「よもやま話・50」
初めてのアリシン(その2/洗浄力編)



日本上陸から6年半となったアリシンProRacingシリーズ

普通のメンテナンスを行っていた車両にアリシンを導入するとどんな感じか?
特にそのフィールの変化が著しいことは既に沢山の実体験を頂いているわけですが

ここではその洗浄力について改めて確認をして行きたいと思います。


初めてのアリシン、
これを排出した写真は大体が例外なく「さらしもの」です。


 20090112
Add Keys 20090122


◆はじめてのアリシン◆

キプント号のオイル「はじめてのアリシン10W40」を「2度目のアリシン」に交換しました
こちら、4000kmほど走った状態です
8万キロほどで入手をしたFiat/AbarthPUNTO通称キプント号
こちらは入手時点に初めてのアリシン
4000km毎に2度のオイル交換を行ったところです。

キプント号初回のアリシン排出
こちらは10月初旬にキプント号初回アリシンを排出したところです、
オイル受けに残った最後のしずく

これがキタナイと思うかキレイと思うか
認識に個人差はあると思います


4000kmでエンジンオイルがこんな色になるものか?
なりませんよね、
この献体では案外少しだけのようですが
アリシンの導入によってエンジン内部の汚れがアリシンに溶け出してきた為に
初回のアリシンは汚れる傾向をみせるのが普通です。




しまった・・・
2度目のオイル交換の写真を探しましたがみつかりません
2008年初冬のオイル交換祭りと銘打って一度に所有車両3台の作業で慌てていたため
すっかり画像を撮り忘れていた気がします・・・。
・・・すみません・・・うかつでした・・・。(汗)←比較が出来ないじゃないですか〜〜!

ゴメンナサイ・・・。(T_T)

もう一度同じ写真(もう一度同程度の距離でドレンアウトしたものはもう少し薄い色でした)
キプント号初回のアリシン排出
ともあれ、上の写真
いいかんじの汚れ方です(汗)
スラッジはガソリンの変成物なのもあります
焚いているのがガソリンなのもありますが、スラッジが分解するとガソリン臭になりますから
廃油はガソリン臭と普通のエンジンオイルみたいなニオイです。

もう少し早めの交換をするつもりでしたが
「Fuel-iDLUG」のテストに邁進していたために少しだけ我慢でした。。。

で、初回に続き2度目も改めて同じ粘度「10W40」

早速走ってみると、しっとり感はウルトラ級
粘度は上がったように感じます
汚れのために潤滑がダウンしていたこともあるでしょうね、
初めてのアリシン4000kmとしては酷いほどの汚れではありませんでしたが
焦げ茶色に違いはありません
30kmほど走ると表面の汚れが落ちたのか急に軽くなりました
・・・不思議な感触です。

早く軽い粘度を試してみたくなってきました。(^_^;)
しかし、案外10W30あたりに落ち着くのかも知れません。


そして、一晩経って改めて乗ったらびっくり。。。
!!低域から物凄いトルクです!!
これぞアリシンの本領発揮
更に更に静かにトルクフルでなおかつ音もなく滑るように走ります
「アンタ、ホントは2リッターじゃないの?」みたいな印象です。

現在は3度目のアリシンでもう一度10W40です
2度目のアリシンも4000km未満で排出をしましたので遂に3度目に来て大きな違いはないものの
滑らかな感じは更に増えました、汚れの排出は収束に向かっているように思った記憶です。
このところSPメーターが止まったままのこともあり
TRIP積算も動かなくてアテにならないため燃費記録も出せないので結構回し気味で走るようになっているのもありで
スペックに近いオイル消費をしているように観察しています
1000kmあたり0.25Lというと4000kmで1Lにもなりますが
それほどは減っていないように思います。


さて、この先
エンジン内部から出た汚れによる汚れたアリシンのさらしものシリーズになりますので
初めてのアリシンのフィールと2度目のアリシンに替えてからのフィール変化というのはこれくらいにしておいて
汚れの検証をガンガン行きましょう。


そのまえに

ディーゼルの場合:::

カーボンを抱きますからエンジン内部は凶悪な状態になっていると思って下さい、ご覚悟を。

思えばクラウンディーゼルVan25万キロシーラカンス号の排出オイルなども
自分の廃油受けに落として資料として残しておけば良かったものを・・・
あまりに酷いドロドロ汚れとそのニオイに
ホムセンへPIT作業依頼に出してしまいました。

私の場合
廃油PANは油槽に廃油を落としたら綺麗に拭き取る事が多いので
カーボン汚れのギトギトを拭い取る作業に嫌気がさした為でした。

なにしろ、オイルチェックをしたDipStickの汚れですらウエスで拭っても簡単に落ちないほどに濃厚頑固なネトネトでした。
私としては思い出したくもない事件・・・。

これは濯ぎも必要なレベルだと判断をしたために、ホムセンでシロート衆を装っての作業依頼・・・(苦笑)
ウチには濯ぎに適した普通のオイルって一切ありませんからねっ!(爆) 「よもやま話45」参照下さい


LPGの場合:::

一般ユーザーが保有することは希なので、あまり知られていないようですが
LPG車のエンジンオイルは汚れません
まったくといって良いほど汚れません
意外と思われるかも知れません
LPGは燃料としてキレイに燃焼して不活性分をオイルに残さない為によごれないわけです。

今更ながら、改めて気づいて下さい
皆さんの乗っているクルマは殆どがガソリンです。



ガソリンの場合:::

皆さんが思っている以上にオイルが汚れます、これはとりもなおさずエンジン内部が汚れるという意味です
普通に流通しているオイルに配合された清浄分散成分では汚れを落としきれない
その為にエンジン内部には汚れが堆積してしまう。
これが事実であり、この先はその検証事例になります。

ブロバイガス還元もワルサをしているという事実を知って下さい、
少々乱暴にいいますが
潤滑油のオイルミストを含むブロバイガスが吸気に混じって無理矢理に燃やされる行程に加えられます
ブロバイはそもそも圧縮漏れによってエンジン内部に漏れ出した未燃焼ガスです
つまりガソリンの不活性分であり結局その成分は燃えないと理解した方が分かり易いのかも知れません
つまり燃えにくいものを次の行程でガソリンで燃やそうとしている・・・
そもそもそれ自体がガソリン由来の不活性物をも含んでいるわけですから
これが燃えないことによって継続的に燃焼室が汚される
オイルはその汚れを抱えて行くけれども
普通は溶かしきることが出来ないためにその汚れはエンジン内部に循環しつつ堆積するわけです。

これが絶大な効果として暗躍していることを肝に銘じて下さい。


 軽自動車は劣悪環境:::
軽自動車は660という小さな排気量で普通車と一緒になって公道を走っています、
その排気量故に非力であるため比較をすると終始高回転で無理をして走っています。
ブロバイは回転数によって増加しますから「軽のオイルは汚れやすい」更に
高回転であるが故にそれは高度な潤滑を欲しがっています。

 ココが重要です:::
ブロバイとオイルは密接な相関関係にあるため
同じ粘度であってもオイルフィルムが強ければ油膜が圧縮を保ち、ブロバイは減少します
(単に粘度が高ければ、という問題ではありません)
オイルに汚れなりガソリン成分が入ればフィルム強度が落ちる為にブロバイ量が増える
ブロバイ量が増えるとオイルが汚れる=ガソリン成分の混入も増える
輪廻転生というか諸悪の輪廻という掟に嵌ります

軽自動車の場合は、この輪廻にいとも簡単に嵌りますので特に注意が必要です。


「さらし」といいましたが、上記の仕組みでほとんどみんなそうなっているという解釈で正しいです
その意味ではさらしでもなんでもなく「救われた方の例」と理解出来ると思いますがいかがでしょうか。



さて、
こちらは某・白いX−Trailだい号

秋口に初めてのアリシンを導入されまして、そのフィールに驚かれたそうですが
今回3700kmほどを走行して2度目のアリシンの為にオイルドレーンをしました。

ルウブの社務所でのだいさんDIYしごとです。(笑)



廃油・・・落としましたの図

覗き込むだいさんの顔がぁ・・・(笑) 懺悔をされているのか・・・。

これがキタナイと思うかキレイと思うか
認識に個人差はあると思います


PAN壁面に付着したところをクローズアップしたら・・・

こんなにくっきりとクルマが映り込んじゃいました♪
鏡みたいですねぇ、つまり濃厚な色というかダークトーン。
青空まで映ってます・・・(驚)



白いティッシュに吸わせてみました

後ろの樹脂ビーカーは社務所の備品、中身はアリシン0W20新油です

これがキタナイと思うかキレイと思うか
認識に個人差はあると思います↓


廃油PANの最後のところです

3700kmのオイル:::


当日この作業直前にディップスティックでチェックをした限りでは
「まだいけるレベル?」という認識だったそうです、
使えるという部分を否定はしておりません
綺麗そうに見えても実際に抜いてみると案外濃厚な色に見えるものですよね。

上の写真は徐々に夕方になったためにフラッシュ点灯ですが
私が廃油PANに使用しているCパレットはサンコーのグレーです
色調はこんな感じで大体合っていると思います。

ガソリン臭に普通のオイルのニオイ・・・、
「まだ使える」といえばそうだったと思います、問題は何を求めるかです。


なにげに、最重要なことを小さな文字で書いてみたりして:::
おそらくこの程度から普通のオイルに交換をしても新油効果は体感ができないでしょう
私の経験では低下をみた事例の方が多いです。
逆にいえば、
もっと汚れていた場合には:::
普通のオイルでオイル交換をしても「よもやま45」の結果を見ることもありますのでご注意下さい。
初めてのアリシンが大掃除をしたら、普通のオイルでも驚くほどに従来よりも遙かに良い仕事が出来る
つまり、その場合は
2度目のアリシン、3度目のアリシンはもっともっとエンジンの本性を引き出す事になります。



X−Trail2.0のオイル保有量はフィルター込みで3.7L
ちなみにメーカー推奨粘度は0W20

参考までに
こちらの車両、走行距離は6万キロ程度
2万キロ時点で岩手のショップお薦め「◎BER◎N」を使用されて1万キロ使用
その後直前までのオイルは3年に渡って年に4回交換の「N◎TEC」だった
ということです。
クルマの使用頻度は、上記で年間1万キロほどと読み取れると思います。


オイル単価はどちらもアリシンと同等だそうですが、
何をどのように断罪するかはご覧になっている皆さんが判断して下さい。


これまでに使用されていたオイルはもっとかなり?重ためだったようですが
アリシン0W20は従来よりもノイズが少なく、しかも走りがぐっと軽いそうです。

◆粒状のスラッジまたはそれの軟化したものといった痕跡は見あたりません、
全て溶けたのかそういった形成物は無かったか
病巣というほどの悪性のものは無かったとすれば
目で見て分かる色濃い排出は固化する前の胆汁を放出できて吉
そのように判断をして良いのではないかと思います。



仙台のプレオさんへ行く予定をしておりましたが
その前に直近のX−Trailギアオイル交換で興味深いことがありましたので
こちらを先にご紹介します


番外編
X−Trailだい号ギアオイル交換の巻


こちら、
初めてのアリシンギアオイルへ行く際に排出した「センターデフ」のオイルです

右側に綺麗なオイルが見えています、80Wの新油です
これは「お決まり」の手筈でDrainを締める前にFillerから新油を注ぎ込んで
ハウジング内の旧油を押し出すことを狙った結果
新旧入り交じった写真です



とはいえ、なんだか妙な感じに見えるのは
トランスファーオイル・・・顕著に汚れている為ですね、
これは日産Dでの交換油ということで2万キロ使用でした。

ひとつ聞き捨てならない話がありましたのでお話をしておきます
以前、デフオイルもトランスファーオイルも・・・「◎BER◎N」を使用されていたということですが
前回のオイルは日産純正?(Dラ作業)
そして、
初めてのアリシンギアオイル:::
「こんなに滑る感じで滑らかになったのは初めてで驚いた」

ということでした。
どういう意味かは文面の内容からお察しを頂けると思います。

そこで
一般にいわれることですが


ギアオイルにこだわったところで「何を使っても体感差などはない」という話があります

これはギアオイルという種類の油脂には初めから極圧剤が大量に添加されているために
普通のオイルであってもそれなりにギアオイルとして有効に作用していることを示唆するモノ
そのように解釈して間違いではないとは思います。

一般にいわれること、つまり普通とか標準とか常識的には「ギアオイルなんて何を使っても同じ」と思われているのが業界としても事実であるし
ギアオイルを交換して下さいとユーザー側からいい出すような殊勝なお客様はディーラーとして珍しい位の話で
「壊れるまでそのまま」であることが極めて多く、それでも
4万キロに一度位の交換を目安にしているわけですが、
上の写真が純正オイル2万キロだということ・・・
よーくご観察を戴きたいと思います。



はい、

そこで大事なところをもう一度
「滑る滑らか・初で驚いた」(短縮しました);
これはアリシンの場合はギアオイルの極圧剤として超高額なため普通は使用しないアンチモンを使っている
ここがキモになるのだと思います。

それ故、
アリシンのギアオイルはいわゆる世間一般に流通するギアオイル特有の鼻を突くニオイがありません
いわばエンジンオイルのニオイと殆ど変わらないことに気づかれるはずです。

これは特有の少し甘いような香りなのですが
いうなればエンジンオイルもアンチモンを加えた特殊なオリジナル添加剤パッケージなわけで
Na10−Miracleに至っては添加剤という意味もありでこの系統のニオイは更に色濃い・・・
と申し上げておきます、各種その性能たるや推して知るべしということになります。

ようるすにアリシンの場合、手抜かり無く全てのラインナップが強烈なホンチャンProレーシング仕様であり
つまりそれは世界タイトルレベルで使用する次元のモノなので「良くて当たり前」のような話にもなります。

ただし、ATF2に関してはギアオイルのようなニオイがあります、
これは単に滑ることだけが仕事ではないATF特有の要求に沿った対応と解釈して良いでしょう。


さて、
ここまでご報告の通りエンジンから初アリシンを抜き取ったら結構な汚れとなったわけですが
あまりに2万キロオイルの汚れていたセンターデフです、
封入量も350ml程度と少ないため、改めて1ヶ月約1000km後に交換を行いましたところ
出てきたオイルがこちらです



あららららーーーー?
あはっ、1000km程度なのにまたキタナイ・・・(^_^;)しつれい。
念のためにと思って交換したセンターデフオイルですが、近いうちにもう一度改めて交換をした方が良さそうですね。
なにせ350mlしか入っていません。

改めてギアオイルにもいくらかの清浄分散性能がありそうだなと読めます。


ということで番外編の最後にもうひとつオマケです:::

こちらはデフオイル交換の様子



Cパレを重ねて高さを確保で、お漏らし中・・・
このドレンアウトしたリヤデフオイル、キレイだったのですが実はちょっと妙でした:::
というのも、ドレンPANから廃油入れに移す際にこの廃油には同色のゼリーみたいなものが組成されていたようで
つーーー、ボトボトボト、つーボトボトっといった感じだったので
急いでオーナーさんを呼んで一緒に確認をしていただいたような次第でした。
何が入っていたのやら・・・謎です、ひょっとするとDラさんが何らかの添加剤を加えていたのか?断定は出来ませんがヘンでした。

ご参考まで

さて、こちらはエンジンオイルをドレンで抜いた際
ガスケットをお持ちにならなかったご本人なので、天誅っ!!

罰としてアルミガスケット現品再研磨中〜〜の図
 シャッシャカシャッシャカ♪
罰ゲームの筈ですが案外・・・ご本人(^o^)嬉しそうでした♪(笑)



で??
リヤデフオイルはどうやって入れるんだべか?サクションガン??

「簡単に入らないかなぁ・・・」下から覗き込んでみると
丁度(^o^)嬉しい位置にラゲージの水抜き用ドレン穴にラバーの蓋が付いています
大体がこんなもんなのよ(^o^)♪
「おーぃ、だいさんってばよぉ〜、 ラゲージの所帯道具を降ろしてくでー」(^_^;) <(_ _)>



して、キャポっとラバーキャップを外して・・・
水抜き穴はアリシンギアのボトル2本の間にホラ・・・既にチューブが刺さっています
ホースを使って先端にオレンジの樹脂漏斗を付けると80Wは自由落下でなんとか落とせます♪
・必要な資材:ビニールホースと漏斗 (^o^);


ちなみに
もっと粘度が高くて落とせない場合には:::
知るひとゾ知る・・・

ドリルポンプという便利なモノもあります
電動ドリルで回すとオイルが汲めるアタッチメント・・・、場合によっては手動ドリルが扱いやすかったりもするかな?
手を加えたらATFの押し込みにも使えそう

てぇなわけで、私は試しについつい安いヤツに手を出してしまいました。(笑)
使用頻度からすれば安いに越したことはないわけですが
 壊れても知りません。(爆)

こちらは新潟精機さんの製品

定価2900円


ご参考までです、その他にもあると思います。


長くなってしまったので「よもやま51」へつづきます、
仙台のプレオさんにご登場を頂く予定です f(^_^;)



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