「トルコン・オイル」ATF
1万キロで変速に不快を感じたこれも安売りのせいか?
かつては「ヘタな事をして髪の毛一本でも入っらパアだからさわらない方がいい」とまで言われて無交換が常識だったトルコン・オイルですが、なぜかここへ来て2年2万キロを目安に「交換キャンペ−ン」が目白押しです。それでも OEM メ−カ−は未だに「10万キロ程度は無交換で大丈夫」と言っています。カ−・ディ−ラ−でも交換キャンペ−ンをやっているのにどうして?
実際に交換すると分かりますが廃油には黒っぽい沈殿物と細かな金属粉が肉眼で確認でき、交換しない常識の方がおかしい事は明らかです。そこで「確かに汚れていることが語るもの」をちょっと考えてみたいと思います。
トルコン・オイルには清浄分散剤が配合されています、これはオイルが汚れるからに他なりませんが問題はそのオイルを交換せずにいると清浄分散性が低下し、分散しにくくなるため、幸運にもどこのバルブにも詰まらなかった汚れは大きい順にオイルの流れの澱みの中に堆積を始めるだろうということです。清浄性も併せて低下する訳ですから今度は細かい汚れも次第に沈殿を始めるため堆積した汚れはヘドロ化し、その位置からは動きにくくなると考えられます。ただし、それまでの過程で不幸にもどこかのバルブを詰めてしまえばそれで一巻の終わり。早い時点でそれが起こればメ−カ−が保証することになる訳です。
OEM メ−カ−の ATM に対する保証期限は国産車の場合大体5年10万キロ。冒頭の話からその意味は「10万キロまではメンテナンス・フリ−」=「その後の故障はユ−ザ−持ち」一見当然の様に見える話ですが実は大きな落とし穴があります。メ−カ−が保証期限を設定しているのは「それまでに発生する危険が極めて少ないから」という意味で「10万キロはメンテナンス・フリ−」です。つまり、メンテなしの限界寿命は限りなく10万キロに近いところにあるとも解釈できる訳で、メンテしていなければ近い将来故障する確率はもともと高い筈です。だからといって、ここが一番大切なんですがメンテの悪かったトルコンに新油を入れるとどうなるか想像してみて下さい。
トルコンの新油には清浄分散剤が添加されているため、先程の堆積した汚れを溶かして再度分散させます。当然これが危険な状態であることは言うまでもなく、新油による快適なシフトフィ−リングもつかの間、いきなり前進不能、後退不能といった故障に見舞われる事もしばしばあります。(それまでのメンテが不充分だったらの話です)
従って、保証期間を過ぎたからといって初めてメンテに目覚めてもさほど恩恵には授かれないばかりか痛い目も見そうです。逆の見方をすれば
OEM メ−カ−サイドとしては
メンテによって起こり得るこの危険を回避するためにOEM メ−カ−としては「保証期間内にメンテをして欲しくない」わけです。
バックスさん辺りでも「新車から7万キロ以上トルコン・オイルを交換していない場合は
ATF のサ−ビスをお断りしています」と表示されているのはこの為です。(交換したピットサ−ビスかオイルのせいにされたくないという話で少し意味が違いますが)
「添加剤」に関しても注意が必要で、メンテの悪い状態に清浄分散成分を添加する事になれば当然不純物を溶解して循環させてしまうので同様の危険を伴います。
オイル・メ−カ−系が推奨している2年2万キロは実際のオイル性能の劣化時期を警告しているものと解釈できます。定期的なオイルメンテで不純物を排出する事も重要な意味を持ちます。当たりとはずれ。使用環境。ドライバ−の癖。様々な要素の複合的な結果として20万キロメンテなしで無故障の例もあります。逆に保証期間内にリビルト乗せ換えもある訳ですが、前者は特別幸運な例。
それでは後者はメ−カ−保証でリビルトに乗せ換えて貰ってタダで済んだからやはり幸運な例?不幸な例?どちらとも言えませんが、そもそもリビルトした=オ−バ−ホ−ルの必要があった機械に乗せ換えて貰うため、新品ではありませんからその機械毎にフィ−リングが少しづつ違うのは事実です。保証期限切れ直後の自己負担よりは随分ラッキ−な話でしょうが。
エンジンオイルの項目でも触れていますが、オイルメンテは基本的に修理ではありません。消耗を少なくする為のメンテですから、良い状態を出来るだけ永く保つのが目的で、「添加剤」は更に高度なメンテとして認識するべきです。
ATM のオ−バ−ホ−ルっていくら位かかるのか?
「1万キロで変速に不快を感じたこれも安売りのせいか?」
ここでやっとサブタイトルの話です。というのも前回交換した
ATF は大安売りの輸入品で1Q入り298円。メ−カ−は大メジャ−だし、DVだったので使ってみました、当然互換性ありの製品です。
36オンス(=1Q=946ML)を10本使ってサイクル交換。ところがなんと1万キロを過ぎた辺りからLと2に不快な変速ショックらしきもの。勿論「ミリテック」は入れています。しばらく様子を見ていると段々とひどくなる気配。取りあえず今度はメ−カ−純正の指定オイルDU とお気に入り「ミリテック」を入れて、あっという間に快調に戻りました。(先の320の話の後に続く話)ただこれがフル−ドのせいと断言して良いものかどうかは少しだけ疑問です。というのもリビルト積み替えしてからほぼ10万キロ、でディ−ラ−のメカ主任も「そろそろ中だと思う」といいます。しかし、換えたら見事直っています。果たしてフル−ドのせいかそれとも単に故障か、ちょっとだけ不安な日々が続きそうです。でも少なくとも汚いものは随分外に出たはずです。