まずは「エンジンオイルの話。」


バイク乗りの人はエンジンを抱き抱えているせいかオイルには特に注意を払っている場合も多い様ですが、カ−・オ−ナ−はというと老若男女幅広いユ−ザ−層のせいか無頓着なことが多い様に思います


オイル交換:
オイル・メ−カ−が推奨しているオイル交換のサイクルは3−4カ月もしくは、3,000 kmでの交換がベスト。
「え?そんなに早く換えるの?」「1万キロ換えずに走っても壊れなかったのに?」といったご意見をよく耳にします。確かに"動く"というレベルならつぎ足しだけでも動くでしょう、ただし特別苛酷な条件下でなければの話です。
また、大型乗用車の場合メ−カ−指定のオイル交換サイクルが1万キロ以上のものもありますが、逆に軽自動車の場合は3,000km。当然この走行距離で表現する限りは動き続けている場合の交換サイクルと考えなければなりませんから時間的な観念からも管理をする必要があります。つまり、それぞれの状況に応じたオイル交換が必要な訳ですから一概に何キロ毎と決め付ける訳にはいきませんが、メンテの不足した場合、同一条件下であれば充分なオイル・メンテナンスを行った機台と比べて使用量の割にはガタガタで燃費も悪ければメカ・ノイズの大きいエンジンとなるのは当然です。それは言うまでもなく潤滑の不良による金属摩耗の進行が主因です。摩耗=ガタですからメンテの悪いまま使い続ければポンコツ度は加速度をつけてもう乗りたくないクルマを促成栽培します。
機台の個体差(いわゆる当たりはずれ)も実際には多いようですが、メ−カ−・サイドでは製品としての精度が基準値以内とされる為に起こる精度差としてその部分を諦めざるを得ないなら、「はずれ」なりの性能を維持する方法はユ−ザ−・サイドで責任を持つしかありません。それは「当たり」であってもやはり同じ事が言えます。


オイルの役割:
オイルを敢えて潤滑油と呼べば読んで字の如く「潤って滑る油」。つまり金属面を油膜で覆い、摩擦を減らし、よく滑らせてやることで金属面の発熱と摩耗を防ぐことが第一義です。(流体潤滑)
どれくらい「まめ」にオイルを交換するかは、その人の機械(車)に対する思い入れによって違って来るわけですが、車をオペレ−トする以上オイルに対する専門的な知識よりも「いつ交換するのがよいのか」を知り、交換を「実行」することがキカイであるクルマの「快適さ」を長続きさせるコツと言えます。
(オイル交換時期を知る目安へ)

 


オイル交換の意味:
新油によるオイル性能の復帰は勿論、大切なもう一つの意味は「排泄」です。
オイル性能の劣化は同時進行で不純物の生成を促すばかりか、そのまま使用することでエンジンに与えるダメ−ジは加速度的に増えて行きます。オイルさえ入っていれば大丈夫という勘違いをしている人は意外に多い様ですが、それはオイルが無いよりはマシという意味でしかありません。機械の最適な状態を維持するには適切なオイル・メンテナンスが命綱となります。
とは言うものの、ある程度の知識がなければオイルの選定もままなりません。そこで、ここではオイルに関する基本的な話を分かり易くご説明して参ります。
早めのオイル交換を推奨するのは/
苛酷な条件というのは何もレ−シングを意味するわけではなく、例えばスタ−ト・ダッシュの多い市街地走行には、いわゆる毎時60キロ定地走行とは比べ物にならないほどの負荷がかかります。それは燃費の差を見ても明らかです。
また渋滞の多い環境では(同じく燃費が悪くなりますが)エンジンの空転している間のアイドル・タイムが当然トリップ・メ−タ−の走行距離に反映されません。
これらの場合は早め早めにオイル交換をすべきです。
工業用機械やフォ−クリフト等のように走行距離で仕事量がカウントし辛い場合はアワ−・メ−タ−でそれらの稼働時間を管理している場合もあります。普通乗用車(自家用車)の場合週末のレジャ−や買い物に乗る程度なら4カ月という時間的な概念で区切っても2,000kmも走っていないというケ−スはよくあります。
「高速走行」の多い場合も早めの交換が望ましいのですが、人によってその速度は千差万別。80キロ以上出さない人もいれば、常に限界域のチャレンジャ−も少なくありません。クルマ自体の性能もまちまちでざっと見渡してもその最高速度の差は100キロに達します。従って高負荷であるかどうかはその速度では知ることが出来ません。

ここがだいじ。
「負荷が高い」というのは仕事量が多くて熱を持つ状態だと考えればよいでしょう。
回転数という考え方も正解です。つまりトルクの太い大型トラックは低回転でも高速走行が可能で、逆にトルクの細い小型エンジンは高回転でパワ−を得なければなりません。

話が横道にそれますがエンジンは機械なので、仕事の負荷も大切ですがその累積の回転数で自ずとその寿命も決まると言えます。勿論最適なオイル・メンテナンスを行っていての話です。同じ回転数なら負荷が軽ければその寿命は軽いほど長くなります。同じ負荷でも回転が高ければ高いだけ寿命は短くなります。(単位時間当たり)極論:エンジンに限って言えば原付に始まって小型バイク、軽自動車、中型バイク、小型乗用車(貨物)、大型バイク、中型乗用車(貨物)、大型乗用車、4t貨物、11t貨物。大体この様な序列で生まれながらの素性として長生き、勿論その使い方によっても違ってきます。ほぼ排気量の序列になってしまいました。
そう考えると何でアメ車がでかいのかも少しだけ納得できます。大トルク型のエンジンは低回転で長距離を高速巡行できるため機械的な損失が少なく長持ち:それはあくまでも同じアメ車の中型エンジンと比べての話:実際には日本車がそんな用途の中で中・小型エンジンの割に信頼性が高い事で人気があるわけです。(ディ−ゼルは丈夫か?にも同じ様なことを書いてしまいました。)
横道にそれついでに日本車が80年代のアメリカでビッグ・スリ−を凌ぐ程の勢いだったのは:もともと燃費の悪い大型車ばかりを創っていたアメリカのカ−メ−カ−に対して「生産販売する車両の平均燃費を改善しなければ増税の対象にする」とした当時の米政府の政策に呼応した結果であって、日本車を自社ブランドで販売する(いわゆる OEM: 日本車が OEM 納入された)ことによって彼らはその販売車両全体の平均燃費を向上させ、加算されるべき税金を免れようとしたのがそもそもの始まりで、アメ車のチャンネルで販売した日本車は売れに売れた。あの当時現地のレイバ−ズ・ユニオン達によって日の丸や日本車に火をつけてひっくり返すなどのアピ−ルがよく報じられましたが筋違いの逆恨みだったんじゃないかと思います。


オイル・油・潤滑油?:
オイルは油。つまり天ぷら油と同じく油です。天ぷら油は鮮度が大切で、しかも一度熱が加わればそれだけで酸化傾向を示します。つまりこの温度変化がくせ者で一度熱の加わった油は使わずにしまって置いても食味は落ちてしまい、この場合どんどんと酸化が進むと最後には粘着性の物質へと変化してしまいます。エンジン・オイルも油であるため物性としてはこれとほぼ同じと考えればよいでしょう。ただ食品とは違うため様々な添加剤が組み合わせて配合されているので、シリンダ−内で600℃程の高温にさらされてもある程度はその性能を維持できるように設定されています、それでも高温にさらされる時間が長くなればそれだけ早くその性能を失うことになります。エンジンスタ−ト・ストップが多ければ、オイルの温度変化も頻繁になりオイルの性能劣化は早まります。これらは作動時間という観念では管理できないため「早め」の交換が望ましいと言えます。
それではその「ある程度」というのはどの程度の事なのかというとオペレ−タ−(ドライバ−)の主観に頼る部分になってしまいますが、グレ−ドの高いオイル程そのオイルに含まれる添加剤成分が高品質であり機械を守る能力が高いと解釈すれば良いでしょう。「API/アメリカ石油協会」の定める「APIサ−ビス分類」と呼ばれるものが、使用する機器に対するオイルの適性を区分しているのでオイル選定の目安となっています。


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