よもやま話・43
インジェクターの汚れに関してやや冒険な検証
・・・やっぱり日頃のメンテナンスが一番大事ですね。
題して「インジェクター清掃のナゾ」とでも呼びますか・・・。(笑)
今回の題材はTodayチビクロ号です。
まず問題になるのは「常識的な見方からすると軽自動車の10万キロは廃車に価する」という考え方、
この命題はある種の「正解」があり「不正解」もあります。
例えば山形にお住まいのToday乗り「るる」氏のTodayも昨年末に10万キロに到達していますが
新車時点から彼の「まともな」養生を得ている「バカ殿号(?しつれい)」、
あちらの調子はすこぶる良好であるのに対してチビクロ号の悲惨な事といったら・・・。(号泣)
道具を使用する心構えとして様々なファクターが訴えかけてくる悲鳴と安楽、
見極めて養生を行えれば長寿の園も見えてくるはず。
軽乗用車に限らず、あなたの車も大丈夫かな??(あ、チビクロは軽貨物でした)
Today乗りのるる大先輩からは今の話で色々と道を示して頂いたり研鑽し合ったりという日々を送っておりますが
この度インジェクターに関して一つのアプローチを試してみましたのでご報告をしようと思います。
日頃のメンテナンスを怠ってきた車両へ、執刀医のメスが入ります。
インジェクターの清掃(分解したら恐らく壊れます)
何ともまぁ、物騒な話に聞こえますが野趣豊かなアドベンチャー話としてお楽しみ下さい。
そもそもこの議案はBFレガシィ・ボロちゃん号の調子が不審で「インジェクターの不穏」を疑ったのが始まりです。
症状としては100km程度の走行毎にプラグのかぶってしまうような症状。
これはレブまでカラふかしをすると「ボワッ!」と黒い煙幕が出て解決しますが、この主因をインジェクターと睨んだ訳ですが
ご存じの通りスバルEJ20のDOHCは非常に意地の悪いレイアウトで余分な作業が多い・・・。
なおかつインジェクターは新品を買うと@15k円くらいします、
スバルで値段を聞いた途端にヤル気の失せた私は
「何でもかんでも新品に交換しなくても、マズは外してお掃除してみたらいいよね」
というとメカニックのUさんはキョトンとした顔で
「そ・・・掃除・・・っすか?」という。
「そっ、掃除してみてダメならそれからまた考える。で、オッケーでしょう?」
「あぁ・・・、そういう方法もありますか・・・」
「スバルは外す作業が面倒だから、一度で済ませたいとは思うけどねぇ。部品だけで5万越えると悩んじゃう・・・」
そこで、平易なレイアウトのTodayで「練習」と考えたのがこのお話のはじまり。
本来インジェクターを取り外して掃除をするという概念はあまりない・・・らしい。(^_^;)
TodayのE07Aインジェクション・エンジンのレイアウトはこんな感じ。PGMFIのプラカバーの下に鎮座する3本のインジェクター。
インジェクターは燃料ホースのInletがフュエルデリバリーチューブに繋がって
インテークマニホールドに燃料を噴射する位置に差し込まれています。
(あたりまえか・・・)
で、このエンジンの場合ダイキャストの一体型アンカーで3本のインジェクターを固定している為、
取り外しは意外に簡単で2本のボルトを外すだけです。
このエンジンの場合インジェクターは実にカンタンに「乗っているだけ」といった感じで
喩えていうならばペン立てにペンが立っている様な感じといった表現が正しいです。
全くといって良い程カンタンに真上に抜くと「スポッ」っと抜けてくれて嬉しいこと楽しいこと♪(笑)
抜き出したインジェクターはヒドイ汚れようでワニスがぐっちゃり付着しています(左)見ればわかるってば。(右はお掃除後)
レガシィもこんなんなってんだろうなぁ・・・とか思いながら
取り敢えずエンジン側のインジェクターホールのお掃除。
ウエスに愛用のエンジン・コンディショナー(エンコン)を吹き付けてゴミを入れないようにコソコソやりました。
少々の綿埃やら糸くず位喰わせてしまったとしても相手は燃焼室だし、
燃えカスは掃気の際に排出されるでしょうからそれほど神経質になる必要はなさそう、
まぁ気分の問題です、
少なくとも金属粉やら小石なんかを入れてはダメですぞ。
あとはご本尊様「インジェクター」のお掃除に智慧を絞ります。
インジェクターは電源オンで燃料ポンプから燃料が送られると常に燃圧のかかった状態で吹き出さずに我慢をしていますが、
コンピューターの指令によって脇の下にコチョコチョっと電気をくぐらせると
一瞬失禁するイメージで開弁・閉弁を制御され、タイミングに合わせて燃料をスプレーします。
バルブ先端には0.8mm程の針が出ていて、これが電磁石で引っ込むと燃料が吹き出します。
本来は非常に繊細な部分ですから、「この部分をどうこう」というのはお薦め出来る話でもないですが
敢えてやってみました。
先ずは先端部のワニスを剥がす作業、
スラッジというかワニスというかガム質というか、パーツクリーナー程度では何の変化も起こらないので
やはりここはエンコンのお世話になりますけれども、それでも少々乱暴なガリガリ作業を余儀なくされます。
結構頑固な汚れながらも小さなパーツですから割とカンタンに作業を完了。(3本だけだから?)
いよいよ、先端部分のノズルです。
周囲が汚れ切っている割にノズル周辺は見た目キレイですけれど、
一番微妙な箇所はノズルの針自体に付着した異物です。(見えない奥の部分に汚れがありそう)
噴射ノズルは噴射と停止の規律正しいスパッとしたキレで「綺麗な霧」を発生するのが信条の筈ですが
積もった汚れでキレが悪くなると噴霧状態が悪化
つまり開閉の間際でボテの出る状態があれば燃焼効率に悪影響を及ぼします。
要するに霧化出来ずに出てしまう最初と最後のボタボタが燃えにくい為にトラブルの要因ともなり得る、
面倒な機構ですね・・・見えないし。
通常はこの部分の汚れを撤去する為に定期的なフュエルコンディショナーなどによるメンテナンスが有効なのですが、
今回は簡便なレイアウトであることも手伝って思い切って外科治療に踏み切ったというわけです。
掃除の方法は色々と考えられましたが
まずはノズル先端の針を押しながらエンコンを流し込む作業。
針先を細いドライバーで慎重にカチカチと押しながら「汚れクン、取れてくれェ〜」(^_^;)
エンコンを染ませてはこの作業を繰り返していると4本のウチ1本に目に見えるゴミを発掘!!
(それでもかなり小さなゴミです)
「おっ!こりゃぁ効果ありそうだし!」(^_^)
次にコンプレッサー・エアーガンを持ち出して燃料の供給側にあてがい、
ブシューッっとやりながら先端のノズルをそっと押して数回開閉の繰り返し。
中に残っていた燃料が景気よく飛び散って作業台の周辺はガソリンだらけ、3本全てを畳み掛けるように作業が完了。
部品を元に戻して30分程の全行程を終了しました、
勿論
次にエンジンがかかるかどうか?ダイジョブかな??冷や汗もんです。
これは本当に恐る恐るのエンジンスタート。
「キュル・グワァ〜」
無事にエンジン始動でホッとしたひととき。(^o^) コーヒーにしますか・・・。
走ってみると「すこぶる快調!」(^o^)(^o^)(^o^)
「お〜〜っ!オマエって、本当はこうだったのねー!!?」と得意満面の笑顔が目に浮かぶでしょ!
(^o^)/~~
ほほぅ〜、という訳でやっぱり分解掃除はてきめんの効果ありだったんですな・・・。
外科的処置もソレが平易ならばやめられなくなります、
勇気のある方はマネをされるのかも知れませんが、壊してしまったら1本@15kですぞ!!
勿論「自己責任の作業」なのでくれぐれもご注意を。f(^_^;)
あまりの効果に感動した私は山形のるる先生に早速経過と作業内容をご報告、
彼も早速その翌日にはメスを入れられたそうで
その効果の高さに(有頂天)驚いていらっしゃいました。
「これならよぉ、5000kmに一度でもやろうと思えるゾぉ!」と意気揚々。
そうです、慣れたら10分程度の作業ですからね、資材も大した費用にならないし、
スキルさえ磨かれていれば確実な改善策ともいえそうです。
メンテナンス項目に追加??かな?
ただし、危険は伴いますので「絶対に安心」とは断言できませんので悪しからず。
ちなみに、るる先生の場合
コンプレッサーエアーは持ち合わせがない・・・
ということで彼はこんな方法↓を採られました。
エンコンのスプレー缶にインジェクターを突き立てて押しつけ、
ノズル先端を押す・・・という方法。
さすが!相変わらず智慧の宝庫。お利口ですね。(笑)
エンコンはパッキン類への攻撃性が心配なので最後にパーツクリーナーで同じ作業を行い、
残ったエンコンの洗浄を行うのがベターとみました。
気をよくした私はその日から
ボロちゃん号のインジェクターにも同一の処方を施そうと連日の画策をしました。
取り敢えずTodayと同様にノズルが抜けてくれるかどうかが一番の問題でしたが
フラットエンジンの宿命で改めて覗き込むたび断念してしまう日々の繰り返し・・・。
エンジンの四隅にあるといって良い、
脇に刺さった配置のインジェクターの姿すら一つとして見えないようなレイアウト・・・。
ある日奮起して色々と部品を取り外して一箇所のノズルを抜きにかかりますが、
これがまたどうしても抜けてくれない・・・。
相当頑張りましたが最終的にインジェクター本体を割っておシャカにしまってもシャレになりませんから
こちらは断念して現在も「封印状態」です。
・・・なので、
ちょっと日和見の状態ですが、最終的にはスバルさんにお願いという最終手段がありますかね・・・。(苦笑)
その後編み出した「新たな手法」
こちらは外科治療というよりは「リハビリ」と呼ぶべきか・・・。
「運動しながら老廃物を外に出す」
何のことか分かりましたか?
思いついたのはボロちゃんで高速を巡航中、このアクセルの就きの悪さ・・・
また排気バルブにカーボンが溜まって来た感じだなぁ・・・。(憂鬱)
どうしたらこの間抜けなエンジンがまともになるかなぁ・・・、
ノズル・汚れ・ボタボタ・プシュウ〜・ダラダラ〜
この一連の動きを走馬燈のように脳内で繰り返すうちにある時フッと気付きます。
コールマンのガソリンランタン、ストーブなんかお持ちの方はご存じだと思います、
使用に於いて時々必要となる重要なメンテナンス作業。
燃料バルブの全開・全閉。これでノズルの汚れを噴出させるという地味でトラディショナルな方法ですが、
非常に効果的です。
そうだ!コレだよ!!
思いついた私は「アクセルを完全にOFFにして80KM/HRまで減速すると、次の瞬間いきなりドカッっと床までアクセルを踏みつける」(いきなり床までガバッ!です)
この作業を何度か繰り返して様子をみると・・・。
「なぁ〜んだぁ、そうだったのね。やっぱりぃ〜。」(^^)v
ボロちゃん号の場合は5速マニュアルである為にシフトをフィックス出来る為この技を多用できますが、
ATMの場合は当然「キックダウン」が起こります。
3速ホールドなども考えられない事はないのですが、
それでも3速レンジでの作業ならば2速へのキックダウンは起こりそうです。
第一ミッションに悪そう・・・。
キックダウンの発生しない速度域というと車両によって様々だとは思いますが、
免許証返還速度となってしまいそうですから、くれぐれもご注意を・・・。
最近のお利口なECUは突発的にアクセルの全開が行われても燃料の出口を電気的に制御してしまうかも知れません。
ボロちゃんのECUはなにせ痴呆に近いお年寄りですからECUが考える前に燃料を吐出しているのかも・・・。
(笑)
ちなみに、スバルの営業君(ピカチュウ号とまるで同じ黄色のインプです)
先日、ピカチュウ号のDSE塗装エアー・インレット・ダクト、SBCプラグを移植している例の営業君ですが、
「最近、あの時ほど走らなくなった気がするんですが、気のせいでしょうかね?」続けて
「アレの効果って薄れて行くモノです?燃費は本当に良くなったんですけどね、最近のデータは車の使い道が変わって分からないんですけど」更に続けて
「夏の部品交換時はホントに驚いたんですけど・・・」
とおっしゃる・・・。
「うーん、DSEは効果が薄れるということはあんまりナイですよ、燃料に入れるインジェクターのお掃除用添加剤なんか使った事が無いならば試してみたら?」などなどお話するうちに「試乗ついでにファミレスでお茶でもしましょうか」という話になりまして、
その後私の運転で深夜の防波堤道路に出てこの「運動療法」を実施してみる・・・。
秘伝を伝授・・・
「何してるんですか?」
「うーん、解らないのもごもっとも。・・・おそうじ・・・。」
それきり口をきかずに無言でこの作業の繰り返し。
「じゃ、乗ってみて。普段乗っている人の方が感じやすいと思うんで・・・。」
ということで彼に乗って頂くと
「あー。」「あぁ〜。」「あー、あぁ〜。」の繰り返し・・・。(^_^;)
「どうなん?」
「違いますよ、ゼーンゼン!あ〜〜〜〜っ!」(嬉しそうでした)
「すごーい、すごーい、あっ、これスゴーイ。どうしてですぅ〜???」(まだまだ走りながら感動してる)
「おかしいと思ったら、こーやって時々虐めてやってネッ♪」
という訳でGG2インプレッサにも有効であることが判りました。
H14年のECUでも痴呆ということか・・・。(爆)
その後も所有車両でフェルコン入れながら・・・なども実践しております。
やっぱり効果的と思えます。
今回はちょっと荒っぽい作戦・秘技のご紹介となりました。
くれぐれも安全運転で!!
チビクロ号ネタは「実車レポート」に書かなくてはならないネタがかなり溜まっています、書かなくちゃ・・・。
その前に、ピカチュウ号のエアーインレットをご紹介せねば・・・。(汗);