「10万キロがクルマの寿命?」
国産車のメ−カ−保証は、5年:10万キロ
輸入車の場合は、2年から3年: 5・6万キロ
メ−カ−により、保証個所の設定は色々ですが大体こんな処です。
新車の買い換え時期は、新車の購入から3年或いは5年が最も多く、
先進国を含む諸外国の平均車令がほぼ10年であるのに対して日本国内の平均車令は約7年から8年。
この様に日本の車令が特に短い理由は、
上記メ−カ−保証の問題に付随して税法上の減価償却の考え方、それに査定価格。
つまり5年から6年で残存価値がゼロになってしまう為に、概ねそれを過ぎたクルマが人気車種でない場合には
中古車市場での商品価値すら失ってしまうので、そのような車両は解体され、
解体部品として流通するかユ−ズドパ−ツとして中古車と共に輸出されています。
これら日本の中古車、ユ−ズド・パ−ツの海外での評判はどうかと言えば、
「アズ・イズ(そのまま)でオ−バ−・ホ−ルの必要なく、充分な状態なので非常に有り難い。」と重宝がられています。
裏を返せば、日本のユ−ザ−は非常に贅沢に新車を乗り継いでいて、それは他の先進国の比ではないことになります。
また車検制度自体の内容が見直されたとはいえ、
やはり車検満了時期となる3・5・7年目にはユ−ザ−心理に買い換えを促している制度と言えます。
ただ改正された本意が未だに中途半端にしか内容に反映されていない部分もあるようですし、
ユ−ザ−には未だに車検の意味すら理解されていない現状も嘆かわしく思います。
車検の本来の意味は検査であって、その姿勢は以前と何も変わっていません、
検査項目の簡素化が成されましたがそれは「管理責任をユ−ザ−側に一任した」だけの事で
車検をパスする事で車検満了時までの機台の稼働を保証する物でも何でもありません。
それは検査当日に検査項目をパスしただけです。(当たり前の話で・・・
(車検制度見直し)
車検制度の見直し、その大きな流れとしてはトラブル予防的な整備をユ−ザ−の選択に任せる事になった、
つまり予防的な整備・部品交換がユ−ザ−の意志に委ねられる様になったこと。
この部分が「規制緩和」。
これは言い換えれば「ユ−ザ−・サイドにもそれなりの知識が要求されるようになった」ということです。
従ってユ−ザ−がその知識を持たない場合は、
従来通りの「すべておまかせ(フル・オプション付き)」の整備保証付き車検を依頼するのが望ましい事になります。
逆にユ−ザ−が知識のないまま、その場凌ぎの「安上がり」を選べば、不意なトラブルによる例えばレッカ−代とか、
車にとって致命的な故障となって、最終的にはユ−ザ−自身がそれを負担する事になり兼ねません。
話を元に戻して、これらの要因はユ−ザ−の心理に対して、ほぼ7年目頃になると
「もうクルマを替えよう」という雰囲気を充分に演出してしまい、
まだまだ使える車両を「仕方ない」と言い聞かせながら廃車にすることになります。
そこには、ユ−ザ−の誰もが知らず知らず信じ込んでいる「10万キロ寿命説」も大きな引き金になっているのではないでしょうか。
「10万キロ寿命説」
殆どの車両が10万キロ未満で「廃車」となっている現実を見るときに、
果たしてこの説を立証している例がいくつあるのでしょう。
実際にはそれらの車両及び部品は、その後海外で現役として充分に活躍しているのは先ほどの通りです。
それと、ポンコツにしてしまうかどうかはオ−ナ−の気配り次第。
「車ごときもの」に余計な金をかけるのは特別な趣味のヒト以外関係ないと思っている人に限って
高価なクルマを使い捨てにしてしまっている場合が殆どで、
気づかないうちに10万キロが寿命と信じているために
「10万キロ故障無し」の特典だけのために何百万もする新車を購入するのは、どう見ても無駄が多いのではないでしょうか。
自動車王国・アメリカでは、片道100KM程度の距離をマイカ−通勤している例もごく普通の事です。当然機械であるクルマは使えば使っただけ痛みます。オ−バ−ホ−ルは必要になるとしても、それでも平均車令は10年、合理的な使用法です。日本の常識で言えば、12万キロ走行した車両は2年でもポンコツです。
(適材適所という言葉がありますが、これまで「快適」を維持する為の最適で有効な方法を知らされなかった日本のユ−ザ−独特の悲劇なのかも知れません。)
従ってアメリカでは走行距離が10万キロに満たない中古車を探すのに苦労するほどで、3年落ちで少し安いなと思えばばだいたい20万キロものです。それでもその中古車の実走距離はきちんと明示されているのでフェアだなあと感心します。一般的にはその10年の間に約50万キロを走行し、その間のエンジンの載せ替えは大体3回、多い場合で5回と言われます。エンジンに限らずリビルトの盛んに行われているアメリカでは個々の大修理をするよりも在庫されているリビルト品に載せ替える方法が一般的で、そもそも簡単な修理や整備はDIYで済ませる場合も多いようです。ただ日本国内においてもこのリビルトは各自動車メ−カ−系部品メ−カ−或いはその末端であるサ−ビス・ショップ(ライセンス取得)によって行われていて、キャブレタ−やスタ−タ−、オルタネ−タ、パワステ・ポンプ、トルコン・ミッション、タ−ボ・チャ−ジャ−、エアコンのコンプレッサ−、インジェクション・ポンプ、インジェクション・ノズル(いずれもディ−ゼル車)等のように重要な機能部品でその単価が高額な物は大体リビルト品(リンク品とも呼ばれます)で間に合います。これらリビルト品に関してアメリカと日本の大きな違いは、日本がこれまでメ−カ−系のソ−スに偏ってきた一方、アメリカはその圧倒的な需要に対して独立した資本もリビルダ−として参入し、凌ぎを削っているためユ−ザ−にとってはその競争が好条件となっているところでしょう。
とは言うものの、新品の部品と比べれば日本でも相当に値ごろ感があります。なぜなら、これらの部品は新品ということになれば当然「純正部品」に頼るしかないためです。中古部品(リサイクルパ−ツ)という考え方もエコロジ−の時流に乗って改めて見直されてきています。その流れの中でリビルト品も一部ではメ−カ−系のソ−ス以外からも入手できるようになってきました。リビルト品もリサイクルパ−ツをオ−バ−ホ−ルした物であるためリサイクルパ−ツの範疇に属する事になりますが、リサイクル品と呼ぶ場合は「取り外したままの状態」「洗浄済みの物」「洗浄・検査済みの物」「保証付きの物」等の種類というか等級があり、当然順に高くなります。ボディ−等の外装部品はリサイクルパ−ツ(中古)が特にメリットがあると思いますが、作業工賃の割高な日本国内の事なので機能部品に関しては得体の知れない中古部品を使用した事による再修理の可能性を考えればオ−バ−ホ−ル済みのリビルト品を選択した方が安心と言えそうです。ただ、次の車検まで保てばよいといった場合も考えられるので、まあケ−ス・バイ・ケ−スです。リサイクルパ−ツとリビルトパ−ツに関しては別の項目を設けてもう少し詳しくご紹介するつもりです。業者の方にリンクを張って頂けると嬉しいんですが。
「壊れると高く付く」
壊れると高く付くと言う一方で乗りっ放しのユ−ザ−が多いので不思議です。
「壊れてしまって高く付いた」という話は逆にあまり耳にしないようですが・・・。その答えは「壊れそうだから買い換えた」でしょうか?高いか安いかは別にしても「壊れたので修理した」話が減っているように思います。道路事情の改善と製品としての車の信頼性が向上している事、自動車メ−カ−にとってはオ−バ−・クオリティという反省材料でもあるようですが、いずれにせよ誰かか何かに何となく言いくるめられてまだまだ使える車をどんどん使い捨てにしている様な気がしています。車は機械ですから使えば痛み、管理が悪ければ寿命が短い。これは従来から身近なユ−ザ−の皆さんには何度もお話ししていることです。ただ、痛んだ処の修繕費に関しては高 いという「イメ−ジ」だけが先行し、膨大な修理費のイメ−ジと新車の保証を天秤にかけてみるとなぜか何百万もの出費を選んでいる、そんなケ−スが殆どの様です。実際の修理代は車の価格と比べればうんと安いものです。当然のことですが。
ここで冒頭のメ−カ−保証の話に戻りますが、2年で10万キロを超えた車両は当然メ−カ−の保証外です。それ以上その車に乗るならば、ユ−ザ−の責任で乗ってくれ。メ−カ−がそう言うのは当然のことです。どんな耐久消費財も5年という長期の保証を付けている物はそうは見つかりません。機械であり道具であるクルマが故障をしないと約束することは、それがどんな優秀なメ−カ−であっても不可能です。メ−カ−保証は故障のないことを誓約しているのではなく、故障に対して無償でサ−ビスを行う期間又は期限を約束するものです。ちなみにこれらメ−カ−の保証期間内に不具合の起きた場合、各カ−・ディ−ラ−ではリビルト品のある物はそれに交換することで対応しているようです。
もう一つ大事なことを言えば日本の平均的な使用では殆どエンジンに関してオ−バ
−ホ−ル(動くというレベル)の必要がないためにメ−カ−系によるリビルト・エンジンは存在しません。この為オ−バ−ホ−ルの必要が生じた場合には国内に数社ある専業のエンジン・リビルダ−から取り寄せるか或いはディ−ラ−のメカニックによって現物の分解整備を行うかのどちらかです。それで対応できているという事実は逆に言えばまだまだ使える事も証明しているといえます。当然中古エンジンという方法もあるため高額な修理費を出すよりは賢い選択ですが、一般的にガソリンエンジンに比べてディ−ゼルは品薄です。品薄の傾向はそのエンジンの海外シェアの大小に左右される傾向が強く、その意味はガソリン、ディ−ゼルに限らず解体の現場から安定的な需要(やはり動くというレベル)を保つ海外向けの中古エンジンが大量に買い付けられている為です。
壊れないように大切に使うのは基本的なユ−ザ−の心得だと思います。メ−カ−の保証はそんなユ−ザ−の姿勢を前提としていることをお忘れなく。「ユ−ザ−の心得」とは、何も「常にそおっと使え」という意味ではなく、ユ−ザ−各自の使用状況に応じてそれなりに適切なメンテナンスが必要だという意味で、当然「ほったらかし」は悪戯に寿命を縮める事になります。