よもやま話・38」

お手軽チューン? 「ストリートチューン」マフラーとエアクリーナー

平成13年10月16日

一気に秋になってしまいました。
BFの改善策で予告しておりました、マフラー選択の総論
というのもおこがましいので「マフラー&エアクリ交換」などの「お手軽チューン」に関して少しだけ。



以前にもエアクリーナーの交換などは「サーキット」なり「走行会」の現場だけで対応するべきで
「公道」を走行する際には純正のエアクリーナー装着をお薦めしている私ですが、
マフラー交換等でそのエンジンの表情が大きく変わる事を見ると”私も純正交換タイプの高能率エアクリーナーを試してみようか・・・”
など、邪念がよぎる訳ではありますが私としては「公道を走行する」のが前提であればやはり「怖くて出来ない」です。

高能率エアクリーナーという商品は勿論「効率よく吸気」をするのですが、果たしてそれがエンジンにとって何を意味するかというと・・・単刀直入にいうと「エンジンの寿命を縮める」事になります。BFの純正エアクリーナーは「湿式」なので掃除が出来ない訳ですが、通常エアエレメントの交換推奨サイクルは5万キロくらい。

ちなみに下のエレメントの写真はレガシィBFで16000kmのモノですが、この通り。
真っ黒けっけ・・・。

だから私はスポーツ・エアクリって使えないんです、勇気ありません・・・。

交換すると、やっぱり吹けの改善はまさしく新品のエレメント、そのものズバリ!!



私の通勤路はご存知のように殆どがバイパスで片道50km、とはいうものの
退社時刻は別にしても出社時刻は当然ながら渋滞箇所が多いです。
とても窓を開けて走行する気にはなれない程、周囲の空気は排気ガスで煙っています。
トラックの多い幹線道路を走行する時には出来るだけ黒々と出ている排気から逃れる為に可能な限り縫うようにして避けながら走ります。

信号が変わってスタートする際などで「排気・横出し」のトラックの横に並んだ場合は、始め少々距離を置いて
「出来るだけ黒煙の薄いところで吸気を得られるように」しながら、
次にトラックがシフトチェンジをするタイミングを見計らって一気に横に並んではトラックの排気管よりも前の空気を吸えるように心掛けています。
(そんな、わざわざ、そんな事まで?)
と、思われるかも知れませんが実際に私は無意識に近い反射的な動作でそうします。

また、渋滞の列で黒煙の中に佇むのは不愉快なので、渋滞回避が可能な箇所では脇道に逸れて車の少ない農道とか旧道を走り、窓を全開にしてヒトも車もフレッシュエアーを吸い込みます。(^^;)



「汚れを吸い込む」

先程の写真は「それ程までに黒煙を嫌って使用した16000km」のエアーエレメントです。
(それであんなに真っ黒け?それじゃぁ、気を遣ってもいくらも変わらないんじゃないの?)
そうかなぁ・・・。
少なくともその環境に「スポーツ・エアクリ」を装着する事を考えると私は背筋が寒くなります。

レガシィ以外でも時折参加させて頂くオフ会などでスポーツエアクリに関するお話はよく話題に上るのですが、
そうしたクリーナーを装着されている方のエアクリの奥を指先でチェックさせて頂くと・・・あるんですね
・・・「ダクトの内側に乾いたカーボン」


少なくともエアフローメーターは同様の汚れを被っていますよ、
勿論エンジンの中にこれが入って行く訳ですから当然エンジンの中も同じ事になっていますね。
使用する環境次第では問題にならないケースもあるかも知れませんが
少なくともこうした汚れが確認出来る場合は純正に戻した方が賢明ではないでしょうか?

そうアドバイスを差し上げるんですが、
定期的にメンテナンスをしているから大丈夫だと思っていました。



というのが、大半の皆さんの認識だと思います。
でも、考えてみてください。
効率よく吸い込むという事は必ずエレメントの素材が純正に比べて「疎」であり、当然ながら純正は「密」です。
エアーファンネルのみ、というレーシングカーは勿論サーキット内を走行するのが目的の車両であって、極限のチューニングを施す一環で様々な長さのファンネルを選択して装着しています。そして、これは走る毎に分解整備するのが大前提・・・。

そうして考えてみるとエアクリーナーの変更がユーザーサイドでかなり一般的なメニューなのは「安あがりだから」という思惑が最初にあるのではないかという現実が見えてきます。
ご自分の車ですから、認識した上で使用する場合には問題ないとは思いますが、そのクリーナーで公道をトラックと一緒に走行するのは「いじめ」でしかないと思えるのです。


「純正ハウジングにポン付けタイプ」と「むき出し・毒キノコ」


車を弄る、そこには初歩的な知識が必要なのですが、少なくともやっていますか?こまめな掃除・・・。
洗浄用の洗剤が付いているフォルザのようなタイプのエレメントは必ず洗剤で丹念に洗って下さい、
決して「臨時の掃除」などと称して木の枝などでパンパンと叩いたりしないで下さいね、
見た目には埃が飛散しますけれど致命的に細かい汚れが奥の方に入り込んでしまいます。

乾式エアエレメントはエアーダスターで掃除をしますが、
内側から外に向かって貼り付いた汚れを吹き出すのが基本です。
絶対に反対側からエアーを吹かない様にして下さい。


「ポン付けタイプ」

純正オリジナルのダクトをそのまま使用しますからレゾネータなどの吸気の脈動を抑える為の装備は一応働く筈ですが、スポーツタイプで抜け易くなった吸気は負圧が下がっている訳ですから、このレゾネータの作用が活かされるかどうか少々疑問ではあります。つまり、負圧が下がればレゾネータの大きさも変わって然り・・・。
ただ、フィーリングの問題程度の話ではありますけれども、何でもかんでも外してしまったりするのはやはり考え物だと思います。


「むき出し・毒キノコ」

K&Nに代表されるこのタイプ、
どうしてもオリジナルのダクトが無くなるのでエンジンルームのエアーを吸い込む事になります。それで問題になるのが夏場、ただでさえ暑い時期の吸気がエンジンルームの熱を伴う場合には歴然としたパワーダウンが起こります。
遮熱板を用いてエレメント本体を隔離するのは勿論のこと、エアクリまでのフレッシュエアーを取り入れる導入口も設置しなければ逆効果になる事も多いと思います。


で、私は相変わらず頑固に「純正エアエレメント」です。
走行距離が多いのと、この使用条件で長生きして欲しい為にどうしてもスポーツタイプには手が出ません・・・。それと、別に強がりでもないのですが、現在の状態にそれ程不満はありませんから、保険の意味もあって純正を使用しています。
安上がりなチューニングアイテムだからといっても、最強の必須アイテムかどうかは考慮してみる必要性を感じます。

MPV用にもディーラー扱いのスポーツタイプ・エアクリーナーが発売されました、中身はK&N製という事です。レーシング用を公道でご使用の際はそれなりのご覚悟を。


「マフラー交換」

音量による錯覚 (見てくれだけで交換される場合も多いようですが・・・)


エアクリ交換も、この音の部分では同様ですが簡単にいうと
「音量」なり「音色」でその気になる部分。
という傾向が少なからずあると思います。
今でこそ電子制御式のインジェクションですから、かつてのウェーバーとかソレックスの吸い込み音とは違うとはいえ、例えばAWに付いていたSuperPowerFlowなどはかなりの音量アップでした。
「吸い込む音」と「吐き出す音」の両方で(片方でも)そのエンジンの息吹を感じると、どうしてもラテンの血が騒いでしまってスロットルを開き気味になりがちなのは事実です。(笑)

BFのエキマニ交換と前後して入手したマフラー2種で色々と検証してみましたが、
どうやら、この部分では音量が感性を刺激するという単純な事だけではなくて同時に音量による錯覚がこれを手伝っているようだと思えてきました。

先程のウェーバーとかソレックスなど、特にそうですが
アクセルの回度によってその音色が変わってくれる為に力強さを「感じる」という部分。
つまり、実際に力強いかどうかは別の話ですから「錯覚」なんです。

話をマフラーに戻します。


テストしたマフラーは
BF5−GT/Turboの純正オリジナル

BG5−GTB・MTM用純正リヤマフラー

BG5−GT用、アペックス・メガホン”ダンク”リヤマフラー

そうは言ってもオリジナルの抜けの悪さは高速道路などの場面で嫌気がさしていましたからコレを改善するのが狙いで色々と物色していたところ、アペックスは見るからにやや凶暴そうなマフラーでしたがテストという意味で試してみました。


大人しい純正から順番に凶暴な極悪の順番は勿論上記の通りです(笑)

改めて特性を書くまでもないような話ですが、エキマニ交換後にこれらを試した結果、体感的にどう違うか?をまずご報告します。


1.「BF5−GT/Turboの純正オリジナル」

野太い低域トルクは絶品モノ、ターボエリアは勿論一番下から効いてくれます
2500〜3500rpmが一番特徴的な加速を示します。
BFの場合5速で100キロを3000rpmなので、高速で80からの5速での追い越し加速は一番ラクチン。ただ、その先の伸びが悪いので小型のNAドイツ車などに追い回されました。
7000のレッドゾーンまで回す気になれず、試していません。

音量は勿論一番静かですが、シムスのエキマニで「フィーンッ」といった普通のレシプロに近い音色です。

2.「BG5−GTB・MTM用純正リヤマフラー」

ご存知 第2世代レガシィGTBのマニュアル車280hp用ですが、ATM車260hp用と何処が違うかというと、「電子制御式・可変パイプ」という点です。
ただ、電子制御装置はありませんから「可変」部分のバタフライバルブに付いていたリターンスプリングを軽いモノに換えて手動で「全開・全閉」の操作が出来るようにしました。
もともと200hpのBFボロちゃんですから、そこに280hp用のマフラーでは抜け過ぎるのではないかと、当初「全閉」ばかりを試してみては落胆していたのですが、
アペックスへの換装を前に「全開」を試したところ、低域トルクまで向上したようだったのでその間違いに気付きました。
というのも、BGが全閉にしている回転域は恐らくツインターボのプライマリータービンも動いていない状態の時で、セコンダリータービンが回り始める頃にはこのバルブは既に開き始めていて排気流量に対応してガバッっと全開になる・・・これが、BGのドッカーンの部分なんでしょう。
プライマリータービンが回り出す前のトルクの落ち込みをカバーする為のもの、と解釈すればいくらBFといえども200hpのBFボロちゃんにもやや不足だったのかも?
です。

「バルブ全開」で乗ってみると、まず「純正」なのに音量が大きい という印象を受けます。
次にトルク域ですが、デフォルトに比べると若干下が薄い、けれども気のせい程度。
ターボエリアは3500〜4500rpmに一番太いトルクがあり、このエリアでの加速が楽しい。普通に乗る限りは純正なのでそこそこ静かで、今のところベストと思えるマッチングです。その気が無くても少し踏み込むだけでこのエリアに入りますから、駿足といった好イメージです。ただ、5000までの上昇は鈍り、その先は更に渋い。

音量は勿論やや静かめですがそれでも少し大きめで、低域は少しだけビチビチ、高域で踏み込むとレビンかシビックのような「ブァーンッ」といったやはり普通のレシプロに近い音色です。

あとは、バタフライバルブの装着による可変設定でパイプ自体に二股がありますから、この部分に蓋がある事自体、流速の邪魔になっているとも思いますから、今後ATM用も一度試してみたいです。

3.「BG5−GT用、アペックス・メガホン”ダンク”リヤマフラー」俗称:爆音茶筒

BG5−GTB・MTM用純正リヤマフラーから換装してみると、低域のトルクはそれ程犠牲になっていないように思えたのですけれど、翌日気付いたのですが実際には「錯覚」で以前よりもアクセル量が増えています。ただ、若干ながらスロットルを開く事で就いて来てくれるので不自由を感じる程ではないです。
ターボエリアは更に高域にシフトして4000〜5000rpmが一番官能的な加速を見せます。その先レッドゾーンまで残念ながらトルクはそれ程就いて来ません、回っているだけのような加速でレッドまで行きます。

こちらの音量はやや大音量で「極悪仕様」(爆!)です。
低域は少しだけ「ボボボボ」、2000を越えた頃から特徴的な「ガルロロロ」、高域で踏み込むとまるで直管に近いレビンかシビックのような「Wワァーン」とか「ガォーーn」といったこれもやはりレシプロに近い音色です。
ただ、排気量が2リッターある分だけレビンよりも太い音ながらオリジナルのスバルサウンドとは全く違った「乾き切った甲高い音」です。
以前、純正エキマニの時点でこれを装着した時はボコボコ・ドコドコといわゆるスバルサウンドでしたが、それと比べると乾いた音色になった分だけは「地響きが減った」感じで少しは静かになったかも知れないです。

ちなみに、このマフラーは280hpのレガシィターボに
大型タービンを装着したり、はたまたロムチューンを施したり・・・の
ストリートチューンを施して使用するのが正しい使用法だと思いますから、どう考えてもBFには抜け過ぎですよね・・・。

しかしながら、実際のところどうか?
という話になると、やかましくなっただけで2.との大差はない。というのが私の感想です。



以上、3種類のリヤマフラーについてご報告しましたが、
当然ロムはデフォルトのままでテストしています。
そうした行為がどういった結果を招くかというテストにもなりました。
それと、中間のパイプは(フロントパイプ(触媒)とセンターチューブも)純正のままですから、出口だけが変わった場合にどうか?
という話でしかありません。

つまり、「若干の変更」であればコンピューターの学習の範囲内で対応出来る可能性もありますが、デフォルトと大きな差が出てしまうと「やかましくなるだけ」であったり「トルクの失せた分だけ燃料を欲しがる」ような傾向は否めません。

ちなみに、この秋
BG5−GTB・MTM用純正リヤマフラーでは「通勤燃費・リッター10」
BG5−GT用、アペックス・メガホン”ダンク”リヤマフラーでは「通勤燃費・リッター9」です。

マフラーなりエアクリの交換で音量なり音質が変化する事でアクセルワークに対してエンジンがその状態を即答するようになるので、つまり文字通りレスポンスが良くなったと錯覚するのですが、それは錯覚し易い材料といえるんですね。燃料を欲しがる事になるというのは事実のようですし、感覚的にアクセルを開き気味になってしまうのも事実のようです。

以前BF3の記事でBF5のNA用マフラーを装着した事例をご報告していますが、内容としては今回も同様にデフォルトよりも少しだけ排気効率の良い時期モデルの純正マフラーを装着した場合が一番しっくりとしました。
チューニングメニューがマフラーだけという場合にはストリートチューン用としてラインナップされている物は今回のマフラーに限らずやや抜け過ぎの傾向が多いようです。
購入の際にはショップの意見に併せて、より多くの実例を確認する事が求めている最適なフィットへの近道になると思います。


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