります。修理費用よりは安上がりなので先に試してみるのが良いと思います。
話を戻します。
フラッシングオイルはそこら中で手に入りますし、確かにこれを使えばエンジン内部は非常にキレイになります。成分で言うと例えば灯油に近い(むしろその方が安全?)為、プロのメカニックがどうしても必要な時には代用品として灯油を使用する事もあるようです。
そんな訳で、フラッシングにどうしても必要な時以外やたらとフラッシングオイルを使用するのは好ましくない事はお分かり頂けると思います。エンジン内部のこうした汚れは燃料中の不純物や摩耗金属粉等によって半ば宿命的に発生してしまう訳ですが、こまめなオイルメンテナンスによってこれを最低限に抑える事は可能です。
これらの不純物がオイル交換の際ドレ−ンからオイルと一緒に落ちてこないとすれば、オイルの清浄分散性、正しくは清浄性と分散性の少なくともこのうちのどちらかが低下している場合です。
清浄分散は漢字の通り「(汚れを落として)清浄にし、(その汚れを付着堆積させないように)分散させること」ですから、この二つの機能は密接に関連していてどちらか片方だけではあまり意味を持たない事が分かります。
従ってオイルの管理が悪いとこれらの汚れが付着します。これが度重なれば通常のオイルに含まれる清浄分散能力では追いつかなくなる為にディ−ゼルオイルの力を借りようという訳です。オイルに含まれるこの「洗浄性能」はガソリン用よりもディ−ゼルオイルが優れている為、もともとオイルであるディ−ゼルオイルを使用する事により「溶剤」を使用する事の危険性はかなり回避できる訳です。
それでは、簡単にその方法と注意事項についてご説明します。
ディ−ゼルオイルでフラッシング
それでは更にフラッシングオイルでのフラッシングが必要になるのはどんな時なのか?
答えは簡単です。ディ−ゼルオイルできれいにならなかった時、或いは既にコテコテ状態なのが最初から見て分かる程深刻な場合ということになります。
そこで、次に「フラッシング」が必要な場合を簡単に見極める方法について考えてみます。
このように、エンジン内の状態を外から見て簡単に判別する事が出来ますから中古車の状態を見る時の参考にもなると思います。ただ、逆の立場から言えば「オイルを替えて、ゲ−ジと蓋裏を掃除しておく」事で「気付かれずに済む」わけですから、「そのまま」にしておく善意に期待したいところです。
「中古車選別のキモ」は今後別項目で取り上げたいと思っています。