「よもやま話・53」
アリシン・オイル粘度の冒険


ユーザーのみなさんがあまり試されないことを、私ルウブは毎度のことながら探検しています。(笑)
人呼んで「酔狂メニュー」

以前乗っていたRenault/Megane16V
あれは2000ccでもオイル量が6L強入りましたから「ある意味(まさしく?)オイル屋の乗るクルマ」でしたが、
キプント号プンタバもオイル量3L未満となれば逆の意味で「オイル実験車両」として位置づけられるので
これまた「オイル屋の乗る車」なのかも・・・?という認識です。(笑)

というわけでルノーにも色々と試しました:
手放す直前にはエンジンもMTも0Wというスリリングな選択で
エンジンは軽く煽るだけで一気に5000rpmまでフケる単車のようなレスポンス
ミッションは機敏で身軽な動きを手に入れたまさしく忍者のような動き・・・でした。 ^^;

究極の高次元潤滑
アリシン・プロ・ドライブ <<0W
2007年以降のF1シーンにおいて、実は誰もが知っている著名な複数のチームがこのオイルで実戦を戦っていることは殆ど知られていません。
エンジンもミッションも0W、つまりそれはまさしく アリシンProDive<<0WとProGear<<0Wのことです。

F1のオイルはウルトラヘヴィなのではなくて、
ミシン油くらいにシャビシャビなんです

・・・これは皆さん意外だったのではないでしょうか。

20090706




by inoccho

キプント号・オイル粘度の冒険


例えばこれは極端な例としてですが:

一般用エンジンに於いてエンジンオイルの粘度を極端に下げた場合には、低域からのピックアップが著しく向上する一方でトルクレンジが全体に下方へ修正されるイメージを描いて下さい。分かりやすくいえば高域のトルクが痩せる傾向です。
例えばそれは、トルクレンジの5000〜6000だったものから4500〜5500へ下がるようなことです。
これは軽い油膜が特に薄くなる高回転域におけるコンプレッションが上方域ほどヌケ気味となってしまうために発生する圧縮のロスということになりますが、動きとしては軽い方向となるためにトルクレンジ全体が下方へと修正され、
ピークが下がるけれども「下から盛り上がり始める傾向」となります。

先ほどのメガーヌの話で「軽く煽るだけで一気に5000rpmまでフケる」というのは確かに表情としてもそんな方向となるのですが
実際には最高域のトルクが痩せる傾向をみせるためにそのレンジが下方修正の傾向となります。
現実問題として実用に於いてはこれがどのような話になるかといえば、
160から200までの加速に要するタイムはそれ以前よりも時間がかかるようになるようなこと・・・))です;;
高速度運行の常用域が160よりも上にある場合には0Wでは軽すぎて高域の伸びが悪い
その代わりに、ごくごく市街地での40〜60辺りでの加速はキビキビと光る、
というか、必要以上に空回りをする感じ?です。
例えばメガーヌでいえば市街地もそうですが、旋回が激しく高速度域には達しない峠道などに照準を合わせる意味で
エンジンの0Wはそれなりの適正を発揮しました。

◆低速ギアは小さなギアが車軸に対して高速ギアのそれよりもトルクを要せずに回りますからエンジンが非力であってもバランスの整っていることを条件にフケ上がります。高速度を受け持つギアでは大きなギアが車軸のトルクを掴むためにクランク軸の負担が増える、
このために、最高域で回りたがらないクランク軸に対しピストン側の受け持つ燃焼室の圧縮は”強固であったとしても物理的に薄い油膜”では圧縮が漏れてしまう・・・これは設計時に想定された粘度と機械側に造り込んだクリアランスとの協働作業となることですから、無闇に軽ければ良いという話ではないため、あくまでも「酔狂な実験」です。
F1が0Wを採用しているから0Wを選択すれば高域まで潤沢なパワーとトルクを得られるのかというと、その期待には応えられません。
チームはアリシン0Wを選択した上で「コレの使用を前提にしてエンジンを組み立てる」という順序になりますから
市販エンジンに0Wを注入するのはインディジョーンズな世界でありあくまでも危険がいっぱいなワンダーランドです。(^^;

◆その意味で、マニュファクチュァラーズ・レコメンド(つまりメーカー推奨)粘度というのは「基本ライン」として意識に留めておくべきでしょう。
ただし、製造者側としての「想定粘度」には機械としてのクリアランスとマージンもさることながら「想定している常用速度域」というものも含まれます、実はここがナニゲに重要なポイントです。
ヨーロッパ車の設計時想定速度が140〜160界隈だとして日本車の殆どは日本国内の法定速度を遵守する姿勢の物で
特にニホン車は市街地のストップ&ゴーを重視する傾向に加えてエコ(省エネ性)方向に敏感な国民性も手伝って日本車のオイル設定粘度は概して軽めです。

◆端的に述べるならば欧州車はオイルが重ためを好み、日本車は軽めという話にはなりますが
最近の傾向としては欧州車も全体に軽めで日本車も軽めだけれども、ただし「走る系」はやや重ためを要求するパターンとなります。

ここで重ためというとすぐに20W50とか60番はないのか?とかそんな話となる傾向もありますが
少なくともアリシンには20W50よりも重たいオイルはありません、
世界中のプロ・レース場面でそれ以上を必要としていないという現実を反映してのことです。
(アルコール燃料用にはAlky60という製品があります)

◆極限に軽い粘度で高回転域を使用するのは怖ろしい:
確かにオイル性能を信用していなければ決して実行の出来ることではありません、
どこかが焼き付いてロックすれば即ブローです。
逆に設計要求粘度に達しないオイルはバルブトレーン以下の隙間で噴水になってしまった場合
途中でオイルが噴き出してしまえばエンジンの最上段までオイルが持ち上げられない可能性がありますから、
低粘度オイルを使用して中途半端に恐る恐る動かしていると、その低回転ゆえ逆にTOPエンドの給脂に枯渇が生じる可能性もありますから、こうした私の酔狂実験は必ずや「躊躇せずに回す」という態度が大前提での話です。^^




さて、改めてキプント号
粘度探求の旅路


Sporting-Abarth
E-176BV3
176B9.000 1240cc/DOHC
max-power 86ps/6000rpm
max-torque 11.3kg/4500rpm

キプント号のエンジンオイル推奨粘度は10W40
エンジンオイル消費量 0.25L/1000km
車重は1000kg
MTMの推奨は SAE75W EP→→→→→現在アリシンProギア<<0Wを単体で使用しています(テスト)
おっ!今更 気づきました
パワステフルードはデキシロンD-IIのATF指定だったんですね、アリシンATF2に換えよう! (^^)♪



で・・・、エンジンオイルは2.5L、フィルター交換時で2.8L(総容量では3.1Lと書かれていて)
いずれにしろ、とっても少なくて・・・ソレって軽自動車並みです。

なので、
色々とワルサを思いついて「試す」のも手軽です。
で、入手以来取り敢えずはメーカー推奨粘度の10W40を使用しておりましたが

2009小白沢オフTOUR直前のオイル交換で10W30に変更です。
実はこのオイル交換時、3度目のアリシン
10W30を注入する前に
素の0Wを入れてみました

「強烈でシャープなフケ上がり♪」


酔狂印の実験は私の場合どこかでやっぱり実行してしまうんですね、^^

2度目のアリシンをドレンアウトして観察したところ
そろそろ、エンジン内部の汚れはほぼ一掃されたようだな・・・という印象もあったので
この好奇心を満足するためには「実際にやってみるしかない・・・^^;;」

とはいえ
キプント号オイル量が少ないので実験も手軽です
加えて今回納車時に一緒に貰っていたFiat純正のオイルエレメント数個を使い切ってしまったので
主治医のアリガタイ入れ知恵により代用品です ^^v
スバルのEJ20その他軽とも共用の社外品

かなり小さめでガスケットと台座がギリギリちょんパーでちょ〜っとヤバめだったのですが
締め付けて漏れを確認したところ、どうやら「おっけ♪」v(^^♪

フィルター分の容積も減ったこともあり、注入した0Wは2クォートだけです ^^;

20分ほど近隣を走り回って0Wのフィールを確認したところ:
フケはシャープで好感度は高いモノの、高域の伸びが悪すぎる・・・
メガーヌ16Vとはエンジンの素性がかなり違ってそもそもピックアップの良いエンジンではない事、
更にそもそも1200ccということもあって非力な上にミッションがクロスの為に高域へ引っ張り回したところで次のギアも近いところにあるのでオイシイところを一瞬で過ぎてしまって最高域では回っているだけになってしまう。

ダメだね・・・(-_-; 残念
メガーヌではオイシイご馳走だっただけにちょっと残念ではありましたが
私としては気が済みました
30分後には0Wオイル全量をドレンアウト(というかドラキュラ君で吸い出し)です
見ると案外茶色く濁っているんですねぇ・・・

「濯ぎ・・・」

イイ感じの贅沢メニューです
2クォートでフラッシュ作業−−−みたいな。
濯いだだけで出てきた汚れですから、これはそれなりに有意義であっただろうと信じることにします
オイル量が少ないからこその芸当。。。
(勿論このオイルはまた次の出番をどこかに探します)

ここまで1年近くの粘度は基本的に10W40
上にもありますが1000kmで0.25Lのオイル消費が謳われていますから
2000kmも走ると0.5Lの給脂が必要というクルマです
こまめにオイル量をチェックしていなければなりません。
私の場合、オイル量は通常少なめでレベルゲージのL/F中間よりも下くらいしか入れませんから
更にマメなチェックが必要です。

加えて:
◆フィアット純正のオイルエレメントを汎用の小型フィルターへ交換したため、
 これの容量分が半分ほどに小さくなっているので、オイル全体量は従来よりも更に減少で2.5Lほどです。
 (更にめちゃ少ない・・・)

これまでの様子を見る限り
消費による減少分を10W40で補ってみたり、Na10−Miracleで補ってみたり、15W40で補ってみたり
粘度上昇傾向の方が嬉しい表情を見せる事は分かっていましたが
今試した0Wの次に10W40へ戻ってしまっても面白くない・・・

というわけで、選択したのが10W30でした
(ようやく10W30の話になりますね)

10W30で試走してみると
0Wとの比較では圧倒的に非力なイメージを払拭しました、分厚くトルクが乗ってくる感じ。
全体的に元気を取り戻したような印象でありながら、従来よりも軽い
どうだろう、従来よりもこっちの方がいいのかもな?くらいの印象です。

これはオイル交換前との比較ですから「新しい方が良くてあたりまえ?」という部分もあります、
速度計の故障でODもTRIPも止まっていた時期ですから距離的にどれ程使用したかがよく分かりません
4000〜5000kmというところだろうとは思っていますがおよそのおおよそ・・・あてずっぽう。
そもそも、私はアリシンを常用するようになってからというもの
「距離も期間もオイル管理意識の中から消えてしまった」という事実があります
オイルの状態を見て判断をするという姿勢が完全に確立されてしまったためです。

でも、折角トリップが再始動していますから
ちょっと記憶しておくことにしましょう(笑)
小白沢へ出掛ける前にODは9万キロを越えたところでした
オイル交換は90300km時くらいでしょう。アバウト9万キロというところです。


少し軽すぎるな・・・という印象もあり、Na10−Miracle添加を目論見ます
そもそも10W40を喜んでいるエンジンに10W30を使用している時点で
メルセデスE320Tで試した10W30+9%Na10という図式で既に頭の中のプラネタリウムは満天の星空です。

しっかりとオイルを落としたエンジンに入れた2クォートの0Wをドラキュラ君でチューチュー吸い出していますが
オイルエレメントは交換をしていませんから小さな社外フィルターには0Wが300mlほど入っていた筈です
注入した10W30は2Lだったので全体量は2.3L(たったの・・・)ということになりますから
実際には10W30よりも軽めということになります
10W30:0W=2000:300=87:13
私なりに計算をしてみると100℃下の動粘度は8.9cSt程度だったようです。



◆小白沢へ出発して、途中の刈谷SAでNa10−Miracleを240ml添加
オイル量2300mlに対して240mlですから10.43%分を添加
全体量(2300+240)に対する比率でいうと9.45%

高速道路上のキプント号、全くお荷物っぽい気配は見せません。
極めてフツー。重たそうデモ何でもなく極めて嬉しそうに元気。「それで?」くらいの感触でした。
この部分は燃費なども小白沢オフレポにご報告をしている通りです。

◆その後、新潟から戻っての6/13地元オフ後に「まだ無用にフケ上がっているかも?」という印象の場面があったので
Na10−Miracleを50ml追加するなり高速を60kmほど走行、
この追加で2300mlに対して(240+50)mlと考えれば12.6%
全体量(2300+240+50)に対する比率でいうと11.2%のNa10−Miracle


追加当初は馴染むまで少々の間、さすがに入れすぎたかな?(汗);という印象を持ちましたが、
翌日に乗ると改めて感動の圧縮改善?
静粛化と相まってややくぐもったエンジン音に炸裂する最大級のトルクがウマウマ〜♪な感じです。
「メチャクチャ元気」になっています。
追加して良かった。◎

◆現在ODが92500km
ナニゲにオイルをチェックすると少し赤みがかったような茶色にオイル量がStickの先端にチョイと付着、
ちょっと少なくなっているんですね(やっぱり少し減るんです)
キプントは脈々と重ためを欲しがる傾向を示しているので15W40を300ml追加

そこでひとつ・・・
当初オイル単体で2.3L注入でレベルゲージ先端に5mmほどDIPの付着する量でした。
Na10を240ml添加して小白沢から戻った時点では10mmほど
その後1000km走行でまた5mmほど消耗をしたところへ50mlのNa10
続いて300mlの15W40補充で現在また10mmほどDIPのオイル量です。
オイルの減る傾向はみせていますが1000km毎に0.25Lほどの消耗ではないようです。
ただ
全体量の減少する状況へのNa10−Miracle添加はオイル量の少ないことに加えて
ベースを消耗するとなれば添加比率に関してシビアな計測を行ってもあまり意味は無さそうですネ、
少なくとも数パーセントという添加量ではないので大雑把に感じ取ればOKという雰囲気になっています。
アバウトPUNTO・・・ということで。(笑)

Na10−Miracle添加後の動粘度はどうにも読めないところがあるのですが
おそらく10W40に近いあたりではないかと予想します
単純に普通の粘度ではなく糸引き物性傾向がプラスでの現状が
少なくとも15W40を300ml追加でベース粘度を補填で好ましい方向?という印象があるので
次回は素の15W40を試してみたくなっています。
(多分重たすぎるのだろうなとは思いつつ・・・)

さて、
MPV(V6−2.5)のエンジンオイルは0W20と15W40を50:50でほぼ0W30です
従来0W20一辺倒だったこの車両もこのように少し粘度を上げて様子を見ていますが
3月末の東京ツアー時にはこれに6%のNa10−Miracle添加を行い
四日市−海老名間の高速オンリーですが13.54KM/Lというレコードを出しています。

0W20に2%のNa10−Miracleなどの方もいらっしゃるのですが
もう少し添加量を増量してみて本来の糸引き物性の恩恵を増やすことが吉の場合も多いのではないか?
というのが私の予想にあります。


大冒険は必要ありませんが
変化を与えて観察を行い、その変化から何かを読み取るという作業は
新しい発見も期待して吉ではないかと思っています。


基本メンテナンスに手抜かり無く
この夏は改めてキプント号のトルクアップを図って行きたいと思います。

皆さんも安全運転で!!









次回はロケット号MPVのはらわた・・・行きましょうかね。(^_^;)



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