「よもやま話・18」 無頓着と神経質

平成11年2月28日

平成11年4月24日:追記

まずは、無頓着なヒトの話。


まる7年、8万キロのファミリア1.4Lのユ−ザ−さん(通勤距離往復約45km)が XF−08 に「ミリテック」を使用して非常に調子が良くなったという事で喜んでおいででした。

加工プラグの話に非常に興味を示されたので試して頂いたところ「またまた調子が良くなって車に乗るのが楽しみになりました。これならまた車検を受けてしばらく乗りたいのですが、他にもっと良くなる方法はありますか?」とおっしゃるので、ATFはどうされたかをお尋ねしたところバックスさんとマツダのディ−ラ−さんでATFの交換を断られ、困っているという事で、ATF の交換が出来ないので「ミリテック」も入れそびれたままということでした。

ATF の交換を断られてしまったのはこれまで 8万キロの間、無交換だった為で、ディ−ラ−さん曰く「真っ黒けで元のフル−ドの色が分からない状態」だそうです。(そういう判断基準もあるわけですね)

ATFの項目でご説明しているままの事が起こっている訳ですが、もし5年目の車ならばここで ATF を交換して満5年にならないうちに何らかの不具合が起こった場合、メ−カ−保証という事になるかどうかという分かれ目(トヨタの場合なら)な訳です。
しかしながら7年間もの間、乗りっぱなしだった為に周りじゅうから「壊れるまでそのままの方が得ですよ」と宣言されてしまったという、いわゆるツケが回ってきた状態です。現状で一応作動しているのでわざわざ石を投げるような事をする必要はないというのも正論といえば正論ですね。

ご本人は全体に軽く動くようになって非常に気分が良い訳ですが、ATM だけがなんとなく重たい感じがして「これも軽くなれば相当だろう」という期待感も手伝って「気になって仕方が無い」ようです。そんなに気になるなら精神衛生上好ましくないのでイチかバチかご自分でサイクル交換をされてはいかがですか?

ともアドバイス差し上げているのですが、どうしても「壊れるかもしれない」事と天秤にかけると「このままで我慢」という考えも正当性が高くなり、結局毎日の通勤を「もっと快適になるのかあ」と思いながら過ごしているという事です。

結構無頓着だった方が「そこそこ痛んだ車の見事に蘇る処を目の当たりにして」戸惑っていらっしゃるという様子です。

そこそこ痛んでいたからこそ大きな違いが出たものとも思いますが、もし「余計な事」さえ知らなければあと2年だけポンコツ状態で我慢して「廃車」だったという例かもしれません。良かったのか悪かったのか・・・。(精神衛生上良くない!”I”さん、ごめんなさいっ!反って不幸だったかもしれない・・・)


で、何度も書いていますが古い機械に使って効果の分からないオイル添加剤などない訳で、クリアランスの広がった古いエンジンならば単なる粘度増強剤だけでもかなりの効果を得られる筈です。

”I”さんはご自分でおっしゃる通り「無頓着だった方」でした。今はこの話で随分と改心されて「快調」を体感されて喜んでいらっしゃる訳です。

でも、車が傷んでいた。というのは事実ですから、ヘッポコ添加剤でも効果は認められたかもしれません。


同じ無頓着な方でも例えば毎日のようにこちらへおいでになる業者さんの”M”さんは「ミリテック」の効果がはっきりとは体感できなかったといいます。毎日おいでになるので冷静に聞いているつもりですし、こちらで聞いている限り「確実に」密閉音になり、静かになっている訳ですが、まだ私としてはタペットの打音が気になったのでオイルの粘度を40番に上げてみました。それで、更に静かにはなった訳ですが、何だか無理をしている感じがあったのでエアクリ−ナ−をチェックしてみたところブロバイのフィルタ−がコテコテでした。走行距離は3万キロ後半。

「このフィルタ−、替えて下さいね。」とアドバイスをしてから後日明らかにまた静かになりましたが、それまでの間「よく判らない」という評価だったご本人「あのフィルタ−替えたら静かになりました。」という事でしばらくが過ぎました。

先日、「?」と気になったのはタペット音が大きくなっていたので「何かうるさくなりましたね」と聞いてみると「そうですか?別に変わりませんよ」とおっしゃいます。でもつい最近車検に出したという事なので「整備記録」を拝見すると、そこにはしっかりとエンジン・オイルの状態に「X」印が入っていました。

何かうるさいと感じたのはオイルの粘度が(恐らく)30番に戻っていたせいでしょう。

通常、ディ−ラ−さんも修理屋さんも大抵の場合10W30を使います。整備の現場というのはオイルに関するこだわりというのもあまりないという場合が多いし、ユ−ザ−さんの使用状況によって粘度を使い分けるような事も一般的にはされていないのが実状です。

感じ方の「個人差」という問題は常にある訳ですが、ここまでの話は特に無頓着な人の話です。


神経質な人の話。後日追記します。(990228)


神経質な人の話。追記です。(990424)

とても几帳面な方がいらっしゃいまして・・・:

オイル交換の度にオイルを二回替えるという方がみえました。

チョット意味が解らないという方の為にご説明しますが、その方はこれまで3,000km毎のオイル交換をご自分でされるというお話なんですが、一度新油に入れ替えたその場で一旦エンジンをかけて新油を循環させたら直ちにそのオイルを抜いてしまい、改めて新油に交換されるそうです。エレメントは6,000km毎に交換しているという事でした。


この方の車の用途は片道40kmの通勤です。車はカムリのディ−ゼルタ−ボ。

「車にとって」という意味で「より良い事」を願うあまりの「無駄」だったと思います。つまり「過剰」。


 

この方の場合、特に苛酷な用途とも思えませんので「オイルが勿体無いですよ」と申し上げるんですが、特に安価に求めているので金銭的な部分は苦にならないし、これまでそうして来て良かったと思うので今後も続けたいとおっしゃいます。
「必要以上の廃油を出す事は自分の財布だけの問題でもない」わけですが、神経質なヒトというのも例に漏れずやはり頑固です。(-.-)

もともと3,000km毎に確実にオイル交換をしていればエンジン内部でのスラッジなどの不純物の形成は最低限で済んでいる筈です。つまり、清浄分散性能が保持された状態のままオイル交換が行われれば殆どのものはエンジン外へ排出されてしまいます。不純物の溶解力が無くなった場合にはこれらが付着したり、沈殿する事でエンジン内部に残留することになりますが、そのオイルに清浄分散力のあるうちは
” Keep it in Suspension ”つまりそれらの不純物を浮かす事が出来ますから廃油と一緒にこれらを排出できるということです。

その上に2度も新油を入れたとしても・・・:

たとえそこに汚れが付着していたとしても、直ちにもう一度排出されてしまってはオイル中に含まれる「遅効性」の清浄分散剤はその機能を果たす事なく再度排出されてしまっている訳です。

ディ−ゼルオイルでフラッシングというご提案をしていますが、これでは「ただ流す」という行為で無意味です。ましてや、汚れてもいないところへ、となればワックス掛けをした直後に水をかけているようなものでしょう。残るのはキレイになったという満足感だけです。

もう一つの勘違い:

車を買った時に付いてくるオ−ナ−ズ・マニュアル。例えばこれに・・・

推奨オイル SH: オイル交換は1万5千キロ毎
オイルエレメント・サ−ビス: オイル交換毎

と書いてあった場合、3000キロなり5000キロ毎にオイル交換を実施している方がオイル交換の都度エレメントを交換する必要などありませんが・・・、実際のところやっているんですよね。・・・そんな方も本当にみえます。

で、どうしてこの様な事が起こるのかというと、神経質?ってことでしょうか・・・。ちょっと意味が違うと思いますけれど。


「私は自分の車に気を遣っています」

という方が、よくおっしゃるのが「私は神経質な方ですからオイルにも気を遣っています」というお言葉。
その場合、必ずしもピントが合っていない事もあるようで・・・。

半年近く前の話ですが実際にあった話です。

・・・で、「ミリテックをお使い戴いてその効果の程はいかがでした?」とお聞きしたところ、
「どこが良くなったのか分かりません」とおっしゃる方がみえました。なぜでしょう?

「で、どんなオイルをご使用ですか?」とお聞きしたところ
「ディ−ラ−任せなので何というオイルを入れたかは知りません。」というお答え。
(え?気を遣っているつもりなのに粘度もグレ−ドも解らないのはチョット問題でしょ?)

トヨタのディ−ラ−でもキャッスルを使用したり、DJ(セカンド)ブランドだったり、カストロのプロラインだったりその他である可能性もあります。第一、そこにも粘度とグレ−ドがそれぞれある訳ですから「こだわりもへったくりもない」という事でしょうか。
こちらでご説明申し上げている通り「ミリテック」はベ−スオイルの性格が最前面に出ます
そもそも「ミリテックの評価」をしようとするのならば最低限でも条件を揃える必要がありますね。

少なくともこちらのペ−ジをご覧になった方でした。(一体何処読んどんじゃぁ?)

答えは簡単です。「神経質なつもりでいる」≠「変化に対して敏感」という事でしょう。

「よもやま・21」にも書きました、カタログ・デ−タ人間は「不感症」故の理論武装の為に数字を欲しがるのに通じるようで、お気の毒な限りです。決して「不感症」の方に悪意はありませんが「ミリテック」は鈍感を治す薬じゃあないですからお許し頂きたいです。(^^ゞ

一昨日、 Xantia (1万キロ)で「ミリテック」のリピ−トを戴いた方にお電話をいただいた際、このお話をしましたところ

「へえ−、誰でも判るレベルですよオッ!」 とおっしゃるので書く気になったエピソ−ドでした。

不感症の方、ごめんなさいっ!!でもあなたの車は今迄通りよりもずっと長持ちする筈ですよ!!

 


私の場合、基本的にオイルはオイルメ−カ−の製品を試したいと思っていますからそれ以外のものやチュ−ニング・ブランド等は試した事がありません。添加剤成分で勝負している部分が大きいと思うのでオイル添加剤を使用した場合の弊害も可能性としては起こりうる。その意味でオイルメ−カ−が出しているものはベ−スオイルの方で勝負をしているだろうという思惑からです。(当然高級品の場合でという話です)
PTFE入りのオイルであったり、二硫化モリブデンとか有機モリブデン入り。「ミリテック」を使用する限り必要のないものですし、PTFE に至っては言語道断。値段を上げる為にやっている事なのかな?

少なくともベ−スオイルの製造、精製をしていないところがオイルを発売しているという事は、その原料は何処かのメ−カ−から買っているか輸入しているかということになります。メ−カ−ものでないという事はそのクッション分だけ高い物に付く筈ですから同じ値段ならばメ−カ−ものの方が材料としてのベ−スオイルは良い物を使っている筈です。

但し、決して悪いという意味で申し上げている訳ではありませんので悪しからず。ベストな結果が出るように研究開発が成されている事に変わりはない筈です。

競技用に特別な添加剤を加えている場合などもあるでしょうからその場合は別として、その様なアイテムは通常の使用に必要な物ではありませんし「競技用」ならば「競技毎に交換」するのが正しい使用法です。従って通常それを継続して入れたままにする事自体が本来の使用法に従っていないことになります。

少なくとも、最高品質のベ−スオイルとなりうる良質な素材は無尽蔵にある訳ではありませんからオイルメ−カ−自身が販売する物を二流品にして、原料として販売するベ−スオイルの方を一流品にするとは考えにくいですね。
その意味でもオイルメ−カ−の品物が品質的に安心できると信じています。
ここでいうオイルメ−カ−というのは日本の独立した資本ではなくて全世界的に君臨するオイル、大体が燃料メ−カ−の事です。

チュ−ニングブランドは高くてもネ−ムバリュ−で売れるし、高い事に満足感やら優越感を持つ場合も多い、添加剤の話と同じ意味ですね。体感が同じならば安い方にした方が良さそうですが、違いが分からないヒトに限って高い方を選ぶという事も実際多い訳です。

神経質なヒトに限って勘違いも多いという事なんでしょうか、ピント、合せてくださいね!(^_-)

(平成11年4月24日:追記)


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