「ユ−ザ−責任とメ−カ−責任」
メ−カ−の保証期間内に起こった不具合について、例えばユ−ザ−が乗りっ放しでオイル交換どころかオイルの補充もせずに使用していた場合。ある日エンジンの不調に気づいたユ−ザ−はディ−ラ−に駆け込んで(幸運にも辿り着けたとして)「きっちりオイル交換をしているのに調子がおかしい」と言ったとしましょう。
オイルはシャビシャビどころかスラッジ、ワニスでコテコテの状態、当然プロの目には潤滑の不良であることは明らかですが、セ−ルスの責任者とサ−ビスの責任者が相談した末(またもや幸運なことに)「誠に申し訳ございませんでした」と言わせることが出来たとしても「今後のメンテナンスは全て手前どもにお任せ頂く」事を条件に保証内容の継続を約束する事になるでしょう。幸いエンジンが止まっていなければの話です。
まだ動く状態であるかどうかには大きな違いがあります。潤滑不良が原因で止まってしまったとすれば必ず固着が起きている訳で、この場合オ−バ−ホ−ル無しには再起不能ですが、まだ動く状態ならばフラッシングとオイル交換だけで取りあえずまた動く=最悪の状態は改善されると思われるからです。ですから動いていたからといっても当然元通りになる筈はなく、そこから先は相当消耗したエンジンを「だましだまし」使う事になります。それは機械であるエンジンが摩耗という決定的なダメ−ジを受ければ生体の自然治癒とは違い自力では回復できないという事に他なりません。
オ−バ−ホ−ルに関しても完璧な新品に戻る訳ではないので、使用不能になった物が再使用可能になると認識する方が正しいでしょう。なぜなら流用可能な旧部品はそのまま組み付けられるためで、シリンダ−のキズが深ければボ−リングも必要となるためピストンやリングはオ−バ−サイズとなり正確に言えば排気量も新品とは違ってきます。カムやコンロッドのメタルに関してはその軸の摩耗に応じてアンダ−サイズを用いますが、基本的にはそれらのばらつきが起こる可能性が高くなるので初期性能を回復するとは思わない方がよいという事になります。
保証期間を過ぎたらユ−ザ−が自分の責任で必要に応じて修理する。これは何も特別な事でなく、機械を使用するユ−ザ−として本来の姿なのではないでしょうか。
そして、壊れないようにメンテする術を是非覚えていただきたいものです。
「飛び入り」ですが、やっぱりメ−カ−保証関係の話。
先日、かつてのジョギング仲間の O さんに偶然会いました。彼は4年前に買った318が
ATM に不具合が起こり、先月車を320に替えたと言います。聞いてみると2年目くらいから時々少しおかしな感じのしていたミッションが2回目の車検を前に変速点の完全な異常をおこし、ディ−ラ−に相談したところ3−40万と言われたのでいっそのこと買い換えたのだそうです。「メ−カ−保証とかないんですか?」と聞くと「いや、それも保証料を先に払ってそれで3年とかあるみたいですけど。」「?」と思いましたが彼は「車は消耗品だから仕方ないですね。」と言います。それにしてもトライアスリ−トの
O さんは自転車通勤だし毎日の様に通うスポ−ツクラブもすぐ近く。奥さんも近所の幼稚園の保母さんなので殆ど車には乗らないのに何となく釈然としない感じでしたが、以来運動不足の私は「1年半も走ってないんでこんなですよ、たまには泳ぎたいんですけど。」などと世間話をするうちに彼が新しく買い換えたという50万円近い自転車の話になり、何となく釈然としない感じが薄れて行くのを「ウチはなんとかの子沢山で」「ええ、お陰様で家内も元気で、もうすぐ4人目が生まれます」とか言いながら感じていたのでした。
アウトバ−ン用のミッションは、それほど市街地走行に向いていなくて脆弱なんだろうか?少しおかしいと感じた時点でトルコンオイルを交換すればもう少し何とかなったんじゃなかろうか、と思ってしまいます。少なくとも彼はディ−ラ−でメンテをしていた筈なのに、ちょっと気の毒な話でした。
という訳でその翌日、気になり始めていた「少し変速ショックの出始めた」自分の車の
ATF を替えました。交換して(当然サイクル交換です)お気に入り添加剤を60ml加え、テスト走行すると案の定ナイス・フィ−リングに戻りました。
(ほらね、換えて良かった。)
今回の使用ATF は車種毎に細かく分類されているメ−カ−指定の純正品。いわばメ−カ−お墨付きのフル−ド。ATF
に関しては「トルコンオイル」の項目でご説明しています。