「よもやま話・33」
クラウンバン:リビルトAT載せ替えと社内のクラウンワゴン
平成11年11月14日
今回リビルトに交換する際に必要になった金額と、その間に拝借した社内のクラウンワゴン(ガソリン2.0)に見た足回りの疲労感についてレポートしたいと思います。
リビルトに交換する際に必要となった金額:
平成11年10月22日
かなり苛酷な最高速テストを60日間続けたせいで、愛車クラウンバンはATMに致命的なダメージを被ったようで、前回と同じく
Over
Driveの変調に始まり、3rdの変調、2nd−1stの変調と、順に下のギアへ不具合が進行してしまい、オーバーホールを余儀なくされました。
「ミリテック」がATを守り切れなかったのではないか、という声も聞こえてきそうですが、
もともと、8万キロでODに変調のあった機種のミッションですからクレームでリビルトに載せ換えて4万キロ時点で「ミリテック」を導入した後、13万キロまで問題なかった事は評価して良いと思っています。
しかも、最高速テストを毎朝2ヶ月ですからその超苛酷な朝だけでも3000キロにも及びます。
(弁解がましい事を言いたくはないのでこれ以上は控えて皆さんのご判断にお任せしますが・・・)
で、変調を来たしたATのフルードは一度交換してみました。(タイミングとしては1万キロ程度での交換です)
すると、新油のATFはミッションに「ふっくらとした感じ」を出したものの、概観では何も改善しませんでした。
新油の粘度のせいでしょう、ゴツゴツした感じが減って変速点もやや早くなるけれどオイルが熱くなると以前と同じ、という状況です。
結果的にこのATF交換は無意味っだった訳ですが、最終的な症状としてはODへの変速不能が完全なものとなり、
下から順に説明すると
- 1STが次の2NDに変速する変速点が45キロ以上になり、減速すると40キロを境に1STに戻る。
- 2NDは次の3RDに変速する変速点が75キロ以上になり、減速すると70キロを境に2NDに戻る。
- そして、ODには変速しない、という症状です。
致命的な故障となってしまった為、トヨタ・ディーラーさんに相談したところリビルト・ミッションの価格は約9万円、加えてコンバーターの交換を推奨されて、それの新品が7万円。脱着工賃プラスATFで20万円強。トホホホ・・・(-_-;)
以前見積りで確認した14万円程度を遥かに上回ってしまいます。
そうこうするうちに、不具合が致命的になりOHを余儀なくされまして、加えてコンバーターAssyのメーカー在庫切れで部品の入荷が遅れ、11月4日まで「代車暮らし」でした。
今回リビルトの積み替えを行った訳ですが、それ以前に「20万」という金額を投入する意味があるかどうか?
というのは実際意見の分かれる処だと思います。
私の通勤クラウンバンは平成2年(90年)式ですから、現在まる10年目。
永く連れ添った事への「想い」というのは当然ありますからそれも一応第一義に考えるとしても「まだ乗るの?」といった外野の声も聞こえましたが、
ほぼ同年式のやや新しい社内のクラウンワゴン(ガソリン2.0)とか代車のカリーナバン(ガソリン1.5)に乗る中で、
「手の入れられている車」がどういった表情でオペレーターに接するかという命題を明らかに示していると感じる2週間となりました。
部品単価としては以前の見積との大きな違いはない筈なのですが、コンバーターの分が入っていなかったようで、予定していた14万円をその分上回る事になりました。
トランスミッションAssy:87,900円
トルクコンバーター:69,600円
オートフルードD2(1L)800円 X
6:4,800円
技術料:37,900円
合計:200,200円
消費税(5%):10,010円
総計:210,210円
今回のリビルトは「OEMメーカーによる現物オーバーホール」です。(社外という選択もないことはないです)
トヨタ・ディーラーの説明に因れば、
「メーカー保証の5年10万キロ未満」の場合にはOEMメーカーによってリビルト済みミッションがメーカーの在庫から即納で供給されるのですが、これを越えている今回の機台の場合には現物をメーカーに送り、メーカーがそれをOHして返送するという形態が採られたようです。
おまけに在庫確認時に日本国内に1台だけだったメーカー在庫の新品トルクコンバーターが手配時点で「欠品」だった為にこれの入荷待ちで、結局2週間強の代車暮らし(カリーナバン1.5ガソリンAT)でした。(他にも同じ時期にコンバーターの積み替えをしたクラウンバンDがあった訳ですネ)
(運が悪いなあ・・・。)
- 結果的にはATMのリビルト交換でクラウンバンは21万キロにしてまた新たな生命を吹き込まれた感じで更に若返ってシャキッとしました。
(^^ゞ
機械的な部品の交換ですから物理的な効果です、今後はあまり無茶な事をせずにあと2〜3年程度はこのクラウンバンのお世話になりたいと思います。
- ただ、組み上がったままのATにD3を入れたミッションは「どうも重たい感じ」で「普通のミッション」に戻ったようでした。
へぇー、元はこんなに重い感じだったんだ・・・。
- 純正の指定はD2ですから、そのせいかな?という気もしましたが、フルードで重さが出るとは考えにくいのでやっぱり「ミリテック」が無くちゃダメってことでしょう。
という訳で20キロ程走行した後に「ミリテック」を120ml投入しました。
- 改めて「ミリテック」の効果はしっかりと私を感心させました。ただ、即効で相当な軽さが出たのですが故障前と比べて元通りのフィーリングに戻るまでにはちょっと時間がかかりました。1000km走って「あと10mlの注ぎ足し」をした時点で元に戻った感じです。
クラウンワゴン(ガソリン2.0)に見た足回りの疲労感:
代車暮らしの間に社内のクラウンワゴン(1GFE)2.0ガソリンも久し振りに拝借したりしましたが、そちらの車で気付いた点を少々お知らせします。
クラウンワゴン:
平成3年式ですから私の通勤バンよりも1年若いガソリン車のワゴン様です。
走行距離は6万5千キロ(少ないですね、でもやはり年輩です。笑)
通常のオイル・メンテナンスは私の知る限り普通に充分で、「ミリテック」にSBCチューンド・プラグを装着しています。ただし、プラグはデンソーのワイドU。それでもSBCへのプラグ交換で「メチャクチャ静かになった」という評価は得られています。私の体感では90キロ以上のところでSBC特有の軽さが出るようになりました。
かつてDバンの足回りオーバーホール時にも1週間近く拝借していますが、今回気になった点は2ヶ所。
- 第一に「低域のモタリ」:
「あれ〜?こんなにレスポンス悪かったかな?」
どうも納得行かない感じだったので空ふかしをしてみると5000rpmを越えた辺りで急にふけが悪くなって
”ブラルロリラレラバラルロスパッンロロヴ〜ンン”
(忠実に再現したらこうなりました。別にふざけている訳ではありませんので悪しからず)
とバラバラのメチャクチャ。
(ありゃりゃ・・・、これは点火系のトラブルだよね、下のモサリも納得が行く)
後で尋ねてみるとプラグコードを交換した記憶はない模様だったのですぐにNGKのノーマルコードを手配して交換してみて貰いました。
その後症状に改善が見られたかどうかを聞いていなかったので昨日
「そういえばその後どう?」と聞いてみたところ
「ああ、静かになったよ」という相変わらずの答えで・・・、ちなみに「ミリテック」の時も同じ返事でした。(笑)
多分治ったんでしょう。
NGKの代理店さんで以前伺いましたが、標準タイプのカーボン線は2年2万キロ程度で導通が悪くなるそうです。電線の金属自体が疲労すると抵抗として作用する為に導通が悪化し、その結果として点火時の火花が弱くなり要求電圧の上がる状況では明らかなミスファイヤーが出る訳です。ラバー皮膜が劣化して絶縁性能が低下した場合にはリークという現象も多く見られます。これは暗いところでエンジンフードを開けて確認できる事もあります。
点火系のトラブルはそれで済みましたが、もう一つの気になる点、それは・・・、
- 第二に「足回りの節度」:
これは致し方ない部分ではありますが、平成3年2月登録の車両ですから満8歳、9年目。
アブソーバーの交換は前回の車検時に行っていますがいわゆるラバーブッシュやボールスタッド関係を交換する足回りのオーバーホールは一度も実行していません。6万5千キロというODOから考えれば当然の事でしょう。それ程頻繁には利用しない車両ですから必要性を感じない訳です。
- サス及びステアリング周りに関してはワゴン/バンどちらもダブル・ウイッシュボーン式サスペンションにウォームギア式ステアリング。
以前、構成部品の違いをパーツリストで確認した事がありますがアブソーバーとコイルスプリングの品番が違う以外には殆ど同じ部品でしたから、逆にいえば「ライトバン」でも乗用車(5ナンバー)クラウンと大差ない部品で構成されている訳です。
ワゴンのサス周りは当然ライトバンよりも軟らかいセッティングになっていていわゆる「クラウン」の乗り味を演出していますから、
「乗り心地の良い」と評価される方向でセットされています。意地の悪い言い方をするならその意味で「クニャクニャ」です。
逆にライトバンはリヤがリジットの完全なフルフレーム構造ですから、古臭さに拘った言い方をすれば従来の車らしい造りなんですね。(笑)
- 当然、ライトバンは500キロという最大積載重量を持っている分だけスプリングもサスも固めなのでその分クニャクニャした感じはなく、若干ですがクラウン「らしくなく」踏ん張る感じはあります。(爆笑)
- で、今回このワゴン様、バイパスをクルーズすると非常に疲れました。
そこで私のライトバンとの違いがどこで起こっているかを考えてみます。
それはサスが軟らかいとかタイヤが違うといった問題ではなくて「ステアリングとサスから来るルーズなリアクション」の為のようで、
具体的にいうとこのワゴンの症状は「微妙なふらつき」といった感じで、
直進させる為のステアリングの微調整を常に加えていなければ車がまっすぐに走らない状態です。
実際にはハンドルを固定したままで道路を走れる車はないといっても良い訳ですが、
轍(わだち)のない平坦な舗装路でこの微調整を頻繁に加えなければならなかったり、ハンドルを取られる、曲がって行く、といった症状は異常です。
この表現はちょっと誤解を招きそうなので改めましょう・・・、
正確には「ハンドルを取られる、曲がって行く」等の明らかな異常が無ければ特別クルマとしての問題はありません。
今回私の感じた部分はあくまでも「微妙なふらつき」といった感じですから問題というレベルのものではありません。
しかしながら「安心感」とか「オペレーターが快適かどうか」といった観点からすれば「改善の余地アリ」という意味です。
以前こちらのページでご紹介しておりますが、私のクラウンバンは8万キロを越えた5年目の車検を前に
「足回りのオーバーホール」というお題目の大イベントを行っています。
つまり、5年前にサスペンション・アームやスタビライザーその他に使用されるラバーブッシュ、ボールスタッド関係とステアリングギアなどの主要部品を統べて交換してありますので、言いようによってはここの部分の年齢は5年13万キロです。
10年20万キロを前提としたオーバーホールです。
- ワゴン様には勿論こうした巨額の投資をしておりませんので見た通りそのまんま9年目の6万5千キロです。
そうすると、一体どういった違いが出てくるかという意味では貴重なサンプルとなった訳ですが、ハードクロームのボールスタッド周辺の摩耗というよりはラバーブッシュ周辺の「潰れ」の問題なのだと思います。
ラバーブッシュは走らずに置いておくだけでも自重で潰れて行く宿命にありますから、例えばスタビライザーのブッシュを例に取ると
まずスタビは金属の棒です。
これのマウンティングにちくわ状のラバーブッシュが施されてシャシに固定される訳ですから最初は柔かく弾力のあるゴムも経年劣化によって荷重のかかっている側が痩せて行きます。
そうすると締め付けていたクランプとブッシュ、それにブッシュとシャフトの間にはそれぞれ隙間が発生しますから走行時の振動でここの余分なクリアランスの分だけが遊ぶ事になります。こうした事が例えばサスアームのブッシュでも起こる事になりますから、ほんの少しの揺れに対して倍の挙動を示す様な余分な反応を示す事になります。
いわば「おつり」のような挙動になる訳ですね。
私のクラウンバンでは足回りオーバーホールの直後に感じた「それ以前」との一番大きな違いは:
左の前輪が踏んだマンホールの蓋を右側でも認識する状態が、「左で起こった事は左だけで認識できる」ように改善された点です。
この整備には当時35万円程度掛けた記憶がありますがその生まれ変わり効果には本当に驚きました。
まさに「新車への生まれ変わり」。
勿論、新しい車ではそれが当然の事なんですが、足回りの疲労というのは(足回りに限った話でもないですが)徐々に進行する為にその変化に気付く事は通常難しいと思います。
以前にも書いた記憶ですが、こうしたブッシュ周りのクリアランスの増大が「おつり」を招くという意味で周辺の部品にも余計な動きを許しますから結果的にそれがボールスタッド類の摩耗をも呼ぶ事にはなると思います。
ただ、部品代というよりはこれの交換にかかる整備料金がかなり高額になりますから車両価格との対比で考える事になるのは勿論の事、廃車または下取りまでのスケジュールとの関係でいつそれを実行するかという計画性も重要になるでしょうね。
長くお付き合いして行く事を決めている車両の場合にはこうした大イベントは先に延ばさない方が良いと信じます。
一日でも早く快適な状態を手に入れれば、それだけ早く得をするように思える為です。
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