「よもやま話・7」
純正部品と優良部品
部品商というのは、もともとユ−ザ−さんと直接には繋がっておらず、整備工場さんを通してという形ですからこんなペ−ジも書ける訳ですが、世の中にはあまり知られて
いないこの業界の現実として「純正部品」と「社外品(優良部品)」と呼ばれる物があります。
「純正」に関してはいうまでもなく「メ−カ−の推奨する品質で組付け時点と同じ水準の精度を持つ部品」であり、メ−カ−流に言えば「車の性能を充分引き出す為」に純正部品の使用を推し奨める訳で、これが保証問題とも場合によっては関わりを持つことになります。
一方、マニアックなユ−ザ−にとっては「純正指定品よりも更に良い物を使いたい」といったニ−ズもあり、それがもう一つ進めば「嗜好品」 として捉えるべき範疇の物もあります。
ちょっと脱線
オイル添加剤に関してはまさにこの嗜好の部分ともいえそうですが、「0−1」に関しては一部の国産自動車ディ−ラ−さんでも取り扱っていただいており、トヨタやデンソ−も製造ラインで「0−1」を使用しています。トヨタの研究開発ラボでは試作に使用する金属用刃具の刃先を強化するため、新品の刃具をおろすときには必ず「0−1・処理」を行う様、研究員に指示されています。私としては、メ−カ−にもう一歩踏み込んで製品=つまり車の保守に対するひとつのアプロ−チとして「良いオイル添加剤」の使用を促して頂き、もっと多くのユ−ザ−さんにとって、より一般的な事になって欲しいところです。
ますます脱線
・・・ が、それにしても「テレビのCM」がアレでは、大袈裟すぎて「胡散臭い」方が先に立ってしまい、「添加剤全般のイメ−ジを怪しくしてしまって」返って逆効果ではないのか、とも思うこの頃です。
(ただし、賢い消費者にとってはという話ですが)
つまり「深夜TV−Shopping」では当初おまけ付き7,800円(6,800円?+送料900円)で販売したものを、次に大手ディスカウントショップへ大がかりなディスプレイセットで持ち込み、放映した 「CM」をビデオで流して今度は単品で4,980円で売る。最後に予定期間内で売り切れなかった分はその半値位の「処分価格」で売り切ってしまえばそれでおしまい。という、従来からある輸入雑貨と同じ手法で、例えば「筋力アップの健康器具」みたいな話です。
従って、定番商品にはならない運命にあるわけで、いわゆる「専門外」の(専門を持たない)「大規模小売り店舗」のために編み出された販売戦術です。常に少し違ったジャンルで次のアイテムへと渡り歩き、その斬新なキャッチフレ−ズで勝負を賭ける「商売」です。
ディスカウンタ−へ持ち込むのは、其処へ集まる消費者が「他よりも安いこと」を理由に集結するためで、7,800円には手の出なかった商品に割安感を感じて手を伸ばすといった簡単な構造です。つまり、最初の7,800円にはもともと何の根拠もない事が解ります。某巨大カ−メ−カ−・T系の立派な自動車用品商社がこの様な仕事に手を染めるのを見るときに強い憤りを感じるのは私だけでしょうか?
自社の本業ル−トには流通させていない事を知れば、それが何を意味しているのかお分かりになるでしょう。
くたびれた車に効果のない添加剤があったら教えて欲しいくらいです。「怪しげ」といわれても仕方がないでしょう。
事実、本国アメリカでは訴訟問題が起こっている訳です。
どうもこのところ、他社製品に関する批判めいた気分の悪い話ばかりになってしまいました。(少し反省)
「あんまりじゃないか!」と興奮してしまったので、つい・・・。
話がいきなり横道へ逸れてしまいました、一応は業界の話だったのでご勘弁頂くとして。添加剤ではなくて部品の話です。
本題に戻ります
純正部品は少なからず組み付けに使用されている物そのものであるか、もしくは同等の品質をもつ
OEM
品。その意味は自社内で製造しているものと、複数社に製造依託している場合とがあるため後者の場合は同一品でなくなる事がありますが、今の話で品質的には同レベルです。
外注に出すか内製で行くかに関してはどういった基準で決められているのか知る由もありませんが、技術的な社内秘であったり、特許の絡み、コストの関係、品質や数量といった能力の問題とか色々言われています。基本的にはメ−カ−といえどもその意味ではアッセンブラ−でも製造業者でもありますから、旨味のある仕事は社内でというのは当然だと思います。
こうしたメ−カ−純正部品に対して「社外品」とも呼ばれる「優良部品」という物があります。
純正に対して優良という呼び名はイメ−ジとして重複する部分が多いため、はっきりと区別する意味でしょうか、この業界では「社外品」という呼び名が一般的です。
はっきり
と区別するからには社外品は「粗悪」なのかというと一概には何ともいえません。それは例えばトヨタの下請けであるA社が他メ−カ−の同種の部品を「優良部品」とし
てA社ブランド製として販売する場合これも「社外品」と呼ばれますが、どこのカ−メ−カ−にも納入実績のない町工場レベルの製造現場から送り出されている「社外品」も
数多く存在します。
最近ではこうした「補修部品市場」を「アフタ−マ−ケット」と呼ぶ機会が多くなり、イメ−ジとしてはこの方が理解しやすいかもしれません。つまり、メ−カ−納入実績のない業者は「アフタ−専業」という表現になります。
部品商としては従来からこの「純正」と「社外」を取り扱ってきたわけですが、カ−メ−カ−にとってはこれらOEM納入業者がアフタ−市場で「純正品」の販路を二分する事もあるため、これらの商品群をカ−メ−カ−・サイドで取りまとめた「第二純正(セカンド・ブランド)」というジャンルも新たに加わり、現在この三種の販売を行っています。
ただ、現実的な話になるとアフタ−市場で「ファ−ストム−バ−」といわれるアイテムは純正品においても昔から特価の設定されていた物ばかりなので、カ−メ−カ−・
サイドで従来扱って来た特価帯の商品が「純正セカンド・ブランド」にシフトしただけという認識もあるようです。
部品の業界に於いてはトヨタがタクティを立ち上げ、この販売に乗り出すという事で戦々恐々としたのが96−97年あたりですが、一方これに一番深い関係を持つはずである当事者のユ−ザ−さん達は何も知らないのが普通のことで、もともと「社外品」の事も知らないといった場合の方が多いのかも知れません。
それはなぜでしょうか?
ユ−ザ−にとっては従来その設定単価(定価)が「純正」も「社外」も殆ど同じであった為に、多くの場合、整備依頼をする時点で交換部品に対して特別な指示のない限り「どのレベルの部品を使って整備を進めるか」は現場の判断に委ねられてきました。そのためここで発生する仕入れの価格差に関しては、余程良心的なサ−ビス工場でも純正と社外の仕入れ価格差をユ−ザ−への請求額に全て反映させることは、まずありませんでした。
つまりこの場合、純正を使用するか社外を使用するかといった選択の自由はSSの現場の方にあって、割引率の高い「社外品」を使用するメリットはユ−ザ−ではなくてSS側にあるということです。そのことが不当であると糾弾をするつもりなどはありませんが、サ−ビスの現場では利益確保の為の手段として蔓延してきた事実ではあります。
現場としては公表されている定価で販売すること自体に対して悪意などはないと思います。でも、同じ金額なら純正の方がいいのは人情ですよね。
しかしながら、それとは逆に敢えて純正を使わずに「更に高品質にこだわって他社の高い製品を使う場合」もありますから、その場合は大抵純正よりも高くなりますが・・・。
よく日本のユ−ザ−は自分の乗る車に対する自己管理意識に欠けているといわれます。
つまり、その意味でこれは重大な消費者サイドの過失でもあるのかも知れません。知ろうとしないから教えてもらえない部分です。
整備に出して修理の必要な個所について「オ−バ−ホ−ルが可能な物か」「純正部品でOHをするか、社外品でよいのか」同じく交換が必要な場合は「純正だと幾らで、社外だと幾らなのか」「専門家としてはどちらを奨めるか」これらのことを「決して知った振りをせずに熱心に相談し、その相談に乗ってくれるSSさんを見つけること」これが一番大事なことだと思います。
最終的な整備完了時点でEXELLENTにしたいのかGOODで良いのかBADで我慢するのか、それを選択をするのはユ−ザ−の自由であり、それと共に責任でもある筈です。そういった意味も込めて、私はこのペ−ジを書いています。