よもやま話・41

【バッテリーに設置するコンデンサーグッズ】


アーシングに触発された感のある電気系統の改善グッズが俄に蠢く状況の中で
今バッテリーに設置するコンデンサーグッズが巷で話題沸騰しています。
そこで・・・、というワケでもないのですが偶々「縁あって」二つの製品を試す事が出来ましたので
その感触をばここでご報告しましょう。

20030724



その前にこれの原理ですが、単純にいえば「サルフェーション防止・改善装置」

バッテリーに電解コンデンサーを接続する事により「コンデンサーにある程度の蓄電」をさせる。
並びに「矩形波(パルス状)の電力に置き換えてバッテリーへ戻す事による充電効率の改善」。
で、矩形波に置き換えられた電流が徐々にサルフェーション膜を破壊するといわれます。

 サルフェーション:
電解液の希硫酸から変性する硫化物質による極板の不活性膜の事で、コレが充・放電効率を左右するのと同時にバッテリー寿命にも大きく関わります。

どう機能するかというと、
オルタネーターから補充し続けられる電力は並列に配置されたコンデンサーにも巡る為、
バッテリーよりも電力貯蔵量の少ないコンデンサーが満充電状態となった時、
このコンデンサー側の「見かけのフル充電」はバッテリー(蓄電池)のフル充電と区別が付かない為に
いわば「クルマが騙されて」充電量を抑制し、バッテリーの過充電を防ぐ。
(過充電が一番のサルフェーション要因といいます)
これにより作動中の過充電を免れたバッテリーはサルフェーションから救われる事となり、
バッテリー寿命は新品からの使用で約2倍に延びる(であろう)という環境セーブ的アプローチとして
アメリカなどでは「バッテリー・デサルフェーター」と呼ばれて活用されている・・・とか。
もう少しだけ説明を加えるならば、
エンジンがコンデンサー側での蓄電によりオルタネータ負担を免れると、その分の発生トルクを「走ること」に使えます。
ここが「パワーアップ」なりこれが「トルクアップ」の源泉となるくだりです。
また、微量ながら蓄電を行うコンデンサーからの電流が急加速など「瞬間的な電流量要求時」にコイルへ供給されたり
といった場面も想像すると何となく効果は読めて来そうですね。(^_^);

いうなれば、極端な例を挙げるなら「Vベルトが切れると強烈なパワーアップ」
というか「軽いエンジンフィール」となりますが
これはオルタネーター負荷の無くなったクランク軸は
「その分のチカラを全て走ることに使える」という原理です。
(発電機のブラシが切れても同じ事です)

上記の記述で既にどなたにもご理解頂をけたかと思いますが
喩えていえば
自転車の発電機がペダルを重たくするのとまるっきり同じ話です。
暗くて危ないけれども、発電せずに走ると漕ぐヒトは「ラク」という・・・。
(^^;)




>>>


まずは「パ○サー」
こちら製品としては3種類のラインナップで
身近なユーザーさんから「良かったので是非お試しを!」というお墨付きを頂き、早速試してみました。
彼の試されたのは「中域重視型の赤いBox」Aということで、これがオススメということでしたが、
調べてみたらば「低域重視の黒いBox」@と「Changeという名の赤いBox」Bがありまして、

「Change」Bは「内容設定がコネクターの差し替えによって3種類に変更可能」なタイプで
更に「"高域重視型"が選択出来る」ということで、私の試したのはこの「Change」Bという製品です。

「Changeという名の赤いBox」Bには
A)「低域中域重視型」
B)「全域改善型」
C)「高域重視型」
の3種類を選択出来ると書かれています。


テスト車両は深紅のボロちゃん号BF5ターボ5MT(H4/4月)
(最近は目にする機会のめっきり減った感のある初代レガシィ後期型モデルです)


先ずはコネクター無し状態の
A)「低域中域重視型」
確かに中域のトルクが少し太くなり、乗りやすくなった様子。
(これならば、BとCへの変更で・・・シメシメ・・・(^_-) )
など思いながら取り敢えずは丸一日、100kmの通勤を走ってみる。
・・・特有のトルクバンドは4000〜5000rpmと変わらずで
僅かなトルクアップには一日で慣れてしまった感触。

次に試したのは
B)「全域改善型」
上記Aではあまり際立たなかった低域がもう少し太くなった感触で中域ももう少しだけアップかな?
ところがどっこい、
特有の上記トルクバンドは逆に痩せてしまったようで「か細い」印象。
ターボの「らしい」トルクバンドを犠牲にするのも癪な話ながら
常用域を3000rpmまでと決めるならば「乗りやすい車」。
(製品版の「中域重視型の赤いBox」Aは恐らくこの仕様?)

それじゃぁCだとどうなるの?
間髪入れずに
C)「高域重視型」に変更してバイパスを駆けめぐる・・・。
(^_^;)
確かに「高域重視型」というだけあって上の方は危険な感触すら憶える程に「最後で"いきなり"」上がります。
けれど、低域&中域のお粗末な事といったら・・・(-_-)
怒れちゃうくらい・・・。(^^;

とてもヒトにお薦め出来るような感触でない・・・。
高域だけが突出しても面白くも何ともなく、乗りにくいだけです。
(少なくとも私好みでない・・・)
というか、
低・中域の痩せ方が半端ではないので高域はその分だけ(?)際立ちます。
けれども
「オイシイ回転域」を常用域として楽しむ傾向には近日中に必ずや移行をしますから
そうなると「危険」になるだけ・・・。
即座にBへ戻してその後は変更を行う気になれない
という状況でした。

少なくとも「良い感じのする部分」もある訳ですが
ま、一万円もする商品ですから好きな人にお願いして分解して貰い回路図でも拾って
改善試作品でも作成したらば親しい方から喜ばれるかも・・・?
位に茶を濁していたら、この「なんちゃって」に「ホッ、と人妻」というネーミング(爆)を頂いたりする中で
Hot−Hitozumaを待ちわびる方々を尻目に
間髪を入れず、次なる新たな別製品を試す機会を得ました。
(^o^)(^_^)(^^;


>>>

こちらの製品は「□イレクト・○ワー・システム(□○S)」といいまして
名古屋の用品商社さんから発売されて只今人気沸騰中とか・・・。

聞いてみるとどこかのショップオリジナルのOEM供給もされているようで
そちら「圧倒的な効果で3万円とか4万円とか5万とか」定かでないが非常にお高い・・・。(汗)

私が試す機会を得た製品は48000円から6800円という5種類のラインナップの中でVer.1という
廉価バージョンながら定価は12800円とちっとも安くないですか・・・。(^^;
中間バージョンは27800円
・・・とか。

取り敢えず、「ターボ車のラグを埋めるのに最適なセッティング」というこのVer.1
やはり「中低域重視型」のこの製品。
実は回路が全く入っていない、中身は電線だけの商品ですが
これでコンデンサー効果に加えてコイル効果(ノイズ減少による電力の安定化)を発揮するとか・・・。

で、
蘊蓄を評価しても仕方がないので早速「パ○サー」からこの「□○S」に変更してみると・・・
これがビックリするほどその変化がわかりにくい。(笑)
それはそうです、
もともと「パ○サー」を装着していましたから市街地の走行では「若干良くなったかな?」
程度の違いです。

ところがどっこい、
バイパスを駈けてみるとどうでしょう、
本来のおいしいトルクバンドよりも下、3000〜4000rpmのトルクが明らかに太く
「おいしい箇所」がまるっきり1000回転も下がりました。
で、本来の4000〜5000rpmはどうか?
というと、
それがですね・・・。

ココが非常に難しい問題なのですが:

大きな仮説が二つ浮かびます、

T)3000〜4000rpm(1)が上がった分だけ4000〜5000rpm(2)は若干下がった感触・・・??
なのかな?
もうひとつここに「勘違い」の有り得るもうひとつの要件はご想像の通り

U)低かった(1)の「上がった印象」によって本来のままであっても(2)が「かすむ」??


そこで、
いつものテストコースで検証を行ってみました。
このテストコースはなだらかな上り坂で最後の登りがキツくなり、
終点で急カーブになる600m程のワインディング?
で毎度テストに使用しています。
1st-2nd-3rd までのシフトをレブ寸前までのところまで搾り切りますから
もしも「最速」を更新すればT)は間違いでU)が正解となります。

検証の結果です。

・・・・「おんなじだぁ〜」(^_^;)


>>>>>



当然ながら「パ○サー」も同様のテストを行いましたから「どちらも未装着と同じ?」という結果であったということです。

ただし、このテストはMTでの実験である為に私のドライビングスキルにも多分に影響を受けるものですし
この手のアイテムを使用してビミョーなラインという点で「良くなった気がする」なり
フィールの部分で好みに近づいたなどの「納得」が出来れば
改善策としては「成功」と呼んでも良いモノだとは思います。

ただし、いかんせん「誰にでも判るレベル」かどうか?という点も難しいポイントです。
事実、私としては前者よりも好感を持てた後者ですら
10名ほどのごくごく一般テスターの90%が「どうだかなぁー・・・」という評価であったそうです。
ショップオリジナルOEMを発注しているショップのオーナーさんの言葉をお借りすると
「既製品では"誰にでも納得の行く効果"が得られないので、特注品をオーダーしている」というお話でした。






総括:


率直に述べるならば
上記の「テストコース」での実験をみるまでもなく、直感的に感じていたフィールとしては
「美味しいトルクバンドを移行する」という意味では「有効に機能する」
「デサルフェーター」として有効であれば使用意義は認められる。

しかるに意味のない事とは全く思わない・・・けれども「オリジナル・フィール」と比べた時に
「人工的」で「意図しないフィールへの移行」という印象を残せば不自然でBAD
だと思えます。
もっと分かり易くいうならば、
「フィール上、良くなった箇所があれば、どこかで必ず凹んでスポイルされている」ということで
トータルで見たときには「全体の器は常にイコールである」といえそうなんです。

コレをフィール上の改善策として捉える時にはコンデンサー容量でかなりの囲い込みなり
追い込みが必要であろうと思えるわけで
その意味は
「どのクルマもそれぞれ固有のオルタネーター容量を持っており」
「バッテリーの容量もまちまちであること」
「エンジンの素性によって回転特性もまちまち」であれば、もっというと
「同じエンジン形式でも車両・年式によってECUやら細かな部品設定も違う」
つまりそうなると、このエンジンにはコレ!といった商品構成を要求されるであろうと思えることと、
加えて「ドライブ・フィール」という面で捉えても
「同じクルマでも乗り方と好みによって要求されるレンジは変わる」
ということです。

そうなると商品としての選定は非常に難しくなりますね・・・。


仮に
「通常使用領域の全域」において圧倒的で確実にトルクが増える結果を得られたとすれば、
常用域以外でのみバッテリー・チャージが行われることにもなりますから
そうなると「充電不足」となる可能性も出てくるわけです。
ちなみに
テストを行った前者には赤いLEDが作動を示すパイロットランプとして装備されていますが、
これは「単なる通電のみ」を表示するものではなく
通電圧が一定の電圧を下回ると作動をキャンセルする仕組みになっています。



有名どころの「Hot云々」を試された方からの情報は既に幾つか頂いております、
実際の処、賛否両論ですね。
この「両論」には「上記ならびに下記に渡る複雑な要因」が絡み合っていると思います。


製品としてはコンデンサー部品自体が安価であることを考えたときに
「購入意欲をそそるモノ」として大きな説得材料に動かされた時・・・
という話になる筈ですが、「否定派」と「肯定派」の意識にはいつもながら「費用対効果」という意識が付きまとうモノである
という部分を特に注意深くWeb情報からご判断頂きたいと思うところです。

今回、テストしたハーネスを用いた方の特許製品(後者)ではコンデンサーを使用しないため
コレのふん爆等の危険を回避出来る点でアドバンテージはあるでしょうか、
材料費がコンデンサー部品以下であることを思うとき、特許のKnowHow料として妥当なモノなのかどうか
もう少し安価であれば越したことはないと思うものの
フィール的には前者よりも「人為的な不快感」は少なかったといえます。
ただし、偶然私のレガシィに於いてそうであった
という話に過ぎないと解釈しています。


参考までに、「前者」の製品に装備されていたコンデンサー容量は以下の通りです
50V耐圧:10μF(マイクロ・ファラッド)・・・2個
35V耐圧:220μF・・・1個

私自身は「丁度死にかけのバッテリー」に前者を装備してチャージの努力をしてみたり
チャージャーの動作具合なども確認したところ
コンデンサーによる矩形波がチャージャー側の出力を安定させたり
充電不能であったバッテリーが「しつこい補充電の繰り返し」で甦りかけたり・・・
(単に瞬間的な大電流によるショック蘇生であったかも)(^^;)
色々と楽しませて頂きましたが、今回の一連のテストでは
バッテリーとしては新品を購入して補充電後に使用開始でこれらのフィールテストを行っています。

冒頭にも書きましたがデサルフェーターとしての機能に即効性は見込めないと思います、
新品バッテリーでの「体感フィールテスト」でなければ
「体感上のフィールテスト」としては恐らく意味のない話ではないであろう点も付記しておきます。
つまり、サルフェーション状態が改善をみなければ正常なテスト段階に入れないという意味で
一般的な話としては普通にこれまで使用している車でテストを開始したとして
必ずしもフィールが速効で体感出来るかどうかは疑問という点があります。

> 身近なユーザーさんから「良かったので是非お試しを!」というお墨付きを頂き、

試してみた訳ですが、

事実、彼も毎日乗る車両でテストした結果が
「数日走るうちに徐々に大きな効果を体感できる」というアドバイスでした。
サルフェーションが減少して健康なバッテリーへ移行すると内部抵抗も減少するでしょうから
何か良いことは起こるわけですが
バッテリーの状態によって効果の得られる時制は一致しないといえそうですね。

遅効の改善策はテスターの感度なりセンスを問われますから、体感できなかったという意見のいくらかは
遅効によるその可能性も充分にあるわけです。




危険を承知の「愉しみ」として様々な容量のコンデンサーをDIYで試してみるのは実に奥深い
といえますが、逆にコレが迷宮となりうる事も容易に想像出来るので
私としては「後者」の販売について打診もされましたが
「面倒を見切れないだろう」という予想から現在のところは保留となっています。
また、各種耐熱コンデンサーを取り揃えて販売をしていただけないか?
というお客様のご意見もお伺いをしておりますが
残念ながらコレまた余計に「面倒を見切れないだろう」という観点から却下です。
<(_ _)>

DIYコンデンサーの研究は
「改善策」として「研究課題に枯渇した暁」の「ひまつぶし」としては良いかもですね・・・。
変化は確実に起こります、
沢山の容量を試せば「セオリー」なども見えてくるでしょうから面白そうだとは思っています。
されど、私自身はもっともっと楽しそうな他のテストにも追われて・・・、
当分先の話になるのかなぁ・・・。
(^_^;)

デサルフェーターとしての機能は欲しいながら、
オリジナルフィールを逸脱するフィールの変化は頂けないので研究が必要
というのが私から最終的な現段階でのメッセージになります。









以上、バッテリーに設置するコンデンサーグッズの話
急いで纏めましたので不備な点、間違った指摘などあるかもです。
随時訂正を余儀なくされるかも知れませんが、現段階で私の思うところ殆ど全て書きました。
「書き殴り」となってしまいましたので「読みにくい文章・日本語」など何卒ご容赦下さいませ。
<(_ _)>


よもやま話・40
Go Back to Home-index
よもやま話・42