プラグインデクシング実践のススメ♪
インデクシング:
プラグの向きを揃える話から何年経ったでしょう
新たにこちらを訪れる方にとっては耳に馴染まないであろうこのコトバ・・・
はじめての・・・♪
やってみよう♪
ところで・・・
プラグのインデクシングって何?? (^_^;)?
インデクシングはプラグ交換に「ちょっとした気遣い」を加えるだけです
d(^u^)
難しくないの?
そうです、覚えればカンタン、更に、覚えてしまえばジョーシキ。
誰でも最初は初めてです、あなたも是非この機会に実際にチャレンジして完全マスターして下さい。
いよいよ、インデクシング指南です。
レーシングエンジンでは常識レベルの話でも、
乗用車レベルではあまり知られていないインデクシング・・・なぜ?
レーシングプラグはスタンダードプラグの接地極とは軸の形状がまるで違います
普通のプラグではカギ型のL字型フックであるのに対し、レーシングプラグではこれがいわば極端に短い直線軸で斜め「チョン付け」です。
また、これが高熱価となるために「冷え型」の傾向として中心極も碍子部分の突出がなくなりネジ部の内側へ埋没する傾向になります。
つまり、突出した先にある碍子の先端を目指す必要がない
このためL型のリーチを必要としないので直線で斜めに最短の接地極・・・というわけです。
そこで問題になるのはレーシングプラグの場合「接地極が短く突き出していない放電部」が実は着火をしにくい・・・
という性格を持つことです。
これは燃料と吸気の混合された混合気の流れ込みに対し接地極の影となっている場合の放電は着火性が極端に悪化しますので
この吸気の流れに対してプラグのセット方向を調整することで改善を図る必要が出てきます。
この着火性の向上を狙うための気遣いが「インデクシング」というわけです。
それでは先ず、インデクシングの概念を改めて簡単に説明します。
写真は軽自動車TODAYのE07Aエンジンです、
エンジンを真上から見て赤いプラグコードが3気筒なので3本
◆写真のPGM−FIと書かれたプレートの上にインテークマニフォールド(銀色部分)が3本あります、こちらが「吸気側」
◆これの反対側(手前側)が「排気側」です。
吸排気の合計が4バルブ式であることと燃焼室内のスワール(気流)についてややこしく考えたがる人も居ますが
ここではシンプルな概念として吸気で吸ったものが排気に流れる
つまり「写真の上から下に向かって(この車両の場合は後ろから前になります)流れる」という解釈でOKです。
取り敢えずこれ以上難しく考えても話が先へ進みません。(笑)
↓ ↓ ↓ |
↓ ↓ ↓ |
この場合、燃焼室の気流は↓この方向に流れるという概念でおおよそ正解です
そこでスパークプラグの先端は誰でも見たことがあると思いますが、JというよりはL型フック形状になっています
L型フックの開いている方を吸気側に向けて吸気を迎え入れるように=軸側が排気側となるように
これを心掛けるのがインデクシングによる「改善」の狙いです。
(逆になっていると吸気に対して軸の影で放電することになります)←最低限これを避ける
「吸気側がエンジンルームを覗き込んだ12時方向」という観念でみると
こちらの写真ではカギ型をした接地電極が左側9時方向に向かってOpenですが
インデクシングという考え方の基本は
このOpen側が吸気の↓に向かって開いているのが大吉というわけで、出来ることならばもう少し「向こう」を向けたいわけです。
つまり6時方向に向かって流れている混合気に対して正午方向にOpenで構えるのが大吉だとすれば
6時方向に向かってOpenの場合(カギの軸・根元が正午に向いている)は大凶ということになります。
◆Open側が正午を指しているのが大吉、そして6時を指していると大凶です。
せっかく時計の文字盤に例えましたのでこの説明を補足します
◆正午側 BrightSide: 9時から3時までが吉相つまり総じてベター |
||
◆FairZone?: 正確に3時と9時、つまり正午に対して直角であれば中吉ですが |
||
◆6時側・・・: つまりDarkSide 3時以降から9時までが凶相となります |
||
インデクシングは最良(この例では12時界隈)を求めるのが文字通りベスト・・・ではありますが
改善という視点で捉えれば
6時側(3時過ぎから9時まで)にあるBADからの改善を試みることが第一義であることを知って下さい、
必ずしも全てが12時を指さなくても12時側の±90=180°(つまり9時〜3時)範囲内を目指すことで必ずやエンジンの反応は改善します。
◆ベストゾーンも正午丁度ではなく11時〜1時と思えば気分的にもラクです。
◆正確に3時と9時もベストの次くらいに良いと思って下さい。
基本概念は以上の通り
6時側のダークサイドにあるプラグを賢者の域12時側(吸気側)に誘う、
シンプルにそれだけのことです。
全てを12時周辺に・・・とならなければ改善しないというものではナイですから
改善を目指してチャレンジをされて必ずや吉のメニューです。
いよいよそれじゃ実際に「どうやってやるの?」です。
殆どのプラグはガスケットが潰れて密着するタイプのものです、
コニカルシート型はこの限りではないのでインデクシングワッシャーを使用するしかありません。
少しだけ余分にありますので必要であればバラでお分けします、その旨メールにてご相談下さい Morosoの製品です冥土インUSA。
現在乗用車に使用されている標準的なプラグが新品の場合は
プラグ(ガスケット)が取り付け座面へ確実に当たってから
「1/2〜2/3回転:つまり180°〜240°」締めることになっており、
また、これが再使用の場合この締め込みは「1/12回転(30°)」です。
ここでいうインデクシング技はガスケット側の潰れマージンを利用してその配置決めと締め込み加減によって調律を行うテクニックです。
私の経験でいえば
プラグが新品の場合にインデクシング作業を完了出来なかったことは皆無です、
使用中のモノでもほぼ間違いなく改善することは可能です。
このタイプにもインデクシングワッシャーという厚みを選択出来るガスケットもありますが
ガスケットを重ねてしまうと緩みの原因となるだけでなく
圧縮漏れの発生する可能性が非常に大きくなるのでもしもそのようなガスケットを使用される場合には
オリジナルのガスケットは切り取ってしまうことをお薦めしますが
特殊な工具でも無い限りプラグ側の座面を傷つけてしまえばそれこそ圧縮漏れだけでなく
ブロック側座面へのキズも発生する危険が伴いますから注意が必要です。
こちらも少しだけですが手持ちがあります、メールにてご相談下さい。
ここでは
出来る限り新品のプラグにてそのガスケットの厚み融通というマージン部分をお薦めする作業法をご紹介します。
その意味でガスケットが既に幾分かは必ず潰れている現車装着プラグの場合
その融通性は分母が小さくなっていることを知って下さい。
(インデクシングが不可能という意味ではなく新品よりも難易度が高くなります。まずは改善を目指してのトライアルにGOです。)
装着プラグで改善が確認出来れば
高性能プラグへ変更という欲も出てくると思います、段階を経て進化して行く様子を楽しんで下さい。
はじめは装着されているプラグのあっちこっちで試されれば部品代への投資は必要ありません。
私の使用している工具です、9.5mmBOXソケット・ラチェットレンチセット
斜めに置かれている左が16mmのプラグ用ソケット(磁石式)、右は短いエクステンションバー(マーキングを施しています)
この箱に収まっているセットの長短両方のエクステンションはジョイント部に若干の融通性があり繋ぎ目で少しだけ曲がりますが普通は曲がりません、チカラをかけるときは曲がることによる不安もあるので曲がらない普通のものが好きだと仰る方は多いと思います、私も実はそうです。
買ってから気づきました。(笑)
しかしまっすぐにレンチの入りにくいレイアウトのエンジンではこうしたジョイント部で救われる事が多いので
普段はこのセットを持ち歩いています。
特に困難なレイアウトでは左下のユニバーサルが大活躍することもあります。
マーキングの配色はお好みで構いませんが4色が良いでしょう、私は9.5角の角部分の外周に上のようにマークを施しています
4色マークの中間部分を私の場合は白くしています。
◆最初に透明テープを貼り付けて、ソコに油性マーカーなどでマーキング、
◆次にマーカーの上からもう一度透明テープを巻いて色止めです。
これで作業時に擦れても色落ちしません。
左がそのマーキング付きエクステンションとプラグ
中央の筒が16mmのプラグ用ソケット(私のお薦めは磁石保持型)
ゴム製の保持部のものは凶です。またTバー型のプラグレンチもお薦めしません
ラチェットなりボックスで使用出来るものが吉です。
右にはもうひとつエクステンションバーとラチェットレンチのヘッドが写っています。
まずは、エクステンションバーの先にプラグ用ソケットを取り付けて
装着されているプラグの向きを確認します
写真のようにこのマーキングを活かして「この向きでプラグソケットを差し込み」プラグを抜き出してみます。
(途中でプラグとソケットが外れてしまうとアウト・・・ですね、一応慎重に・・・)
抜き取ったエクステンションの向きを最初の「この向き」にして先端に付いてきたプラグの方向を見ると
エンジンの中でプラグがどの方向を向いていたかを正確に読み取ることが出来ます。
もう一度この写真です例えば抜いてみてこのように9時を指していたならば
このプラグホールに対してこのプラグを再使用した場合、
プラグのガスケットが取り付け面に当たってから30°締め込んだとして
恐らく先ほどよりも少し進んだ向きで収まる筈です。
そうなれば更に改善というわけです。
30°は1時間分になりますからあわよくば10時(正午に近くなるほどベターかも)
もしもガスケット側の潰れマージンに余裕があればもう少し行けることになります。
註)一気に余分に締め込むのは囓りの危険が大きくなりますので一旦緩めてからもう一度30°のつもりで締める
これを繰り返すのもひとつのテクニックですが締めすぎるとブロック側のネジ山を損傷しますので
自信のない方は決して深追いをされませんように。
また締め足りない場合は圧縮漏れや緩みの原因となり
「何の為に弄ったか」分からなくなりますのでその点もご注意下さい。
さぁ♪ プラグの装填です
抜き取ったプラグの向きを知る方法が理解出来ればその方法はお分かり戴けるかと思います
このようにマーキング位置と一直線となるようにOpen側を揃えてセットしたら
まずこれをエンジンに差し込んでガスケットが当たるところまで回してみます。
こんな感じにセット
新品のプラグは先ほども書きましたガスケットが座面に当たったところから1/2〜2/3回転
つまり180°〜240°締め込むことになっています(再使用では30°です)
12時に対して最初が6時であれば180°で正午
240°で2時ということになりますね。
12時に対して最初が4時であれば180°で10時
240°で正午です。
◆座面に当たったところで締めないうちからベストの位置になってしまうものは別のプラグホールへ使用することを考えて一旦これを抜き取り、その旨を記録するなり記憶するなりしてこのプラグホールには別のプラグで再度チャレンジします。
この方法が面倒と思われるのは
こうして順列組み合わせで3気筒ならば最大で9通り
4気筒ならば16通り、6気筒ならば36通りを試す覚悟を決めることから始まる点です(笑)
「その程度の苦労はいとわない」
というチャレンジャーのみがこの恩恵を授かります。
→→→ そうでなれければSBCチューンドでセッティングの苦労を避けても向上を得られる方法を用いるか・・・
とはいえ、
たとえSBCでもこれに精緻なインデクシングを加えるとこれまた怖ろしい程の向上を見せるのも事実です。
またのちほど・・・。(笑) SBCをお願い出来る達人ご紹介?ナイショですってば。知りたいですか?メールで。 f(^_^;)
・・・というのも
ご自分でのDIYには自信がないので整備業者に作業して貰おうと考えたとします、
しかしその意味ではインデクシングというのは整備工場のメニューにはない特殊作業なので整備の現場としては「プラグ交換手数料」という決められた作業工賃以上は請求も出来ない、またインデクシング自体も一般の整備技術として習得する範疇のものではないので事実上そうした施工を実施したこともないのが普通ですから、業者へ依頼をするのは元来が無理もあれば筋違いのような話です。
確かに普通にプラグを交換する手間と比べればインデクシングはベラボーな手間です、
その時間工数を請求出来なければ作業現場としては実際に「大赤字」となるわけで
プラグというのは最低限装着をされてエンジンがかかればオッケーな部品ですから
一般整備レベルでそれ以上の認識はないというわけです。
「カネも取れない作業なのに面倒なだけ」ならば誰でも手を出しませんね・・・。現場はオキノドクというわけです。
レースの場合は・・・そう、 どんなに面倒でも勿論・・・、 勝つために行います。
◆いわばチューニング:
つまり気遣いレベルであってもいわばそれは「チューン」のスタンスに位置するものです
体得されれば「インデクシングを施さずにクルマには乗れない」気持ちもお分かり頂けるでしょうし
これを行わずには我慢の出来なくなるのも事実です。
チューニングを施すという意気込みで取り組んで下さい、まさしく文字通りチューンUPです。
同じ意味でSBCチューンドプラグに関しても同様です
いうなればエンジン本体で燃焼に関わる部品に対して直接に加える加工手段ですから
効果があってあたりまえという次元なんですね
尚かつ分解整備を伴わずにシンプルに装着するだけです。
私自身はインデクシングはもとより勿論SBCの虜ですから
当然これまでの所有車両は漏れなく全てがこれの洗礼を受けています。
これほどにシンプルでかつ効果的、全域で6%の向上を見せる技といったら
他に考えつかないです。
更にインデクシングワッシャを用いて更に砥石まで持ち出しての厚み調整作業へ追い込むという
執拗なまでの作業で初のSBCによる精緻なインデクシング「11−1時」を実践したE07A・・・
それはそれはとんでもないことになりました。かつてない快挙です。(^^;
◆観念的にも重要な点
それは以前にも書いていますがもう一度述べます
「以前乗っていたあのクルマはアタリが良かった」というコトバがあります。
もしもそれが偶然の仕業で意図しないまま偶然にもインデクシングによる改善済みと同じであったとすれば
インデクシングというキーワードでこの謎が解けるのかも知れないと思っています。
つまり、
内燃機関というのは連鎖爆発の如く次々に点火爆発を行う連続した炭化水素の燃焼によってクランクにトルクを与え続ける機関です。
例えばこれの着火精度なり燃焼環境がシリンダー毎にひとつずつのバラツキが多い場合・・・
それは振動を意味することになれば、結果的に振動が邪魔をするため効率の悪い仕事しか出来ません。
発動力の劣るシリンダーはそのシリンダー自体が良い環境で運営されないばかりか
優位性のある発動を阻害するだけでなく他のシリンダーにも負荷を与え続けるわけですから
「インデクシングをせずにエンジンを育てること」が良い調教となり得ないことが分かります。
逆にいえばブレイクイン(つまり馴らし)の時期が最もエンジンを育てるため「特に最初が肝心」だとすれば、
インデクシングをせずに行う馴らしなどはソレこそ「愚の骨頂」とも思えるわけです。
良い素性のエンジンに育てる為には良い環境を整える
子を持つ親の考えることはいつの世も同じ?(笑)
機械であるエンジンを逆境で鍛えても痛むばかりでそれは単なる虐環境でしかありません。
その意味では中古の場合も実は同じです
あなたがそこから乗り始めるならば、あなたにとってそこがスタートに変わりはないわけです。
(クルマがこの話を聞いたら嬉しくて涙を見せるだろうなぁ・・・)
初めての方もこの機会に奮起してチャレンジしてみてください
昔からプラグの交換はDIYの登竜門だったと思います
最初は誰でも初めてです。
皆さんのインデクシングの体験談・苦労話
是非お聞かせ下さいっ!!
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