「よもやま話・46」

アリシン・オイル粘度調整の実際
そして、使いながら粘度調整の実際


「楽しみながら粘度調整の実際」といった方が正しいのかも・・・。d(^o^)

粘度調整は実に楽しいぞ〜の巻、完結しました。
もう一度アリシンに惚れ直したとしても、誰も困りはしないわけですな。(笑)

20040228 & 20040303
20040304誤字脱字校正・添削・加筆箇所増加で理解度UP---f(^^;)

いよいよベールを脱ぐ
お待ちかねの「使いながらアリシン粘度調整の実際」←遅いって・・・?f(^^;)

寒い日ながらも春の気配がする今頃は、毎年そうですが
意外にも寒い地域の方々が先に動き出す傾向がありまして、このところ急激にアリシンの売り上げも伸びている昨今です。
<(_ _)>ありがとうございます!!
寒がりの方・・・、いつまでも冬眠を決め込んでいる場合じゃぁナイですぞ!!

まずはプロローグ。
オイルの粘度調整は実際にどのようなアプローチで考えれば良いのか、
イメージしづらい部分があるようで
BBS#1657スレッドでも話題に上がりました
上記BBSの問答を改めてご紹介します。


BBS#1657
> エンジンオイルの粘度は、どういう場合に粘度を上げて
> どういう場合に下げるんでしょうか?


簡単にいえば。。。うっぷ。。。。 :-)

しまった、簡単には説明できない・・・、
あ、そうか
「軽くしたい時に下げて、重くしたいときに上げます」
これで簡単にいえました。(笑)

究極の回答は「自分の車で自分が試せ」です。
オイルの粘度によってトルクバンドが変わりますから
「エンジンの特性と自分の乗り方に同期させるための作業」となります。

上げた下げたによって何がどう変わるかは現状の粘度と状態の兼ね合いによっても違うでしょう。

トルクの細いエンジンには軽いオイル
太いエンジンにはもう少し重ため
これは基本です。
あと、トルクレンジの広いエンジンではオイルを重ために振ると最高域のトルクを稼げますが、それと同時に低域の重さがフケの足を引き、一般に燃費も悪化傾向を示します。
逆にトルクの細いエンジンに対して過剰に重たいオイルを入れれば高域の伸びがダウンもします。

全然簡単には説明できない話ですね。

少なくとも「よもやま・45」に書きましたが、汚れていた場合の「初回」との比較は無意味となる可能性もある訳ですから
「被検体は良いコンディション」が必須です。
比較対象が不動でなくては観測が成り立たないという意味です。



次回の更新まで皆さんココでディスカッションしていて下さいな、
エンジンに対するオイルの適正を探るのは非常に楽しい作業です。



>>>>

そこで、ばーね氏からのレス

>>>>

さてはて・・・・・どうしましょうか・・・・・(^_^;)

基本的にメーカーが指定した粘度が万人向けであり、そのエンジンの耐久性を保証できる粘度であります。
普通は上下させません。
メーカー指定の幅がある場合はその範囲内でOKです。

でも、私もそうですが粘度調整をする人がたくさんいます。
なんでするんやねん!ってことなんでしょうが、それは
「自分が想像するフィーリングとエンジンのフィーリングが異なるので、その調整」
をしているだけです。
回転の上昇速度に対するトルクの出方なんかが変わります。
もちろん、燃費も変わってきます。

いつ、どんな状況で上げ下げするかですが、これは個人の好みでしょう。
ぴったりと決まれば大概の方はそれで納得行くはずなんですが、好みで「もうちょい」という部分が変わって来てしまいます。

ご自分の保有車両で
1週間0W−20、次の1週間は20W−50
と両極端な事を実施するなどして体感されれば段々とスキルが身に付くと思われます。
スキル向上には多少の出費はありますが、人に聞くよりやってみた方がいいと思います。

ご自分の感性を信じてください。

粘度調整というと何か七面倒臭い話に聞こえてしまうのか


どうも一般的には「とっつき」の悪い話のようですかね・・・。
一般常識としては違う粘度のオイルを混ぜ合わせて使用するという事自体がNGなのですが
アリシンのオイルだけはもともと「末端ユーザーが自由にそれを行えるように調整されたオイル」として

0W
0W20
10W30
15W40
20W50


の5種類の粘度をリリースしています。


アリシンのページにあるように
粘度調整は思いのままですから
チャートによって表示されているレートによる調整粘度でオイル交換を行うのは勿論ですが
以下のチャートを参照して2種類の粘度で配合比率を調整すると
オリジナル粘度ラインナップ以外に存在する殆どの粘度を実現できます。


上から下へ行くに従って粘度が上がると思って下さい。
-------------------------------------

0W

0W20


5W20 = 0W20 (80%) / 10W30 (20%)

0W30 = 10W30 (85%) and 0W (15%)

5W30 = 15W40 (75%) and 0W (25%)
 or 15W40 (63%) and 0W20 (37%)

10W30

0W40 = 20W50 (65%) / 0W (35%)

5W40 = 20W50 (80%) / 0W (20%)
 or 15W40 (85%) / 0W (15%)

10W40 = 15W40 (88%) / 0W20 (12%)

15W40

0W50 = Not Available(理論上不可)

5W50 = 20W50 (90%) / 0W (10%)

10W50 = 20W50 (93%) / 0W (7%)

15W50 = 20W50 (90%) / 0W20 (10%)

20W50

-------------------------------------
▼ラビリンス
迷路回避の為には上記のチャート通りにブレンドして下さい。
上記のチャートに存在しない混合比はあなたを迷路に陥れます。
いきなり「適当な混合比」というのは、ご自分の現在位置が不明になりますから結果的に遠回りとなります。
ご注意下さいね!

果たして、

何処のショップに行っても店頭でラインナップされているオイルには種々のオイルメーカーと様々な粘度が色々とあって
「コレ試してみますか?」で、いわゆる「吊るし」を試すのが店頭に於ける販売の常套手段です。
次に試すのは「同じ粘度で別メーカー」となるのが関の山・・・で、
よしんば「同じメーカーで別粘度」となった場合も「吊るし」でしかありませんから
「その中間」は狙えない・・・つまり「望んだ結果を狙えない」のが通常の話ですね。
しかも一般市場にはオイル性能として「ピンからキリまで」が並んでいると思うのは大間違いで
実のところ「ピン」の商品は非常に少ない・・・。
以前もお話をしたように通常店頭で平易に入手の出来るアイテムは
「下の方のどんぐりの背比べ」・・・に過ぎません。
ま、この話は良いとしても、

「自分に合った粘度を探す作業」
などを強力に推奨するのは日本に私くらいしか居ないかも知れません。
でも、決して侮れない話なので是非肝を据えてイメージしてみて下さい。
ヘタなオイル添加剤を使うよりも覿面の効果が得られたりします、
安いオイルに添加すると非常に大きな効果を得られるとする添加剤なんてもう卒業して下さい。
吊るし粘度で購入したアリシンの性能に驚いているだけでは、まだまだ本来の可能性を無駄にしてますよ!!


先日もご来社の「GT−Rかんちゃん(私の本名と被ってます?)」は前回アリシン20W50をお試しだったので
粘度調整を強くお薦めしておりましたが
お話を進めるうちによく考えてみると
「2種類の粘度を吊るしで試すなら・2度売れる」ということに改めて気付きました。
(商売が下手ですねー、と読まれてしまったような情景で・・・爆!!)

つまり、粘度調整をお薦めする真意が
実は一般的な推奨粘度というのは「自分の乗り方」「エンジンの状態」に対して必ずしもベスト・マッチングであるとは
言い切れない部分があるという事実にも目を向けて頂きたい為です。
これは「使用回転レンジとトルク・ゾーンの関わり」の話なのですが
エンジンが育ったり、年老いたりといった背景によっても要求される粘度が変わるという話です、
以下、順を追ってご説明をしたいと思います。

そもそも、

アリシンは「粘度調整を前提にデザインされたオイル」なので粘度の調整が自由自在といえども、
普通のオイルに於いては同一メーカーの同じグレードであっても本来混合使用を前提にしていない為に、
通常は粘度毎に添加剤の配分、もっといえば使用添加剤の組み合わせやなどが殆どの場合異なるので
化学反応などに因って起こりうる危険性により混合自体がお薦めできないナーバスな話になります。
従って、ここに書かれている「粘度調整」の話はアリシンに限った話なので
他の市販オイルで粘度調整を実行するのは「NG」であり、「危険な行為」であることを肝に銘じて下さい。



まず第一の前提は「アリシンが真の最高級レーシングオイルである」という事実から。

何をいいたいかと申しますと「高粘度オイルが安心という先入観で悪戯に固いオイルを使用する風潮への封印」
これが私から皆さんへの最初の提案です。

例えば通常一般的なオイルとして耳に馴染んだ粘度は
「10W30」ですよね?
これが一般的に使用されるオイルとして「可もなく不可もなし」の粘度と信じられています。
実のところ通常概念としての条件でコレは正解ですが、
普通の純正オイル程度の話であれば・・・という前提の上に正解です。

キーポイントは初めに申し上げました、
「アリシンが真の最高級レーシングオイルである」という点です、
ご存じの通りレーシング・スポーツというものは非常に過酷で、これに使用できるとされるオイルは真に優秀でなければなりません。
ここでもしも、粘度だけが問題なのであればアリシンに30番以下のラインナップが存在するのは無意味に見えますし、
事実レーシングオイルとして販売されているモノの多くには40番以上しか設定のない事にも気付かれると思います。
これはレーシングに特化した為にそうしたラインナップとなった訳ではなく、
レーシングには重たいオイルを選択する傾向の強い市場原理から・・・
といえる側面もあれば、実は大したことのないオイルでは「やはり粘度でマージンを取らざるを得ない」
という事実に対する苦肉の策でもあるといえます。

それではアリシンにはなぜ0W20などという低粘度オイルがラインナップされているのか?
という大きな疑問が湧いて来ると思います。

それは「レーシングオイルとしては聞き慣れない粘度」ではあるものの、
事実「アリシンとしてリリースしているレーシングオイルとして存在する」所以です。
例えば
闇雲に15W50、5W50を盲信してフルシンセという部分だけを語ってコレを使用していた方がアリシン10W30を使用すると
「どうなっちゃったのかと思うほどエンジンがブン回って、以前よりも滑らか」場合によっては「加えて更に静か」とまでいいます。

これはナントカ・トロールとかナントカ・ビルワンなんかのPAOベース・フルシンセのユーザーだった方々から多く聞かれるご感想です。
アリシンは商品説明のページで述べております通りPAO&ESTERなのですが、
半端な価格の添加剤パッケージを使用していない為に実のところESTER100を謳うフルシンセオイルよりも更に良い結果を出しています。

しかるに、アリシン10W30は耳に馴染みの深い10W30という音ではありながらも、
実際にスーパー・レーシングオイルであるという事実
を充分に心に刻んで下さい。


レーシングは非常にマージンの厳しいセッティングの中で行われる究極のステージです。
レーシングオイル選択の真髄はこの土壇場で生き残るための選択なんですね、
巷のゴミに語る粘度の話はここに於いて「共通」とはいえない部分があると思って下さい。
本当に優秀なオイルは如何なる高温下においても劣化を見せず油膜を保持を出来るか?
であって、重たいオイルを選択する=熱タレに対するマージンというのが普通の考え方、
だったとすれば、

熱変化の非常に少ないオイルであれば「闇雲に重たい粘度を選択せざるを得ない呪縛」から解放される事に気付きます。

私が「通常の概念よりも一つ二つ下の粘度をお試し下さい」と申し上げるのはこの部分から来ています。

※ただし、私の所感ではアリシン10W30は巷のオイルよりも少しだけ固めかな?
※それに比べると15W40と20W50は比較的軟らかめかな?


例えば以前、レ△ドラインの20W50をシーラカンス号クラウンバンに使用しておりましたが「ゼリーみたい・・・」でした。
ボトッボトッっと切れてしまうレッドラインのソレに比べると
アリシンの20W50は「アレ?」と思うほど冷感時にもゼリーというよりは「タラ〜」でした。
また従来レッドラインの5W30を使用されていた方々はアリシン0W20に変更されて
「以前よりも静かで滑らかによく回る」と好評です。
もともと皆さんレッドライン5W30を初めて使用された時には「こんなにシャビシャビで大丈夫かしら?」と不安を抱かれたようですが、
本当の性能は見て判る話ではないという事ですね。
アリシンほど熱劣化の少ない長寿命オイルは見たことがない、というのが皆さんから頂いているアリシンの評価です。
ここでいわれる話は勿論フィールが一番大事です、
いうまでもなく
比類のない好フィールが劣化を見せずに保持できる、という意味で非常に高い評価を頂いております、という意味です。


ここでちょっとインターミッション、

オイルの価格に関するエピソードをひとつ。

アメリカで通常「オイルチェンジ・センター」を利用する一般客が購入するオイルの価格
いわゆる一般的なオイル価格は・・・1Quart(946ml)当たり$1.00が相場といいます。
例えばレ△ドラインは通常価格が1Qで8ドル位ですが、ディスカウント店で箱買いをすると普通に1本当たり6ドル台になります。
つまり、これが現地の実売価格・・・。
調べてみると現地流通のWebの通販ならば5ドル台のようです。

日本に流通している正規モノの定価は3500円ですね、
そうなると日本の取扱業者はえげつない悪徳だと思われるかも知れませんけれども、実のところそうでもないです。
以前、ミリテ△クの輸入をして痛いほど味わった事ですが「中間業者は非常に多くのマージンを要求します」
実際に試算してみると解りますが
例えば商社の荷揚げした商品も商社のマージンが乗って卸の最低値段が110%、

通常「商社のマージンは数パーセント」という認識があるかも知れませんが、
それは一つの商談が何億という単位の大きな取引の場合に於いての話です。
通常、特定商品の専業商社がこうしたアイテムの輸出入を行う場合は15%前後が相場となっており
それでタンマリと儲かるのかというとギリギリのペイラインというのが実情です。


これに「卸売り」段階で30%が乗って143%、
「地域代理店」に渡って更に30%が乗ると186%
特約店(販売店)に渡って販売の現場が50%を確保すると278%
少々乱暴な試算ながら大体のモノが現地販売価格の3倍程度となる理由が見えてきます。
(重ねていいますが、上記の数字は少なめに見た比率を当て嵌めています)
最初の110%が仮に115%であれば、最後は278%でなく388.7%になるという、非常にマジカルな仕組みが見えてきますね。
オイルの場合、特にですが
「最後で倍になるところが、現場には商品説明と廃油処理を含めて実作業を伴う点」を加味して考えて下さい。
現実の世の中は流通マージンに3割以上を要求する場面が非常に多いのも事実です。

さて本来、輸出価格は現地の卸売価格よりも低いのが通例ですが、これは海上輸送料金と海上保険、その他輸入に伴う費用によって穴埋めされてしまうので、陸揚げ時点では現地向け卸売り価格とほぼ同等です。
これは一般的な商材が前提の話ですが
販売努力をしなくても「置いておけばアッという間に売れる定番商品」の場合には
当然上記のマージンよりも遥かに取り扱い利益率が下がります。

在庫負担部分のリスク・ヘッジは人気商品でない場合には当然割り増しで増加します。
たとえば「誰も知らない商品」は誰も過剰に在庫をしたくはありませんから、
これの在庫は流通側負担のリスクとして増える傾向になる為、その分のマージンを要求されます。
そこで現実にはどんな輸入商材も最初は誰も知らない事になりますから上記の話は事実と思って頂いて大きな勘違いはないと思います。

そこで、ここではオイルの話なのでオイルについてですが、
通常アメリカで使用されるフツーのオイルが1Qで1ドルだと申し上げましたが
日本の実情はというと1Lでの最低価格は大体450円位です。
そうなるとまた4倍は大きすぎるんでないの?という不満が聞こえてきそうですが
日本に於けるオイルは消防法によって保管に対する細かな制限がある為にオイル類は特別な防火設備を持つ油種倉庫に保管をする必要があり、通念上の在庫負担だけでは済まなくなるためこの費用が利益を圧迫します。
私も同様ですが通常は一箇所に大量の在庫を持ちません。
それぞれの流通段階にこの保管料が加算される為、この法的な縛りによって非常に割高となっているものです。
つまり、在庫期間が長引けば保管料がどんどんとマージンを喰って行く・・・という構図が見えますよね。


日本の状況に限っていえば
アメリカのように広大な国土ではないですし、フリーウェイでもない。
燃料代も高く、高速も有料でしかも非常に高価。
狭い国土をちまちまと走る日本の状況は「オイル交換頻度」で見れば数と量でアメリカのようなサイズのマーケットでも有り得ない。
そうなるとオイルは高くても仕方がない状況・・・というのも痛いながら見えてきます。

ただ、現実にディーラーなどでサービスを受けているニッポンの一般大衆ピーポーはリッター1000円以上位のオイルを買っていると思いますが、ディーラーに200Lドラムで納入されているこのオイルの仕入れ単価は通常1Lあたり@△○□円台です。
(流石に値段を公表するのは気が引けました・後ろから刺されたくはないので・・・)
・・・仕入れ単価の△倍強位で販売している・・・とだけ申し上げましょう。(あははっ、表示を△にしました。もう既にみんな見たよね?!)

ちなみに私の調査したマツダDラーのオイル交換は1L@1300円でした、これは工賃込み。
スバルDラーは1L@1200円で、こちらは作業工賃が1台@1000円別途で加算されます。

ちなみに あるディーラーの部品部長によれば、
傘下に「モータースなどの販売店」つまりメーカーの看板を掲げて車両販売にご協力を頂く町工場などへの配慮もあり
ディーラーとしては、油脂類もこうしたモータースに販売する訳ですから「立場」としてあまり無茶に安くサービスを行えない
といった事情も現場からは聞こえてくる訳です。
こうした背景からも、ある程度割高な価格設定となるのは致し方のない「痛し痒し」の情景も見えてきますね。

そもそも、流通には段階と順序に秩序というものがあって、正常な経済社会というものは成り立って来ました。
コストはかかるものの、商品の安定供給の為には未だ欠かせないシステム・・・なんですね。


しかして、アメリカで1Q@8ドルの定価が付いているオイルは日本に持ち込んで正規で販売するならばその4倍・・・。
これが実情というわけです。
それでは、ちなみにそのディスカウントで売っている6ドルのオイルを買うのはどんな連中か?といえば
フツーに考えたらフツーのオイルの6倍の値段を出す「車バカ」といえば・・・??
・・・そうです、ヤンキー・ストリート・レーサー達です。Dragですね。いわゆるゼロヨンとか。

じゃ、アリシンのように1Qで10ドルするオイルは一体アメリカのどんなヒトが買うのか??
・・・という話になります。
アメリカで実売10ドル値引きなしのオイルは・・・正直いって私の知る限り他に存在しません。
実際問題それがあったとしてもそんなに売れるモノではないでしょう。
つまり、純然と「レーシング用」なんですよ。
ましてやレーシングサポートはしているもののそれ以外の処では宣伝もしませんし、
逆に考えれば日本で@4500円位もしそうなオイルをこんな値段で販売している私はまさしく・・・
・・・無謀・・・ですね。
これとて、宣伝を行わないからこそ出来ることであって
皆さんの口コミが唯一の広告手段であるのも事実なので今後とも何卒ご支援を賜りたい部分であります。
よろしくお願い申し上げます。
<(_ _)>


使いながら粘度調整の実際

アリシンは通常日本の市場で流通に乗ったならば1Qで@4500円程にもなる非常にレアで高級なオイルである事を
充分にご理解頂いたところで話を戻して、本題に入ります。



まずは最初に通常日本車の平均的NAエンジンにお薦めをしている
0W20が最初に入れてあったと思って下さい。


非常に軽いながらも潤滑性能はアリシン。高熱による油性の変化は極めて少ない為に熱ダレを起こすというよりは本来の粘度に起因する問題で、例えば
フケは素晴らしい物があるけれども高速度域でのトルク不足などに若干の不満を持たれた場合には少しだけ重たくするのがお薦めです。
これは、高回転域で要求される圧縮を得られない場合に起こる話なのですが、ローギアードで回転を稼いだ場合にはその感覚に出会いにくいといえます。ハイギアードの高速度域に於いて中低域よりもアクセルの反応がスポンジィでリニア感の薄れる場合がそれです。ハイギアードのアクセルレスポンスというのは本来薄れても当たり前の話ではありますけれども、実は粘度の調整でかなりの満足度を得られるものです。
実際には「一つずつ粘度を上げるよりも、2段階位変わった方がフィールとしては捉え易い」という傾向はあるものの
入門編として一つだけ上げるのが丁度平易なのでここでのご説明はまず一段階。
粘度リストを初めてご覧になった初級編に入門の方は調合で完成する粘度ラインナップくらいは全部書き上げられる様になって頂くと理解が早いかも。ハードですかぁ?f(^^;)


1.先ずは入門編のご説明から
0W20に少しだけ粘度を稼いで5W20に振るのは簡単ですね、
全体が0W20(100%)ですから

5W20 = 0W20 (80%) / 10W30 (20%)

例えば全体量が4Lであれば入っている20%の0W20(800ml)を抜いて
抜いた分だけ10W30を注入すると「5W20」の完成です。
カンタンですね。(^o^)
ただし、この組み合わせは直近の粘度へ移行した先には展開の行き様がないので
微妙な差を求める場合にのみ使用するアプローチとして、まさしく幅寄せとでもいいますか。

この方法で0W20と5W20の2種類が試せます。

2.これも上記と同じ方法になります
5W20のもう一つ上の粘度を試すとなれば同様に新油入れ替え時点で「10W30(100%)」を試した後で、
15%を抜き取ってその分を<<0Wで補充する方法で「0W30」への移行が確認出来ます。

0W30 = 10W30 (85%) and 0W (15%)

このパターンは10W30と0W30の2種類を試せます。


3.少しだけ難易度が上がります
その先にあるものは少々難しく考えがちですけれども順番に考えると分かり易いと思います。
次のようなパターンによって粘度の移行が可能で、更にご説明する読み替えチャンスを活かせば試せるバリエーションは又拡張します。

まず、「15W40と0W20の組み合わせ」には

5W30 = 15W40 (75%) and 0W (25%)
 or 15W40 (63%) and 0W20 (37%)

10W40 = 15W40 (88%) / 0W20 (12%)

この2種が挙げられています、従ってまずははじめに「88:12」によって重めの「10W40」を調合していたとすると
同じ2種の混合比率を変更する事で「63:37」で軽めな「5W30」への移行が可能ですね。

ここで完全に反復練習でマスターしましょう、一番大事な練習問題
「15W40と0W20の組み合わせ」

 それでは実際にこれをシミュレーションをしてみる事にします


10W405W30への粘度調整:
10W40/4Lの構成比は上記の比率で「88:12=3520:480」
関数を用いると計算は簡単ですが、ここは「勘数」で行きましょう。(嗤)(^o^)b

10W40を最初から調合するのに必要な比率は上記の通りですが、
次に行きたい5W30の構成比率は「63:37=2520:1480」ですから、まず準備段階として
行きたい先5W30/4Lの37%量の0W20は1480ml
10W40/4Lの成分因子として12%量0W20=480mlなので、その差は1L

仮に1Lの10W40に含まれる0W20因子は12%なのでコレを1L抜いて損失する0W20成分は120mlですから
ここで1Lの混合済み10W40を抜いた代わりに0W20を1L入れた場合にどんな数字になるのかを計算してみます。

1Lを抜いた
10W40/3Lの構成は 15W40 (88%) / 0W20 (12%)=2640ml:360ml
ここに
1Lの0W20を加えたとすると
1000+360=1360で 1480で割った場合の達成率は92%
ここで1Lを対象とした場合達成までにあと8%足りない訳ですから、次に倍の16%増量で試算をしてみます。
つまり、対象とする入れ替え量を1000ml X 116%=1160mlとします。
4Lから1160mlを抜いた残りの2840mlの10W40構成比は 15W40 (88%) / 0W20 (12%)=2499ml:341ml
341+1160=1501(ml)なので達成率は101.42%となります。

大体のところで合っていますがちょっと行き過ぎましたネ。f(^_^;)
ただし、これで「15W40:0W20=2499ml:1501ml」という数字はかなりの近似値を得られたので
目標の「63:37=2520:1480」に対してあとは差し引き勘定20ml程度の「さじ加減」で済みます。

仮にこのままで行ったとして総量4Lに対する20mlは0.5%の差でしかありませんから
調合精度で考えても計測誤差の範囲内ともいえます。
あまり神経質にならずにこんな風に試してみれば良いと思いますよ・・・。(^^;

あと20mlのところなので1160mlでなく1140mlを抜いた場合の計算をしてみると・・・
多分3mlほど固め・・・という結果ですね。

練習として実際の数字を一度試算してみて下さい。





4.更に進化する粘度調整の実際は次のような展開も可能になります。

5W30 = 15W40 (75%) and 0W (25%)
 or 15W40 (63%) and 0W20 (37%)

次に、ここで「15W40と0W20の組み合わせ」により出来上がった5W30
「15W40と<<0Wの75:25」という比率に読み替える事が出来ますから、

今度は別の「15W40と<<0Wの組み合わせ」を見てみると

5W40 = 20W50 (80%) / 0W (20%)
 or 15W40 (85%) / 0W (15%)

「85:15」の調合でこちらの粘度への移行が可能である事に気付きます。


そうなると、次にはこの5W40
「20W50と<<0Wの80:20」という比率に読み替えられますね、

5W40 = 20W50 (80%) / 0W (20%)
 or 15W40 (85%) / 0W (15%)

「20W50と<<0Wの組み合わせ」は以下の通りなので
更に移行可能な多彩なバリエーションがまた見えてきますね。


0W40 = 20W50 (65%) / 0W (35%)

5W40 = 20W50 (80%) / 0W (20%)
 or 15W40 (85%) / 0W (15%)

5W50 = 20W50 (90%) / 0W (10%)

10W50 = 20W50 (93%) / 0W (7%)

>>>

・・・で、
私の場合、使用しながらの粘度調整は以下の通りです。
ボロちゃん号レガシィBF5−TBO/5MTに20W50と<<0Wの組み合わせ
最初は20W50を素の状態で少しだけ試した後、
徐々に<<0Wで粘度を下げる一辺倒の「6種類」を試してみました。



最初は今の話で素の20W50

次に<<0Wを3%(チャートにはありません)20W50と10W50の中間かな?f(^_^;)
15W50 = 20W50 (90%) / 0W20 (10%)←正式なコレは試していないわけですが

<<0Wを7%で10W50
<<0Wを10%で5W50
<<0Wを20%で5W40
<<0Wを35%で0W40

最後の0W40を試した後に10W30も試してみましたが、
使いながら経過する為に0W40オイルのヘタりは考慮したとしても
当時既に15万キロのボロちゃんとしては10W30の吹き抜けは新油においても高域の伸び不足で若干の不満を残しましたので
0W40の常用を決め込みますが、いかんせんこの吹き抜けのせいでしょうか
オイル消費が多く、ある時点から5W40にオイル交換をした折の好感度から現在は5W40に定着しています。

粘度調整に当たっての試算の方法は上記に述べたものと同じですが、
今申し上げたようにオイル消費があるので「抜いては足す」という作業は幸いにして皆無でした。(苦笑)
つまり、
粘度が高いほど油膜は厚く出るので旨い具合に吹き抜けのロスもオイル消費(ロス)も少なくなる寸法で
どうしたことか、粘度を下げたい時には「丁度必要な<<0W量だけを消費していた」為に<<0Wの追加だけで粘度調整を行えたという、
つまり粘度を落とす都度、オイル消費も増えて<<0Wの追加量も増えて望む粘度を実現出来た訳ですから
初トライとしては非常にラッキーな経過でありました。
f(*^_^*)




で、実際にどういったフィールの変化が起こるか?
というのがココで皆さんの一番知りたい部分だと思います。



素の20W50
次に<<0Wを3%(チャートにはありません)20W50と10W50の中間かな?f(^_^;)
15W50 = 20W50 (90%) / 0W20 (10%)←正式なコレは試していないわけですが


この2種類に関してはメチャクチャに重たくて?という程の印象はありませんでしたけれども、
いわゆるGTカーのソレ、というかターボ領域の上の方でアミノ酸吹き出し状態で特に旨さが炸裂です。
通常の使用粘度が0W40ではトルクレンジが4000〜5000rpmですが
このエリアが全体に500回転以上高域にシフトしました。
つまり、高域に於ける吹き抜けをオイル粘度がカバーした為に最高域でのトルクを太らせる事が出来た
という案配ですが、やはり其処までの下からのフケはかなり悪化してしまうのでアクセルはどうしてもON気味となります。
ましてや、高域側にシフトした時の旨さの為にどうしても上を楽しむ傾向も出てしまうともいえそうです。
あまり無茶な事をせずに通勤で使用しても燃費はリッター8を切る位までに低下しました。
一言でいうならば「ムォ〜〜〜〜〜〜ドっかぁ〜〜〜ぁん!」
そう、公称200馬力ながらも特にターボ領域の突出を見せる、いわばターボのパフォーマンスとしてはウケ狙いとしてイイのかも?
結果、下でモタっているならば総合的に速くなるかというと若干は問題が残りますね、
ゼロスタート短距離というステージでは軽いNAに瞬発で負けそうです。
低速ブン回しのジムカなんかにはイイのかも・・・。


<<0Wを7%で10W50
<<0Wを10%で5W50


この辺りの粘度では最高位にシフトしていたトルクバンドは粘度を下げるに従って少しずつ下の方にシフトして
0W40と20W50に於けるトルクバンドの丁度中間位ほどに推移しました。
同様に燃費はこの領域でやっとこさ9キロ台に回復で、低域のフケもやはり中間位です。
中間位という表現ばかりで恐縮ですが、語彙が少なくてすみません。(^^;)


<<0Wを20%で5W40
<<0Wを35%で0W40


こちらでのトルクバンドは今の話で4000〜5000rpmですが
私としては低域のフケと最強トルクバンドへの繋がりまでトルクの谷間、
中だるみを見せずに全域でフラットながら「何処からでも加速する」強いトルク感が得られる
ため
この粘度でバッチリという決定をしています。
ターボ領域の突出は目立たないけれどもかなり低域からターボの助けを得て、まるでNAのように加速する姿、
私としてはコレが一番好きなパターンなんです。
0W40で使用するとボロちゃんの場合、通勤燃費でリッター10を獲得します。
5W40を使用する昨今でも9を割り込む事はありません。

以上、自分自身で読み返してみると体感部分がかなりラフなレポートとなってしまった感がありますけれども
実際にはクルマの本性をどう表現するか?という点で非常に大きくその表情を変える因子となるので
仕上げの作業としてこの粘度の決定は特に重要な意味を持ちます。
オイルの粘度はやはり非常に重要なファクターなんです。


最終的には粘度は好みの問題であり、私のレガシィTBOの場合でも20W50から10W30まで
「どの粘度も不都合はない」といえます。20W50のアレの有りだし、10W30のソレも有り。
好きなフィールにまとめ上げるのは「Tune」つまり「調律」の真髄として最後の味付けとして
本人の好みに仕上げる為の「調整」となる重要なポイントですから
「ショップにお任せ」などといってお金だけを出している場合ではないといえます。


粘度を大きく変動させるとエンジンの過渡特性はかなりの幅で表情を一変します、
これを試さない手はナイですぞ。

少なくともココは「オイルメンテナンス教室」です、
しかるに「メンテナンスだけでココまで来るか!?」その為に最も重要なのはやはりココ、粘度の適正なんです。
聞いている、読んでいるだけでは何も習得できません、実践こそが唯一スキルを磨きます。
オイル添加剤の効いた効かないという話以上に粘度による変化は分かり易い体感変化を得られます、
つまりスキルを磨くには格好の題材というわけでもありますね。

大袈裟な話でもなく、実際には試してみれば比較的簡便な世界です、つまり「分かり易い」訳です。

「ご自分の感性を信じて」というのもその部分ですね、
自信も付けばスキルも上がるといえば申し分なしに「やるしかない」世界。

ちなみに
ロケット号MPVでは0W20と0W40の比較をしてみました、粘度レベルは5段階の差がありますから「分かり易すぎ」くらいに顕著な差が出ました。
結局、0W20に戻った訳ですが家族6名乗車の高速にもう少しリニア感が出ないか、もう少しだけ詰めてみようと思っています。



目指せ!アナタにとってのベストコンディション!
「ドラッグ・チューナーの登竜門」は粘度調整から・・・です。




そこで、使いながら粘度調整の実際で非常に重宝するのが 「MiniChanger」という
指先ワンタッチでオイルを抜ける商品です。
これを使用して抜きたい量だけ樹脂ビーカーなどにドレーンアウトすれば
途中で止められるので「粘度調整なんて簡単じゃんっ!d(^o^)」となります。
ショッピングカートの今月の特価品に用意しており、既に好評のアイテムですね。

GS等の上抜き真空ポンプでも良いのですが、抜き取った量を計測するのが難しいのでそんな場合には手動真空ポンプ式が重宝します。
欧州車など、輸入車の場合にはミニチェンジャーの適合が難しい場合、上抜きの対応になるかと思いますが
そんなわけで例えばこんなのもありますよ!ということで
アストロ・プロダクツのOil-Extractor2009000001497も使ってみました。
機能面は個人レベルならば取り敢えずオッケ。
パッケージサイズが小さく比較的安価なのも嬉しいですね。
ホムセンで売っている小型モーター式12V・・・これを購入された方々からの泣きはもう聞きたくありません、
「ゼンゼン吸わない、やかましい、使い物にならない。」などなど・・・、
お金をドブに捨てましたね・・・たはははは。そんなケースが多いようです。(^_^;)

廃油は廃油処理施設のある処で処分を依頼して下さいね!
抜きすぎてしまったオイルは勿論、エンジンに戻せばイイのです。(笑)



新しいところで「ドリル・ポンプ」
これは電気ドリルの回転を利用するものですが
ギアオイルでも汲めるようです

オイル用ではありませんので、ご使用の場合は自己責任でよろしく。


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