「よもやま話・52」
アリシン・その洗浄力の観察
45と50、51の続編です、
初めてのアリシンはエンジン内部の汚れを溶かし出すため往々にして早期に汚れると申し上げました,
・・・そこで・・・
世にも怖ろしい程のスラッジの実態
こんな物に溶剤系のフラッシングを行ったところで
燃料成分の不活性物が酸化して生成され砂利と化した変成物は残念ながらそうそう簡単には溶けようがないのであります。
フミッパ号・乗っているのは黒鱒さん 20090225
ともかく・・・
軽自動車のエンジンは過酷なんです・・・
そこで、2号機フミッパ号と初号機チビ黒号との対比をご紹介します
こちら初号機チビ黒号
スゴイ色してますね、10万キロ間近まで岡山のお嬢様がお乗りだったRiZs
蓋を開けてみたらこんなことに・・・。(>_<)
岡山で譲り受けた先のご厚意でオイルとエレメントは交換頂いていたのですが
陸路自走で運んだ末、数日後に1000km走行で抜いたオイルは大して汚れては居ませんでした。
ま、普通はそんなものなんです。(^_^;)
それでも、直近のアリシンでいくらかは汚れの溶け始めていたところでしょう
積もった汚れの山が崩れた跡・・・
色濃い茶色は「オイル妬け」と呼ばれる状態です樹脂ブラシなどで擦っても相手にならない
金属面の特殊被膜のように強固な皮膜と化しています。
分解整備でこれを落とすとすれば何らかの洗浄油にしばらく漬け込んでからしつこく擦るという方法しかありません。
タペット裏はこんな感じです、ゴリゴリのガリガリ・・・、真っ黒です。
スクレーパーで削りを試みるも剥がれるというよりは砕ける感じ
これがスラッジの固着です。
洗浄油に使用されるナフテンに溶剤のキシレンなども試しましたが固化したスラッジは強固です。
結局、チカラワザしかない・・・
剥げ落ちる物は見ての通りのジャリジャリです。
世にも怖ろしい物をご覧になった気分かと思います、
こちらは初号機チビ黒号の入手当初の写真ですが
この中身を見てしまってからDIYでタイベル交換はしたものの
2000kmで2.8Lほどのエンジンオイルが1Lも消耗してしまうために先行きを憂慮したものであります、
現在は名古屋の友人がこれの老後を面倒見ています。(苦笑)
それでは次へ行きましょう「別の献体」です
こちら2号機フミッパ号
そもそもMTが欲しかった為にチビ黒号と訣別したその後に山形のるる先生にお骨折りを戴き
2005/6に入手したのがこちらのチビ黒2号機・フミッパ号
最初はやっぱり黒だったのですが、その後黄色く全塗装を施したのが現在の黄色いフミッパ号QXis・MT/4WD
会津只見でアリシンに交換をしての搬送途中、77,777kmを記録しておりました。
この車両のアリシン0W20・1000km走行後の様子はこちらで
「ルウブ屋の日々是丹精」2005/07/22をご覧下さい
黄色くなる前の黒いヤツのオイル・・・ご確認を戴けたでしょうか?↑
初アリシンがたったの1000kmでどれ程の腹黒い墨を吐き出したか・・・(イカじゃないんですけど)
ここで上記のページ見逃してはなりません、
オイルエレメントは汚れの巣窟なのでアリシンで交換をする際には「汚れの巣窟を撤去するべし」
巣窟の汚れを溶かしてエンジンに戻したところで「何をしているのか??」です
アリシンでオイルが汚れた場合もエレメントは交換すべしです。
オイルを濾すのはマージンのためです、より細かいものが回収されているとすれば
ドレーンするオイルと共にエレメント内の汚れをエレメントごと撤去すべきです。
2007年9月7日
タイベル交換を行った際に奈良のHONDAメカニックJあらさんに撮影を頂いた2号機「フミッパ号」の場合です
OD:93200km
以下の写真はアリシンで16000kmを経過しての「腑(はらわた)」ということになります。
画像添付したのですが、ヘッドカバー内は意外にきれいでしたよ、ホント。
アリシンの洗浄力のおかげか、少しだけ残っていたスラッジもかなり軟らかく
なっており、ドライバーの先で擦ったら、すぐに取れました。
カバー内側も同様でして、キャブクリーナー&パーツクリーナーで取れる範囲のは除去しておきました。
・・・と、Jあらさんよりご連絡を戴いたメールに添付されていたのがこの写真です。
携帯で撮影された画像のようです、キレイに写るんですねハイ♪
おぉ!随分と綺麗な・・・。
この画像を撮影されてからキャブクリーナー&パーツクリーナーで取れる範囲のは除去を頂いていたようです
◆そして、その後OD:104000km(更に1万キロをアリシンで過ごしたところ)
2008年12月8日 我が家へ改めて、Jあらさんの出張サービスカーActyVanがやってきた (^o^)♪
改めて開けてみるとこんな感じ。
前回送って頂いた上の写真よりもキレイですね♪
しかし、カメラ(メーカー)による映像の発色の違いがかなりあるようです
現物の部品色はこちらの方がホンモノっぽいですが、少しだけ赤みが強いかな?
なんと、タペット裏まで・・・ピッカピカ?(掃除したから・・・、でもその後汚れていないわけでもあります)
今回の依頼作業は「バルブトレーン(ロッカーシャフトとロッカーアームassy)」を取り外す必要があったので
更に分解です、流石は現役HONDAメカニック、私の趣味仕事とは違います”タッタカタ〜♪っと作業はスピーディ♪
これと、これに、あっちと、こっち
↓せっせとあっちゃこっちゃ緩めるJあらさん♪
右の写真は既にバルブトレーンが無くなっています
取り外したバルブトレーン(裏表)
こちら、バルブトレーンを取り外したエンジン側、ロッカーアームassyが無いのでカムシャフトが丸見えになっています
◆プラグホールにオイルが溜まっています、
実は上の写真でバルブトレーンのエンジン側にあるO−Ring交換が今回の作業。
夏過ぎには発覚していたここのオイル溜まり、結局12月になってしまいましたが
オイルは結構汚れ気味で交換したかったのですが、この作業を終えてからにしようという話となって放置プレイだったため
見た目のオイル自体は結構汚いですね・・・
それでも、内部に沈殿固着する系統の汚れは生成されていないことが分かります。
さて、そしてこちら現在のオイルの様子
2009年2月23日
OD:105500km
アリシン0W20で1500kmほど
ついに、とうとう あまり汚れなくなったか・・・
フミッパ号の心臓内部汚れ晒しもついにここまで・・・、でしょうかね。
紅クジラ号E320の入れ替えで奇天烈キプント号PUNTOが来てからというモノ、このところ距離の出ないフミッパ号です
1ヶ月で500kmも走るかどうか?程度でエンジンを始動しても超短距離用途が多いために色の割には刺激臭が強い感じです。
エンジンによくない、勿論オイルの負担は超のつく短距離でのエンジンストップによって最悪。
つまり、この時期「冬」という的な問題もあります
どうしてもガソリン混入が多くなっているようですから今回は距離というよりも少し早めにオイル交換をしようと思います。
・・・というか、オイルの汚れるウチは
「汚れたら交換する」という方式であって「距離でも時間でもない」というのが正直なところです
実際の処、私の場合アリシンを扱い始めてからというモノ「汚れたら交換」であって
「走行距離によるオイル交換時期の指針」というものはいつしか頼りにしなくなってしまいました。
(あくまでも、オイルチェックを心得てが前提での話です)
そうなると、用途によってその負荷の違いによりオイル交換時期はオイルの色とニオイを観察しながらタイミングを見ることが出来るようになります。(上級者向けですが)
さて、ここへ来て
このフミッパの汚れもようやく、キッパリ・スッキリいうことになれば
77000kmでの入手から数えて28000kmということになります
そうして見てみると「軽自動車の場合特に厳しい」ことがよく分かります
8万キロまでの汚れを落とすのに3万キロほどかかってしまった?
そういうことになります。
毎月3000kmの走行であれば10ヶ月ですが
出番の少ない車両なので40ヶ月かかってしまったことになります。
あくまでもブロバイが多く高負荷のエンジン(&乗り方?)である軽エンジンでの場合です
全般的に普通車のエンジンではこれまで殆どの場合が遙かにもっともっと軽症であるように観察しています。
◆しかしこれは程度問題という話であって、
3リッタークラスのエンジンを積んだ余裕のはずの普通車も初アリシンではそれなりの汚れを露呈しています。
オイル代金にはいとめをつけていなかった、という特にクルマをダイジにメンテナンスを心掛けていた方の場合でという話です。
悲しすぎます。
つまり、特に軽自動車
想像する以上、遙かに激しい汚れを抱える
この部分を肝に銘じて頂きたいわけです。
軽自動車は下駄という意識で放置をしていれば「あっという間」に「安物買いの云々」となります、
逆にいえることが
小さなエンジンで普通車と同じ道路を普通車と一緒になって走っている=負担が大きすぎるわけです。
「軽であるからこそ充分なオイルメンテナンスが必要」であるという認識を持つことがダイジであり
これは軽自動車整備に携わるメカニックなり工場長さん等の持たれる共通した意見なのですが
最重要でありながら消費者側とコンシェンシャスの得られない永遠の課題でもあります。
◆軽自動車は単価が低いのでダイジにしようと思わない?思えない?
◆ボロくなったと自覚をするとゴミのように感じてしまうのが人間の勝手なところで
◆スラッジの溶かせないオイルでスラッジまみれになって働くエンジンは「早く壊れろ!」と罵られながら呪われているようなもの?
こうして考えると本当に不愉快になってきてしまうのですが
最悪なのはそうした普通の整備現場でも使用されているオイルが私にいわせればサイテーだからこそ余計に悲しくなるんですよね、
良かれと思い、業界の指導に忠実なメンテナンスを励行されても裏切られるのであれば
それは最初に根源のところで騙されていることにならないか?
私が以前から訴えているのはそういう意味のお話です。
もうひとつ・・・
フミッパ号はHONDAメカニックさんの所有されていた車両です
それがこの様な状況であった (( しかしこれが普通であり、しかもどちらかといえばずっと良い方だろう? ))。
そして、なぜ??
奈良のHONDAメカニックJあらさんが私、ルウブととても懇意にして下さっているのか?といえば
彼ご自身とご家族の所有車両にはアリシンの発売当初よりこれをご利用頂き、
特に彼の懇意にされているユーザーさんにもこれをお薦め頂いて長らく信頼を得ているという関係からの話です。
これが真実なのでまるで理解のしにくい話ではないと思います、
流通しているオイルはその種のハードルを越えられない
つまり普通車にせよ程度問題であり、同じ事がいえることになります。
人間のカラダに喩えるならば
水素添加を行った油脂はトランス脂肪酸を抱えるため食用として不適であるといわれても
マーガリンとサラダ油が止められないのに似ているような気がします。
パンを止めればよい、という話の切り口はクルマを止めればよいという考えに通じます
間違っているとは申しませんが単なる極論です。
普通に走るだけならばそんな高級品は必要ない、
未だにそのように思われるでしょうか・・・。
そこで私から最も現実的な質問です:
クルマを換えますか?
それともオイルを変えますか?