「よもやま話・５」

添加剤の価格と効果について

市販されている「オイル添加剤」に関しては、その価格の部分がユ−ザ−にとっては大きなマジックになる事があると思います。

• １万円内外、つまり高額商品である事はそれなりの効果を期待させるため「効きそうだ」という不確定要素を心理的に「きっと効く」といった自己暗示にかけてしまうのかも知れません。
• TV−Shopping の例のアイテム、「デュ◇ル−ブ」と「○−タ−△ップ」。宣伝内容に興味をそそられている方も実際に多いようですが、現地市場価格は＄２０もしないアイテムですから、輸入元からユ−ザ−への直販によるメリットの部分は広告宣伝費によって吸収されている事が分かります。通常、輸入品目の国内販売価格は現地価格の３倍というのが定説ですから、特別暴利であるとは言いませんが。
• テフロン・パウダ−入りで有名な「ス○△◇-50」。現地では大々的な TV コマ−シャルを続けているため、その人気は定着しているようですが、これも現地の実勢価格は＄１５−１６です。日本での店頭価格は１万円近いもの。（最近では並行物もあるようですが）
  蛇足ではありますが、ついでにフッ素樹脂系製品に関する話：
  米メカニック誌 ”NUTZ & BOLTZ” によればテフロンはスラッジ化等の弊害が警告されていますし、米国陸軍 DEPERTMENT OF THE ARMY は１９９１年９月６日付け。GM は１９９２年５月２８日付けで B-O-C 関係機関 (BUICK,OLDSMOBILE,CADILLAC) に問題を提起する内容の文書をそれぞれ公開回覧しています。
  資料としては両方共私の手元にありますがほぼ同じ内容です、ARMY の方は長いので、B-O-C の内容概略をご紹介します。

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  「テフロンを含むオイル添加剤の使用について」

  １９９２年５月２８日

  TO: B-O-C Flint Operations Site Facilities Supertendents

  このところ、テフロン（PTFE,TFE）を使用した事例報告が増えているようですが、当のデュポン社自身が１９８０年２月１日時点で既にフッ素樹脂がエンジン等内燃機関へのオイル添加剤原料として効果が認められない旨を社内文書で明らかにしています。

  GM リサ−チ・ラボ の報告書にもあるように、テフロンを含む高額な添加剤は「無益」であるばかりか現実にはフィルタ−を詰まらせたり摩耗量が増加したという弊害の報告もあります。関連する公開済み社内資料に目を通して頂く必要があります。

  貴社ならびに関係者各位への周知徹底及び適切な対応を宜しくお願いします。

  Robert S. Metcalf
  Superintendent
  Environmental control
  B-O-C Flint Operations

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  • 今更テフロンの話でもないんですが、アメリカに於いても未だ売れ続けているそうで、コマ−シャル効果の絶大である事の証明にもなります。並べておけば売れて行く商品ならばそれはそれで商売として成り立つ訳です。
    
  • その意味では商品の「製品としての性能の良否」とは全く関係のないところで消費者の需要がある限り、流通業者としては「ニ−ズに応えるという重要な責務を全うする」という大義名分が成り立ちます。これは自由主義経済の掟でありアメリカに限った話ではありません。
    
  • ちなみに、ＧＭ は全世界に渡る自動車造りのネット・ワ−クの中で、その製造の現場に「０−１」を使用する契約を昨年も更新しました。
    だそうです。
    

• かつて、ポルシェ・オ−ナ−の間で話題になった「R△S◇O」というアイテムがあります。未だに話を聞きますので今もあるようですが、これは米国製「パＸ−・パンＣＨ」のリパック品だと聞きます。塩素化パラフィンを含むため初期性能は向上するが、継続的に使用するとパラフィン部分がスラッジ化してオイル・ライン、オレフィスを詰めてしまう。気付かずに走るとエンジンはパアだという話で、メタルブッシュ関係もゴテゴテになり異音が出る。デフも同じくで、各部に腐食も認められる。こうした報告を現実に耳にするのに実際に今も存在するとすれば、それは何を意味しているのでしょうか？本当はそんな事はない安全な製品なのか、または瞬間的にこれを必要とする場合に使用されているのか。いずれにせよ、通常の乗用車に入れたままにするのは心配といえます。
  ポルシェを扱う業者さんの間では、このアイテムによるトラブルが原因で、それ以来オイル添加剤全般に対する不信感というのが根強く残っているようです。実際には「０−１」に関してはポルシェ・オ−ナ−ズ・クラブでも紹介されており、９１年のパ−ム・スプリングスでは「０−１」を使用したマティ−ニ・ポルシェが優勝しています。
  
• 高くても良い物である事が常識的には期待されます。それは一流ホテルのレストランで食事をする時の「価格」対「満足度」に似ています。
  けれども、オイル添加剤に関してはこの常識的な部分が裏切られてしまう話がこれまで多く、苦い経験を持つユ−ザ−さんが後を絶たないのも悲しい現実といえます。
  
• マニアであればあるほど、「一般的には知られていない抜群の性能を持つものが高額」であれば「ありがたがる傾向」があるように思います。マニアにとって良い物が高いのは当然の事なのかも知れません。
  それは「自分達しか知らない」物に対する「特別な出資」である事で満足度が高いのかも知れません。
  
• 幸か不幸か「０−１」は９７年末辺りから「○△□×−ミレニアム」という名前で一般の流通にも乗せられました。その意味ではバイクマニアの間で従来から好評の２３０ｍｌ入りのロゴの異なる「０−１」は専門店店頭価格が６，０００円ですから、「○△□×−ミレニアム」が同量で５，８００円、しかも量販店で販売されるようになった事自体、面白味が減ったのかも知れません。
  最近ではハンズさんにも６，０００円で置かれているようです。
  ただ、これらの同一品は輸入元、発売元、卸元、販売店という流通経路を経ていますから正常な利益をそれぞれの業者が獲得する事でこの価格が成立しており、何処かで暴利を得ている物とはいえません。流通の掟に従えば大手ディスカウント店でも「○△□×−ミレニアム」２３０ｍｌが３，９８０円というのが最安値、これが限界なんだと思います。私が扱っている１６オンスは４７３ｍｌ入りですから、この比率で行けば８，１８５円という事になります。
  
• 「０−１」は、私の意志を汲んで頂ける一部の自動車ディ−ラ−さんでも既に取り扱って頂いており、作業工賃込みで８，０００円以内で一般のユ−ザ−さんにサ−ビスを行って頂いています。実際には、エンジン以外の部分に使用する量も含みますから、価値のある投資になると信じます。例えばトルコン用に別のものを買えば普通それだけで ６，０００−８，０００円 しますから。

オイル自体に含まれる「添加剤成分」＝「潤滑油添加剤」は殆ど全てが「輸入品」です。塩素化炭化水素、塩素化パラフィンも工業用切削油などの用途で極圧剤として輸入品目の登録がされており、関税率は０％です。
なぜなら、「その公害性から国内では製造されていない」(愛知県工業技術試験場談）けれども工業界で必要、という理由の様ですが、「汚染物質」であるという理由から高額の関税を設定する方が道理にかなっていると思うのですがどうでしょうか？

有機モリブデンに関しても開発製造は日本国内ですが、その原料自体は当然輸入品です。とはいうものの、工業用途で大量に輸入されている原料ですから「有機モリブデン」が高価であるといっても工場原価の部分では信じ難いほどの価格です。トヨタ系列で販売されている１００％有機モリブデンも定価２，０００円ですがＪｍｓでは１，２００円。これで採算ラインということは・・・。今後も「有機モリブデン」の商品はどんどん出てきそうですが、便乗組が色々な名前で同じ物を売るといった競争になりそうな気配です。沢山入れると効果が倍になる物でもなさそうに思いますが、現実にはこれを沢山入れて塩素化炭化水素を混ぜた製品もあります。効果は結構あるようですが、これが３，０００円位なら正当かな？と思います。

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（９８１００３）