「よもやま話・8」

「0−1」の新車への導入と新車のオイルメンテナンスについて

新車を買って6,000kmオイル交換をしていないというユ−ザ−さんがみえました。車はルシ−ダ(ガソリン)。「燃費が6KM/Lなのでもう少し良いと助かります」という話。

最近は新車購入後のメンテナンスに関する責任は全てユ−ザ−持ちという姿勢になってきているのか、新車購入後のメンテナンス・アドバイスもないままに「ユ−ザ−責任」とする考え方が横行し始めている様子です。


かつては最初の1,000kmあたりの無料点検整備で保安箇所を中心としたネジ類の締め増しと共に「オイル、オイルエレメントの交換を無料で販売店あるいはディ−ラ−さんが行ってくれました」が、今は無関心なユ−ザ−さんにとっては BETTERなアドバイスなどは何も無いんでしょうかね?
機械ものを販売する以上、快適に使用する為のアドバイスはそれが当然のように思うのですが、景気の悪いせいで「早く痛んでくれると助かる」とでも言うのでしょうか。何しろこういった話を聞く機会が最近特に多くなっています。

規制緩和によって車検制度が見直された事で「運行する車両の管理責任は使用する側のもの」、という部分が明確になった事を逆手に取ったような話ですから、これを機会にユ−ザ−の皆さんも、その「責任意識」に目覚める良い足がかりにして頂きたいと思います。

現実の問題として新車のエンジンオイルは「金属粉だらけ」です。新車から3,000kmオイル交換をしていないという車両のエンジンオイルをチェックしたところティッシュペ−パ−に塗り付けたディップ・スティックのオイルサンプルは銀ラメ状態でキラキラと光り輝いていました。金属粉は容易に肉眼で確認できるレベルですから危険な状態といって良いでしょう。車はカルディナ・ディ−ゼル・ワゴンでした。


Q) 取り扱い説明書には「新車にも添加OK」とありますが..........。問題は新車に「0−1」を添加した場合もオイル交換の間隔は通常の2倍でいいんでしょうか? 新車時の初期の鉄粉も「0−1」は抑えるのでしょうか?
具体的に言うと、僕の車で(走行距離1000キロ前後)0ー1を添加した場合次のオイル交換は何キロ走行後なんでしょうか?


A) 「新車の初期摩耗」について

馴らしというのは字の如く金属面が馴染む為のものです。「表面をならす」という言葉になぞらえて下さい。

つまり、これまでの常識から考えれば金属面の仕上げ精度レベルの金属面同士が馴染む為には両面の摩耗=粗研磨しか考えられませんでした。その意味で新車には旧車以上のメカニカルロスがあり、それに伴う摩耗も発生する訳です。
「0−1」は金属面を滑らせる為、余分な初期摩耗を最小限に食い止めます。が、突出した先端部分は当然擦り減ります。ただ、その相手方の摩耗も最小限に食い止めるので金属面同士の精度としては最高の状態が作られる事になります。
カ−メ−カ−にとって「組み付け精度」はそこにクリアランスの全くない状態ではム−ビング・パ−ツが動きませんから当然、動く範囲内で一番狭いクリアランスを実現するように努力します。この出来上がりにも誤差があり、その誤差が許容範囲内のものが工業製品として出荷される事になります。
機械としての良い状態は新しい時で、ガタの出始めた頃から絶好調になる事は有り得ません。
かつて人気車種だったマ−クU、ツインタ−ボ。これの場合、初期性能は1.5−2万キロあたりから急速に衰え「最初の頃のセカンド、サ−ドの変速時にタイヤの鳴ったのがウソのようだ」といわれました。
これなどが良い標本だと思います。
「0−1」は初期性能を出来るだけ長く持たせる為にも有効な方法な訳ですが、極端な言い方をすれば
「0−1の使用によってブレイク・イン・ピリオド(つまり馴らし)は必要無くなります。」ちなみに「0−1」の取り扱い説明ではこうなっています。

「オイル交換サイクルを二倍に」の部分と関係してきますので、以下併せてご参照下さい。


「新車のオイル交換を頻繁に」というのはオイルの劣化が原因ではありませんね。ただ、金属粉が混入するからという理由です。つまり、金属紛の混入によって新たなキズが発生する為、オイル交換が必要な訳です。「0−1」は金属面がこれらの摩耗金属粉によって起こりうるキズからも金属面を守ります。
ただ、目に見えない部分だけにいきなりそれを、しかも新車で実践するのは不安でしょうし、更に良い方法があればそちらを選ばれると思います。

従って通常のオイル交換サイクルに関してと同じ意味合いになります。

「0−1」は金属の摩耗を抑え、作動温度(摺動部の発熱)を下げる為、オイルの熱劣化を抑制しますから、オイル(新油)の初期性能(良い状態=おいしい部分)が長続きする。この為、オイルの寿命が結果的に約2倍になります。通常ご自分の使用されているオイルの「実質的な寿命」を把握しておられれば、私の申し上げる「二倍」の意味がよくご理解頂けると思います。
より良いメンテナンスを、という場合には「通常通りのサイクルでオイルを交換して頂く」ということになるでしょう。それは、メンテナンスに対するオ−ナ−の心意気の部分だと思います。

S様の教科書通り初期メンテナンスを行うと「0−1」もそれだけ沢山要る事になりますが、初期導入量が常に必要な訳ではありませんから「最高な状態」を出来るだけ長く保とうと思われれば車の価格を思う時、充分に有意義な投資になるのではないかと信じます。
473mlあたり12,000円であれば、私も勿体無くてお勧めできませんが…。


以上です。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
MasterLube
嶋本 貫志
info@alisyn.jp


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