これぞ虎の巻!
「オイル交換時機を知る目安」


一番確実なのはそのオイルを分析に出してオイル中に含まれる摩耗金属粉を計測する方法ですが、日本ではその分析料が高額で一つのサンプルに含まれる「金属の種類毎に」3,500円もします。つまり一番摩耗のありそうなメタル・ベアリング類の真鍮メッキは銅とスズ、それに鉄の三種類を分析するには10,500円かかります。(プラス消費税で11,025円アメリカの工業界ではポピュラ−なこの方法(全ての金属を計測して6から10ドル)も日本では現実味がありません。でも一度試してみたい気はしています。ただ平準値を知らなければ比較のしようがないので一度では何にもならないでしょうね。


そこで私がお薦めする方法はこのふたつ。

使用頻度が低く「走行距離でオイル交換時機を管理できない場合」には、

11月と3月(4カ月)6月(3カ月)8月(2カ月)そしてまた11月(3カ月)。

1カ月の走行距離が1,000km未満の場合にはこの方法がベストでしょう。
つまり5年で5−6万キロの場合です。夏のオイル交換がポイント。

もっと少なくしたいという場合も梅雨の前か後にオイル交換を挟むのが良い方法です。あとは冬の前か後。

 

そしてもう一つ、それは消費した燃料の量からオイル交換時機を知る方法」です、

まず自動車メ−カ−が公表しているそのクルマの定地走行の燃費(10・15モ−ドではありません)と、メ−カ−指定オイルのグレ−ドとその交換サイクルを調べていただきます。
例えば60キロ定地走行(運輸省届出値)が18.2KM/L で指定オイルでの交換サイクルが5,000KM 毎となっている場合、この定地走行の燃費で5,000KM を走るのに要な燃料の総量を知れば、その数字自体がオイル交換時機そのものとなります。

つまりこの例では5000を18.2で割った数=274.7(リッタ−)を実際に消費した時がオイル交換時機と考えればよいので実に簡単です。
実際の燃費が10KM/Lならば走行距離は2,747KMになっているでしょうし、12KM/Lであれば走行距離は3,296KM。もっと燃費が悪く8KM/Lの場合には走行距離2,198KMという事になります。
これは過激な走り方をする場合も渋滞ばかりする場合も、エンジンの実働という観点から非常に有効な方法で、最適なオイル交換サイクルを確実に知ることが出来ます。
メ−カ−の推奨オイルというのは API 基準による最新グレ−ドよりも大抵の場合1ランク下のグレ−ドになりますから、メ−カ−推奨グレ−ドよりも高いグレ−ドを使用する事はいわば追加の「保険」みたいな意味合いになると思います。


実はこの例は私の車ですが、この方法に気づいて「改めて納得」。かつてしょうもないオイル添加剤(千円程度で毎回入れるもの)しか知らなかった頃に月平均の燃費は8KM/Lくらいで、2,000KMも走るとエンジンがうるさくなっていました。それでも走行距離は年間17,000KM位でしたから月1,400KM。3,000KMでのオイル交換と決めていた当時の私はあとの1,000KMは毎回我慢していたものでした。もっと早くこの方法に気が付けば、今以上に調子がいいんだろうなあ。(ボヤキ)


他のペ−ジにも書いていますが、一度摩耗した金属は復元力を持たない為、二度と元通りにはなりませんから機械であるクルマの金属摺動部は摩耗する一方になります。適切なオイル・メンテナンスはこの摩耗を最小限に食い止めて初期性能を出来るだけ維持するのが目的ですが、実はこれを最小限に食い止める技術と、同じ機械でより良いパフォ−マンスを得る技術は「境界潤滑」の分野としては互いにその効果であり結果であることになります。

例えば先の私のクルマのエンジンオイル交換を2,000キロ毎に行って来たとすると、新車からの寿命はそれだけで5,000キロ毎のオイル交換を実行したクルマの1.2−1.5倍程度になると考えられます。というと大袈裟な話に聞こえてしまうかも知れませんが、「あとの1,000KMは毎回我慢していた」ために3,000KMでオイル交換をすれば新油効果で調子の良くなる事を毎回体感してきた現実がそれを証明しているからです。


ただ、オイルの性能が劣化する前に交換するのは不経済ともいえますし、皆がそんなにオイルを交換したら世の中廃油だらけになってしまいそうです。ただ、この廃油も不法投棄されたり、可燃物として廃却される事で無駄に焼却されてしまう場合が問題なのであって、廃油処理業者によって引き取られ最適な方法でリサイクルされるのならば問題はやや少ないと思われます。(燃料などに再利用されるのは30分の5、あとは何らかの形で燃やされるという話です。)
不法投棄は論外ですが、「燃えるゴミ」として処理される場合も無益な二酸化炭素を放出する事になるという認識を持って頂きたいものです。例えば自分でオイル交換をされるユ−ザ−の方は一旦廃油を容器に溜めて、GSさん等に廃油の処理をお願いすれば、そこで幾らかの謝礼を支払ったとしても「使い捨て廃油容器」を毎回購入する事を考えればその無駄も省けるのではないでしょうか。

ちょっと説教めいた話になってしまいました。
話を戻して、更に良い状態を長続きさせたい、より良いパフォ−マンスを得たいという場合にオイル添加剤の効果に期待する訳ですが、商品の選択を誤ると効果のない無駄な出費に終わり、添加剤一般に対して「だめ」というイメ−ジを抱き続ける事になるようです。オイル添加剤に関しては、私のお勧めするかなりの効果があるものとそうでないものと、高いもの安いもの沢山ありすぎて全てを試してみる訳にもいかないでしょうから別の処でご説明しています、ご興味お持ちの方はそちらをご覧ください。 「オイル添加剤」は本当に効くのか?へ

 


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