「よもやま話・23」

「新車が売れないと部品も売れない

平成11年5月29日

これはメーカー系部販の方々の間で昔からいわれている話です。

「エ?新車が売れなきゃその分車齢が伸びるから車検も受けて部品が売れるんじゃないの?」
直感的にそう感じる方が多いと思います。どういう事でしょうか?


まず第一にメーカー系部販は管轄地域内の「新車に使用する販売店オプションの供給」を担当していますからこの部分のウエイトが非常に高いという事があります。
つまりその意味で「新車が売れないと部品も売れない」という話は非常に説得力を持ちます。
だから部品商に対しても「新車の紹介をしてくれ」という理論なんですが(笑)
新車が売れて取り敢えず即、部品商の売り上げに繋がるか、というと新車のうちは故障も無ければしばらくはメーカー保証というものもある。

すると一般的にはこの話やはりマユツバなのか・・・。

毎度お馴染み
「ちょっとだけ脱線」

HP の冒頭にあるようにメーカー保証は大体3年から5年ですから丁度保証の切れる時に車検が来ます。新車を購入して「保証の真綿」で包まれ、ぬくぬくと味をしめてきたオーナーは積極的に車を整備しようとしない。
その傾向のまま出来るだけ出費を抑えて車検を通す。
で、いきなりその先、加速度的にポンコツ化が進む訳ですが、従来からこのページで力説している「保証」というのは製造者サイドが「まず、壊れない」というデータを元に「壊れない事を前提に保証」している事を忘れないで戴きたいです。

ベンツ A クラス他3台の車をお持ちの0−1・ユーザーさんからこんなご報告を戴きました。

さて、昨日観ましたAクラスのHPでオイル類の交換などやってました、
「A」はPステATF、デフなど無交換で扱説にも絶対に交換するなと書かれています。
しかしヤナセに、もし交換しなかった事が原因で不具合が保証期間後に起こったらユ一ザ一の負担になるのか?と聞いたら次の答えがきたそうです。
「AT液、パワーステアリング液など、電子制御式の採用等により交換の頻度は減ってきたと考えられますが。保証期間を過ぎてからの交換はお客様のご負担とご理解を頂きたく存じます。」

これはドクタ―のHP通りユ―ザ―とメ―カ―の責任の事ですか?
マニュアルの「交換するな」というのは保証期間内は…という事なのですかね?
これだと初めの車検時位に交換しなくてはと思いますが、しかし例の3年距離無制限のメンテサ―ビスではATFなどは入っていません。これは本当に無交換だとも取れますが…いずれにしろAT・Pステなど外車だと命取りになりかねないので気をつけたいです。それでは。

何だかつじつまの合わないような話なんですね、悪い言葉で言うなら:
ユーザーの無関心と無知を逆手にとって
「すべて安心してお任せ下さい」という顔をしておいて、いざ本当に壊れそうになった時には
「ユーザーさんの責任でメンテナンスして下さい」といっているようにも聞こえますね。気を付けて下さい。
別にヤナセさんに敵意はありませんので悪しからず。

(似たような話はATFのところにも書いています)

話を戻します

人情の話

キレイだと可愛がりたくなるが「古臭くなってあと僅か」なら余計なお金は掛けたくない。
ぶつけてヘコんでも動くので「直さずに我慢して乗る」そういった傾向は否めません。
日本の場合この外装に対する執着が半端でない部分がありますから「新車の部品需要」に大きく貢献しているといえますね、つまり外装部品は新しいうち新品に換えざるを得ませんから今や部品商は「棺桶屋と同じ」という口の悪いヒトもいます。

そのココロは「不幸な事故が無いと仕事にならない」とか・・・。
機能部品を交換しないという風潮に対する風刺みたいなものです。
外装部品は高額になりますからね。

世情の話

実際「景気が悪い」です。この状況に「今は新車が買えない」という事情も多い。
そうするとこの「人情」の部分も手伝いつつ「もう一度車検を受けよう」という事になる為、そこで車齢は伸びる事になります。

そうすると「車検」が増えるから部品が売れるでしょ?

と、思いがちなんですがそうでもないんですね。なぜでしょう?

というのは・・・、もうお分かりだと思いますが、
またここで「人情」が出てきます。
そこにあるのは「あと2年」「なんとかゴマ化して・・・」そうでしょう?

つまり、出来るだけ安く車検をあげて「だましだまし乗ろう」。
でも車は機械ですから正直にそんなオーナーに「だまされず呪う」というワケ(笑)

結果、ケチケチコースで車検を通しておいて、もしも故障が起きたらその時に考えるって事ですから、まぁ、程度問題という話になりますが、例えばディスクパッドの交換を怠って後日パッド交換を単体で依頼すると、車検時に交換依頼するよりも高い工賃の請求を受ける事があります。これは車検パックで割引をしているものと比較したケースですが、そうした細かな内容を「整備依頼時点で」チェックする必要もあると思います。
車検時にパッド交換をすれば工賃は無料だったりもするので是非事前に確認して下さいね。

ご参考までに・・・:

私は距離を走りますから車検時にパッドは交換してもらい、付いていたものがまだ使える状態であれば外したコアーを整備納車の時に一緒に貰います。次回の整備までにパッドが擦り切れた時はそれを使用すれば良い訳です。

「効果的な整備を安くあげる」のと「単に少額で済ませる」のは全く意味が違います。

エンジンルームのスチーム洗浄がオプションになっている場合もあります。

これの賛否はありますが、私は賛成派です。なぜならキレイになっていた方が自分もあまり汚れを気にせず気軽に手を伸ばせる為です。汚いものには誰でも手を触れたくありません、
大事にする気があるかどうかという姿勢の問題だと思います。


そもそも「景気が悪い」のは最近始まったばかりの話でもないんですが、この先2年で良くなるという保証もないですね。だから、車検の2年にこだわるくらいなら始めからもっと大切にした方が良いんじゃないかという事なんですよねぇ・・・。

結局
メンテの肝を押さえずに「くたびれてくると諦めるムード」の方が強くなって
「今更お金を掛けたくない」と思うのは人情だという話に尽きます。

「メンテの肝を押さえずに」という部分がキーワードになりますね。
そこで標題の「新車が売れないと部品も売れない」という話に戻りますが、
この話をまことしやかに囁き続けているヒト達はあくまでも
「新車を使い捨てにしてきた従来タイプの日本人」
をモデルにした「メーカーサイドの論理」に基づいている
といえます。
その事をひとつ心の隅に置いて頂くとして・・・。

ドライブショップで最近よく見かける光景ですが、

「クルマは下駄」という感じでクルマのメンテには元来全く興味のなさそうなオジサンが添加剤のコーナーをウロウロしています。
2000円以下の棚の商品を手に取っては戻し、また別の商品を手にしては熱心に効能書きを見比べる姿・・・。そしていずれその中のどれかをレジへと持って行くのですが、その表情を見ているのが結構面白いんです。(^o^)

本人は気付いていないでしょうがプラセーボ(Placebo)効果を狙ってか(笑)一大決心をした特攻隊の様な目つきになっています。
「思いつめて自分に言い聞かせている」といった方が良いでしょうか
「これ以上他の情報を受け付けないぞ」とでも言いたげに
何しろ「やや伏せ目がちにレジを見つめて真っ直ぐに」歩いて行きます。
まるで邪念を振り払う儀式の様にも見えます。
「何とかあと2年、今のまま動いて欲しい」といった祈りみたいなものすら感じる場面です。

でも、スゴイ気迫のこもった儀式なんですよ、これが・・・。

こんな場面に遭遇すると痛々しいほど切実な思いというのを感じずにはいられません。
正直、気の毒に思うのは2000円の棚ではなくて高額商品の棚には「○△□×・・・」も陳列されていたりするんですよね、コレが・・・。
でも230mlで5800円か6000円するという訳で、これら商品群に対して特に細かな説明の出来るエキスパートが居る訳でもない販売の現場では「お客さん」が自由に選択するというシステムですから能書きをもとにご本人にとっての「納得力を持つものを予算に合せて」という事ですね。所詮気休めという意識でしょうからその程度の金額が妥当な線?(笑)

(あ〜ぁ、テフロン買っちゃった・・・、良く滑るってイメージ強いもんなぁ)(^_^;)

とか思って観ている次第です。


内装の痛みについては以前にも書きました。
屋根無しの駐車場で車を保管する場合の気配りなどが無ければ車の内装の寿命はおおかた10年だと思います。
特に窓の大きな設計になっているものは更に「温室」や「金魚鉢」に近い訳ですから、夏場の高温も半端ではありません。
紫外線がイタズラをするのも夏だけの専売特許ではありませんから温度もさる事ながらこれらに対する充分なケアが必要だと思います。


「自分でボンネットを開けた事がない」

と自慢げにおっしゃる方がみえまして、
その方は「7年で5−6万キロ走るとガタが来るので廃車だ」といいます。
整備は必要な車検以外自分で気にしていないとおっしゃいます。

で、オイルチェックをさせて頂きましたが、案の定ディップスティックは黒くねっとりとしたものがまとわりついてこげ茶色。「つぶつぶスラッジ」もあります。ウエスで拭いましたがワニスの類いは簡単には落ちません。

次に「オイルフィラーキャップの裏はタペットカバーの汚れが読めるんですよ」
とご説明しながらキャップの裏側を見ると、既にスラッジの堆積が始まっていました。
走行距離は4万7千キロ。
「エンジンの中もこうなっているんですよ」とご説明しましたが意味が解らなかったようで
「もうすぐ廃車ですからね」とおっしゃいます。

何か勿体無い話ですね。ちなみにカムリの1800でした。

話のベクトルが違い過ぎて話の通じないヒトにはあまり時間を割かない様に気を付けています。

・・・だって、興味の無い話って私でも苦痛だし眠たくなりますよ。

無理に付き合わせるのは気の毒ですし、お互いに苦痛でしょう。

でも、メカ音痴は自分の努力で徐々に克服できる筈ですケドね。

その気の無い人は見込みなし。(わたしのせいじゃないですよねぇ・・・)


「省エネに貢献しない車は重税に処する」

という動きが出始めています。
現在の状況からエコロジー的なアプローチと資源保護を反映した税金徴収のお題目です。考え方としては当然の方向だと思います。
一方で特に大型の高級、大排気量、尚且つ旧車なんかがブームになる背景は「特化」の為に若いユーザーが選択する傾向が確かにあります。
でも、大型事業用の排気ガスを整備の段階で取締まる事を優先して欲しいですね。
担当省庁が異なるなんかあるようで、早く再編を実現して頂きたいです。

でも、実際のところにここら辺りの改善を買い換え需要に頼っていても、現在の売れ行きでは先が見えてきませんね。それを起爆剤に内需を拡大して景気全般を上方修正しようナンテ、都合の良いシナリオも今更ナンセンスでしょう。そんな古いテじゃなくて、何か打開策はないんでしょうかねえ・・・。頭のいいヒト、沢山いるでしょうに・・・。
(久々にまた愚痴っぽくなっちゃいました)(-_-;)ゴメンナサイ!


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