「よもやま話・39」

 「お手軽チューン」 チューニングとエンジンの表情

平成14年1月18日

よもやま38で書き残していた部分をこちらに書きます、少しだけお付き合い下さい。



AW11(MR2)のコラムでも取り上げた問題で前回の「38」でも少しだけ触れていますが、
ストリート・マフラーで抜けすぎた場合に「下のトルクが薄くなる」という点は程度の差こそあれ、どうしても起こって来る傾向にあります。

「そうでもない」という場合の多くは「音量に騙される」 この部分の話は「38」で書きました。
では、「抜けすぎてトルクが薄くなる」事によって一番問題になるのは「燃費」ですね、これまでも多くのユーザーさんから戴いているご意見でも「ストリートマフラーは喧しくなって燃費が悪くなるだけ」という話は確かに多いです。

 ただ、「かつて若い頃に・・・」という話が多いんですね、実は。(笑)
若かかりし頃にはどうしてもそうした「ヒトとは違ったパーツの変更(つまり純正でないもの)」に走りがちなのと、
以前は法律面でかなり制限されていた分だけ「逆に現在よりも過激なアイテムがレース専用としてラインナップされていた」という現実も見逃せないのかも知れません。
法律で拘束されていた部分が緩和された事によって合法のストリートマフラーがラインナップされた現在では、かつてよりもかなり幅広い性格のアイテムが出ているといえそうです。
ただ、電子制御の進んだ現在の車両では「簡単にスイッチ出来る安価なパーツが少なくなった」という点と同時に機能面よりも「見た目」という点からエアロパーツと同様な観点からリヤマフラーを交換する向きも多くなっており、「ステンのピカピカ極太」とか、「比較的大音量の砲弾型」などに人気が集中しているようです。
それでも一般的には「比較的静かで抜けすぎない」というものを好む方向も伸びているようで、その意味老舗のフジツボ、FGKが売れ筋と聞きます。
これは、逆に「見た目で勝負」派が増えているという証なのかも知れませんが・・・。(苦笑)

私の場合、ストリートで選択テストしたのがアペックス・メガホンBG5用ですから「まさしく抜けすぎ」・・・。
「リヤマフラー無し」で一度エンジンを始動してみましたが、音量の部分では120%位の差しか感じませんでしたから消音器としての役割はあまり機能していない事になります。(ホントに苦笑です)

リヤマフラーだけで論じるのは不充分なのですが、もともと「後ろだけが抜けても意味が無い」のでセンターチューブとかフロントパイプとか、総合的にアプローチするべき問題なのはいうまでもありません。
私の場合、シムスの完全等長エキマニですから「その部分での改善」は音質だけでなく太すぎないエキマニと集合部への整流効果によるトルクアップとレッドゾーンまでの切れの良さには目を見張るものがありました。
実際、フロントパイプを純正の触媒から触媒レスの太い直管に交換して低域のトルクが相当犠牲になったという話はいくつも聞いています。

今回、色々なリヤマフラーをあっちこっちと付け替えてはテストをして、
結果的には「JVCSのテストと同様の感じ」を持ったのですが
一言でいうと、注意しなければならないのは「得意な回転域」とういうのは良い意味でも悪い意味でもそれぞれに個性が出るという点です。
つまり、いうなれば「一長一短」

単に「抜けが良い」傾向だとどうしても下の力がひ弱になって高域向けの特性=ピーキィになりますから、
「上はオイシイ」ので早く上まで行って欲しい。しかしながら「抜け」を追い過ぎると下からトルクが痩せるので負荷のかかった状態ではなかなか上がって行かないという事にもなります。

 

戻ります、

元の素性がトルクの厚いエンジンでも「抜け」だけで上を追いかけると「上は回っているだけでトルクは就いて来ない」という事にもなりかねません。

で、アペックス・メガホンを使用していて一番危ないと思ったのは、実は
「もっとパワーを!」と願うようになった自分でした。

・・・どういう事か、

BFのオリジナル・タービンは非常に小さなタービンで、
小さい事によって「低域から回ってくれる」ので通常に使用するエリアでターボの働きを有効に得られるタイプのオリジナル・セッティングです。
従って大きなタービンとは違って「上はそれほどブーストが上がらない」訳で、元来そういう設定の車なんです。

その車がピーキィな性格になると逆に圧倒的にひ弱な部分がクローズアップされてしまいますから

「コレを補うために、先ずはブーストコントローラーを入れて、次にはタービン交換」となります。タービンの容量が上がればフロントパイプもセンターパイプも容量を増やさなければ意味がないし、そうなるとインタークーラーもオリジナルでは役不足になります。
実際に上だけを狙うならば色々な手があるのですが、そうなるとブレーキ性能の向上も必要になるしボディの強化もいよいよ本格的に取り組まなければならなくなる・・・。


アペックス・メガホンの場合、BG/GT−B(MTM)用の純正と比べて、更にトルクバンドは1000rpm位上にシフトしましたからターボ車の場合マフラー交換での変化はやはりかなりの物です。
ただ、上が美味しくなった割には全体にトルクが痩せていますから一番上は回っているだけですけれど、回らなかったエリアまで回っているので回したくなる。けれどもトルクは就いて来ないのでこれを何とかしたくなる・・・となると、大型タービンに交換すれば上はもっと回るしパワフルになるのは間違いない。(つまり、もっとパワーを・・・)
そう思うとその方向に向かって「やるしかない」かと感じ始める自分・・・。
(本来私はご存知の通り「トルク本願教」の信者です、馬力本願じゃぁない・・・です)

つまり程度問題の話なんですが、
少なくとも「通勤快速車」としてのボロちゃんに「底抜けマフラー」を装着した事で突然にもそうした方向性がついてしまって、「現状が不快」である事への「我慢」を強いられた訳です。
我慢を打開する為には先程のメニューを順番にこなしてゆく事になりますが、つまりそんな自分を見ていて「危険」と感じた訳です。
いや、そうする事がイケナイといっているのではなくて単に「危険な自分」でした。
(笑)
それじゃぁ、納得の行くところまで行って
そこそこの処で落ち着くか・・・というと、
そうではないんですね。
この手の方向性は定まってしまうと一連の「つきもの」を順番にこなす、という暗黒のパワーに封じ込められるのが普通です。
いや、「普通」なのではなくて「私ならば嵌りそう」だった・・・でしょうか。(笑)

そもそも、「マフラーのテールエンドだけを交換してどうこうしよう」というのはこの筋の本格的な考えの中では邪道です、

繰り返しますが私の場合、交換した排気系統はシムスの完全等長エキマニとテールエンドだけですが、
本当のことを言うと「フロントパイプ部分」の純正触媒を「メタルキャタライザー式フロントパイプ」に交換してエンジンからの出口部分とタービンへの送り、その集合部分の出口までのチューニングは必須だと思います。

その後ろをセンターからテールまで「一本モノ」のマフラーに交換するのが一番・・・という話があります。
もう一つの選択は「エキマニからフロントパイプ」までに留めて、
そこから後ろを出来るだけオリジナルに近いモノに抑えることで低域のトルクをカバーする。

でも、そうした例はありますが、結局は試してみて自分の好みかどうか?
これを判断する行程が実は楽しい訳だったりします。(^_^)v


今回のコラムで申し上げたかったのは、そうした自分自身の方向性に確固たる方針がなければ思わぬ方向に進んでしまう可能性もあるという話です。

喩えていうと、どうでしょうね 「過激な香辛料」を使用すると癖になる。というか、
「アルコールの常用は耐性を進める」というか・・・どうも違うなぁ・・・。(^^ゞ
そうだ!「酔っ払って酩酊した末に常軌を逸した一瞬の行動の結末」というのが正しそうです。

ま、方向性の問題なんですよね、例えば最速を求めるのか、快適を求めるのか。
という意味で
選択したパーツによって別の方向性に目覚めてしまう事もある、という珍しい体験をしたお話でした。


ともあれ、私としてはボロちゃんの現状のバランスは
「ほぼデフォルトにして最良の出来」
だと自負していますから、この路線で何とかしたい。

そこで、色々と裏技を駆使してアペックス・メガホンで抜け気味のトルクをリカバーする方法を練り上げました。

又しても別の「裏技!」・・・
BBSに少しだけ片鱗が伺えます、既にテストされた方のご報告もいくつか。「Na10(納豆)」の話です。
・・・で、ボロちゃんは現在も少々喧しいアペックス・メガホンのままです。(笑)


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