「よもやま話・25」
「クルマ好き」「メカ好き」「メカ音痴」

平成11年6月27日

クルマに対する思い込みはそのヒトの「知識の容量」と「実際の感性の部分」のバランスによって決まるのでしょうから同じクルマでもそれを評価するものさしはもともと違っています。
つまり価値観。長く同じクルマに乗りつづける場合はそのヒトの人生観とも繋がりそうです。

大切なのはこの「知識の容量」と「実際の感性の部分」のバランスでしょう。センスと表現した方が良いかも知れません。



メカニックのヒトは「クルマが好きで機械いじりが好きだから」という理由でメカになったという方が圧倒的に多いと思いますが、実際に自分のクルマがどうなっているかというと案外ほったらかしの方が多いものです。

どうしてキチンとメンテナンスしてやらないんですかと聞くと
彼らは「動いているから大丈夫だ」といいます。
ここで大事なのは「壊れないから」ではないところです。
彼らは「昔から好きな筈のクルマいじり」を毎日やっていますが(それは毎日の仕事としてであって)彼ら自身が自分のクルマをいじるのは休日しかありません。
それでも更にクルマが好きだから休みの度に自分の車をいじるという人がいないとはいいませんが絶対数でいうとかなり少ない訳です。
なぜかといえば本来、趣味というのは仕事以外の時間にする事を「趣味」と呼ぶ事を思えば当然の事かも知れません。
趣味が高じて仕事になるケースは多いのかも知れませんがその趣味がそのままのパワーを持続する事の方が「ごく希な事」、これはこの業界に限った事ではないでしょう。
一般的に週末の限られた自分の時間には自分の趣味や家事の為に費やす為に「わかっていても後回し」になるのだそうです。

それと彼らにとってクルマのメンテナンスに関しては全て自分で出来る事ですから
「わざわざお金を払ってまでしてもらう事でもない」ワケで、
そう思ってしまうと遠のくばかりになり、結果「ほったらかしに近い状態」になるという話です。

一般ユーザーの場合も「自分の限られた時間をどう使うか」という部分ではこれと少し似ているともいえますが、根本的な部分が違います。
彼らは「壊れたものを修理するのが毎日の仕事」ですから自分の車が壊れてもその応急処置の方法、「極意」を知っています。
第一、それ以前に不具合個所の認知は適切で早期発見できますから本人は殊更何も心配をしていません。

例えば何らかの不具合の症状を認識した時に:
「あ−、これは×○△センサ−の不良か×○△スイッチが逝ったな・・・、早く交換しないと×○△がやられて大出費だ・・・ついに自分の番が来たか」
こんな具合です。
という訳で適切な状況認識と判断、そして処置が自分で出来るので彼らにとって心配はない訳です。

毎度の事なんですが、機械は「不具合個所の早期発見と早期処理」で最低限の損傷と出費に抑える事が出来ます。
不具合のあるまま作動させ続ければダメ−ジはそれだけ大きくなるという単純明解な話です。

先日スバルのディーラーさんで副工場長さんと「向きを揃えるといいですよ」とプラグの話をしていましたら、
「効果有りそうで面白い話ですね、でも自分の車って意外にほったらかしなんですよね、オイル換えるのも面倒だったりして・・・」
と、この方もそうおっしゃっておいででした。

従ってやってる事が傍目には「メカ音痴」と同じにも見えます。(笑)

でもやっぱりそんなもんなんですよね。良いとか悪いという話ではなくて、現実なんです。
「そんなヒトに任せて大丈夫なのか?」とおっしゃる方もおみえになるかも知れませんが、今の話で彼らはプロです。
増してやカーディーラーのサービス部ともなれば「限られた車種」になる分だけ同一車種に関してはより沢山の事例を見ていますから(マニアックな話には少々疎い傾向は多少あるにしろ)カーメーカーの望む適切な処置あるいは保全方法をよく心得てみえる訳です。

 


こんなご時世ですからスバルさんもスポーツマフラーなども取り扱っていらっしゃるんですが、
「ロム・チューンもセットで出来るんですか?」と尋ねると
「いえ、そこまでは・・・」
という事でした。


<脱線します>


私のレガシィ NA1800 BF3 は
先日リヤマフラーが破れてしまい、また一つ勉強(確認)になった事がありました。

というのも、リヤマフラー入り口の溶接部に入った縦の亀裂は大きくなるにつれて「若干のトルク増大」を感じたので、試しに「マフラーガンガム・パテ」で穴を塞いでみると実に見事な「鼻つまみ窒息状態」これはオリジナルの抜けが悪い事の証。
という訳でパーツリストを紐解くとリヤマフラーの取り付け部分のボルトにセルフ・ロックナット、ここのガスケットと本体の吊りゴムは「NA」では全て共通。
「NA」に関しては1800の出口が一本物であるのに対して2000と2200は二本物。ガスケットとボルトナットが同じですから取り付け部分は同じハズ。
あとは吊りゴムの位置が同じならば何の苦労もなく2000&2200cc用のマフラーが付く!!
という訳で、部品を取り揃え万が一の「溶接」の覚悟も決めて腐ったマフラーを外して並べて見ると・・・、

「ラ、らぁっっッキィー!!!」
(翻訳:”Great ! I'm lucky !” )

実に簡単な組み替え作業でした。

で、当然レガシィ君は「静かでありながら、軽やかでトルクフル」に生まれ変わり、ご機嫌な毎日となりました。当然排気管が二本ですから排気効率が上がった効果ですが、入り口の太さは同じです。出口でいうと1800cc用は42パイが一本、2000&2200cc用は40パイが二本ですから排気口の表面積は1.8倍程になった勘定です。
実際には流体が高速で流れるときには円心ほど早く流れるでしょうから排気効率が単純に1.8倍になったとは思いません、でも少し低い音になりました、当然です。ま、2リッターの様な排気音です。あたりまえか・・・。

 



で、益々愛しくなるレガシィ君は5人乗り、子供が4人いる我が家はカウントダウンに入った「チャイルドシートの法制化」でミニバンへの乗り換えを余儀なくされるのか・・・。
悲しいィー。
警察庁のホームページはこちら http://www.npa.go.jp



で、良い効果を得られた訳で大変嬉しいのではありますが、問題なのが「ロム」です。
大した問題ではないのでさほど気にはしていませんが「走行から停止(信号待ち)」などすると「アイドリングが完全に下がるまでに7秒ほどかかる」という不具合。
平常のアイドリングは650rpmですが回転が落ちてくる時に丁度アイドルアップ程度の900rpm辺りで一旦留まり、それから下まで下がります。
現状で燃費はトルクの出た分がカバーしているようで変化していませんからこれがさっさと戻るようになれば燃費向上の望みがありますね。
マフラーをやたらと太くする方がみえますが、以前からお話しております「ロムとセットで」が必須になるのと、もう一つはエンジン本体のチューニングレベル次第ではトルクの全く出ない「スカスカ」の状態にもなります。このスカスカ状態には加工プラグも「ミリテック」も殆ど効果を示さないと思います。マグネットの効果など尚更です。(実際にあった話なんですよ「添加剤不信任論者」って、さてはみんな・・・?笑)
出口が少々太くなっただけでこういった不具合が出る訳ですから「極太」ならば予想以上のものがあるでしょうね。マヌケな事にならない様に、気を付けて下さい。



「新車のプラグもセッティングの向きを揃える」

で、先ほどのディーラーのメカニックの方もそうでしたがこの話はあまりご存じないようです。
実際に F−1では通常そうしています。良いからやる訳です。

でも「新車のプラグセッティングは不揃いだから」といって
ユーザーにいきなりプラグの交換を薦めるなんてディーラーでは出来ませんよね。(爆笑!)
「おかしな物を売ったのか?」といわれてしまいます。
カーメーカーはただでさえ「エンジンルームに手を触れるな、その為に長寿命プラグを使用している」という訳ですが、プラグメーカーは市販品としてイリジウムプラグを売る事に躍起になっています。ダブルスタンダードとでもいいますか、おかしな話といえばおかしな話です。

カーメーカーは「交換の必要はありません」といっているし、プラグメーカーは「高性能プラグはいかがですか?」といっている。

こちらのHPでご存知の通り「プラグのセッティングだけでもエンジンの表情は大きく変わります」良い状態で「馴らし」をする為のプラグ交換など大した出費ではないと思います。
チューニングを考えているにしろいないにしろそのベースを良い状態に馴らす為にも、ただ快適に走れば良いという場合にも非常に有効です。

プラグの向きを揃えないなんて私にとっては本当に「もったいない話」です。
おかしなチューニングもどきにお金をかける位ならずっと効果があります。
未加工のプラグっていうのもなんか勿体無いですねぇ・・・。
加工プラグはマフラーとロムチューン位の効果があったといわれますから、・・・ホントです。

 

新世紀の「常識」になって欲しいこの「プラグ・セッティングの話」

なんですが、最近ここまで効果のはっきりした事が「どうしてこれが今迄常識でなかったのか?」という事を考えていましたらおぼろげながら一つの輪郭が見えてきました。

燃焼室の流速を妨げる接地電極は「必然」ですからロータリーに使用されている全く接地電極が露出しない「沿面プラグ」というのも編み出された訳で、これは「ローターが当らないように」という配慮からであったにせよ結果的にそうしたものも開発されて実用化されています。でも、スパークの位置という問題が残るせいでしょう、普通のレシプロには採用されていません。

では、レシプロには「セッティングの向き」という問題がクローズアップされて来そうなものですがこれまで取り沙汰されなかったのは
「ここまで一般的に締込み等の注意を徹底するのに躍起になって来て、更に向きを揃えろというのはどう考えても徹底が難しすぎる」という部分。つまり工業製品としての機能を考えた時に「最低限」必要充分な「着火性能」を発揮する為に、そして「圧縮漏れ」などの発生を嫌う為の「締め付けトルク表示」(当然締め過ぎも問題が残ります)。工場出荷価格から考えると(メチャクチャや安いです)これ以上の労力を費やしたくないという話もあるのでしょう。

どこのプラグ・メーカーもセッティング向きの話などは従来から充分に理解している筈です。それでも、そんなにややこしい取り扱い説明をしなくても取り敢えず機能する部品に「信頼性」以上のものを求められていないという認識もあるでしょう。

「ウチのプラグは向きを揃えて下さい」という話を公表するとしたら最初にそれをする会社はかなりの勇気が要るというだろう、という事も考えられます。そんな、ややこしいプラグでなくて簡単なプラグを現場が選びます。その可能性が高い。つまり、本当はメーカーがそれを提言する事で自社の売り上げに繋がる訳でもないでしょう?「本来プラグというものは・・・」という話なんですから第一実際の話が「ウチのプラグは・・・」ではない。そんな事を公表しても彼らは何の得にもならないんです。
「向きを揃えなくても良いプラグを開発しろ」とカーメーカーにいわれるのがオチです。
それよりも新製品のイリジウム合金の宣伝をする方が企業としては発展的ってことかな・・・。

取り敢えず、こちらでプラグのお買い上げを戴いている皆さんはプラグのセッティング向きに注意してかなりの好印象をお持ちのようで私としても嬉しい限りです。
是非、新車の育ちを良くする為に実行して下さい。

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</脱線しました>

唐突ですが・・・: これも脱線


初歩的な話ですが、タイヤの空気圧。
空気圧に調和が取れていないと万が一のときにハンドルを取られたり、片減りの原因にもなります。
制動時や発進加速時にハンドルを取られる感じはこれの場合が多いので空気圧をチェック。
パンクの早期発見でタイヤもホイ−ルもパアなんて事にならない様に、
みたいな事です。例え話なのでこれは常識といえば常識なんですが。

ついでに空気圧の話をもう少し。

これが適正でなく低すぎる場合、
ふわふわして気持ちは良い(そういうヒトもみえます)筈ですが両端が片減りしたり(肩が落ちる状態)、
操舵装置に無理な負担を強いるのでこちらも早く痛みます。(つまりハンドルが重い状態)
コ−ナリングでショルダ−がヘナッと来るので限界が低くなります。(急にヨレて腰が砕ける感じ)

逆に高すぎる場合、
この場合、今度はショルダ−が張りすぎてタイヤ側の緩衝力が低下してコンパウンドの表面性能だけに頼り、
スプリングとダンパ−への依存が高まる為吸収しきれない分は「返し」で跳ねたりするので
グリップが弱くなったり、今度は中心側が偏摩耗したりします。(特に後輪)
今度は振動をもろに食いますからショック、サス関係の痛みが早まります。
サスを固めた気分には近づきますが・・・。

ご注意ください。超初歩的な話でごめんなさい。

燃費を良くしたい
という場合はタイヤの空気圧を規定圧の1割増し位にしてみると良いでしょう、転がり抵抗が減少する為燃費向上の可能性が出ます。

ついでながらもう少し「タイヤの話」

バイクの話ですが、例えばレ−サ−レプリカのマシンでエンジン性能は殆ど変わらないのに他と比べて「極太高性能ラジアル」が標準で設定されている場合。
どういう事を意味しているかというと、
コ−ナリング性能が劣る、弱い、曲がりにくい、難しい。といった構造上の特性が想像できる事になる。
という話を聞いた事があります。
少なくともそうした「癖」のある事は明らかです。

バイクに限らず、チュ−ニングはひとつひとつ「どこを」「どうすると」「どうなる」の積み重ねですから最初に高性能タイヤを履いてしまうと
本質的な特性が分かり辛くなる為、タイヤは最後の仕上げというか最後の選択であり、出来上がったチュ−ニングを
バランス良く反映するものが選ばれるのだと思います。
つまり、最初から特別な高性能タイヤを選ばずに足回り、剛性などの特性をひとつづつ確認し、その挙動をじっくりと煮詰めて行くといった地味な作業の末によく見定めた上で最終的に要求されるタイヤの特性が見えてくる。そういった意味からすれば「まずタイヤを換えよう」というのはそもそもナンセンスな事なのかもしれません。
もっとも最初から「タイヤしか換えない」のならそれが「最終仕上げ」ですね。(^^ゞ

ま、空気圧は窒素でなく大気である限りはGSさんなどで簡単に調節が出来ますから、前後のバランスなど自分なりに研究してみると面白そうです。

 


話があちこち行ってしまい、分かりにくい話になってしまいました。翻訳します。

「クルマ好き」

洗車が好きという方も
オイル交換が好きという方も
ドライブが好きという方も、サーキットが好きな方も
その能書きが好きな方も
写真を見るのが好きな方も
みんな「クルマ好き」です。
毎度の事ですが
クルマは「嗜好の強い高額な道具」です

「メカ好き」

例えば構造に興味があってカットモデルなんかが好きな方
機械はつい分解してしまう癖があるという方
これを自分でメンテナンスするのが楽しみという方

「メカ音痴」

自称「メカ音痴」の方
自慢する必要はありませんよね?音痴を自己啓発で更に音痴にする事はないでしょう?

少しでもあなた自身が「興味」を持つ事で大事に使う為の肝を知って頂きたい。
「メカ好き」の扉はいつでも開いています。


で、結局いつもの話に落ち着きます。

「知識の容量」と「実際の感性の部分」のバランス

クルマというのは手を掛ければ掛けただけ可愛くなって行くものでしょう、
手を掛けても良くならなかったとすれば、それは間違ったアプローチをしているか感じる側のセンスとの不調和です。
ピントのずれた事をしていると機械のフィーリングは悪い方へ移行します。機械は正直ですからね。
こちらのページでは「大改造」ではなくて日頃のメンテナンスレベルで「快適」を得る為のポイント、アイデアをご紹介しています。
改造などを行う場合にも結果的にはキーワードになりうる事柄も多いかと思います、またそうありたいとこれからも願いつつ進めて行きたいと思います。

取り敢えずは皆さんにはこれからも「研究熱心なオーナー」であり続けて頂きたいと願います。

ご意見などもお聞かせ下さい。

メールはこちらまでinfo@alisyn.jp


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